オレと、カイとワルサーとギル。四人が雇われて美奈様の暗殺に向かった。
思えば、これが不幸の始まり。

あっと言う間にＳＰどもに捕まり、即座にギルが目の前で美奈様にスライムに変えられた。
スライムだぜっ！？
度肝を抜かれたオレ達の目の前で、ギル、だったものがモップとバケツで片付けられた。
それがオレ達が見た奴の最後だ。
今は、下水でただただ食い物を探して彷徨っているって、看守の奴から言われた。
マジかよっ！

美奈様は俺達を冷たい瞳で見下ろした。
「三人・・・・・・お前たちのうち一人だけ。女の子にしてあげる。あとの二人はスライムね。刑の執行は一週間後。その時に一人五分時間をあげる。自己アピール、考えといてね」
マジかよっ！マジかよっ！

オレ達三人はそれぞれ別の独房に入れられた。
トイレがあるだけの何もない部屋。
食事は日に二度、看守の若い男が持ってくる。

女の子になるのなんてまっぴらだ！

そりゃそうだよな。
だが、スライムよりはマシだ！
あたり前だろ。
だからオレは必死で考える。三分の一！スライムを免れ、女の子になれるのは一人だけだ。

カイとワルサーがスライムになるべきなんだよ！
あいつらは屑だ。人間の屑だ。
オレは奴らがどんなにダメ人間かよーく知ってるんだよ。
金に目がくらんで、美奈様を暗殺しようなんてな。
だがオレは違う！反省してるんだ！
あやまちて、なおあやま、あらため・・・なんだっけか。
兎に角、オレは反省してるんだ。
オレは食事を持ってくる看守の奴に必死でアピールしたね。
どれだけ、カイとワルサーがダメで屑で、悪い奴かって。
そしてオレがどんなに良い奴かって。

自己アピールの手順はこうだ。
まず、三人が美奈様の前に並べられる。
そこで美奈様の前で絶対の忠誠を。奴隷になると誓うんだ。
この時点で嘘をついたものは即バレてスライムにされる。

だが、まぁあいつらはプライドのない正真正銘のクズだ。スライムになるぐらいなら喜んで美奈様に尻尾を振るだろうよ。

本心から忠誠を誓えたものは、美奈様に魔法を掛けられてその時点から美奈様の命令に逆らえなくなる。
永遠にだ。

そして、そこから自己アピールだ。
自己アピールを聞いて。
美奈様が選んだ一人は女の子にされる。
残りの二人はスライムだ。
美奈様に忠誠を誓ったらスライムでなくてもいいじゃん？なんでスライム？許してよ？
マジ泣けてくるんですけど。
でも、そーゆールールだそうだ。


だからオレはアピールする。
カイとワルサーがダメで屑で、悪い奴かって。
そしてオレがどんなに良い奴かって。

オレだよ。
オレしかいねーよ。
可愛い女の子になって一から出直すんだよ。
今までのオレの人生は最悪だった。
だが、これからは違う。

オレはもっと幸せになるべき人間なんだよ。
これは、チャンスなんだ。
ちやほやされて、おごってもらって、恋に落ちるんだよ！
可愛い女の子との危険な同性愛、希望！

スライムは嫌だよ。
オレ、なんのために生まれてきたんだよ。頼むよ・・・

滔々と語るオレに、六日目の夜、看守が話しかけた。
「明日が自己アピールの日だな。頑張れ。まぁ、美奈様は誰を選ぶかもう決めているらしいけどな」
「はあっ！？」
どゆこと？どゆこと、それ？
オレの名演説でカイとワルサーが如何に屑か分かった美奈様がオレを女の子にする・・・んじゃないの？
決めてる・・・・・・オレに？・・・誰に？

「おっと、じゃあそゆことで・・・」
「ちょっとまったぁああああ！」
オレは必死で引きとめる。
「誰？誰に決めてるの？決めてらっしゃるの？教えて！」
「あー、それは言う訳には・・・美奈様に怒られちゃうし」
「えー、でもでも、それってとても重要！最重要機密！」

必死でオレは看守を引きとめた。
女の子になったら、どんな事でもしてあげるから。
なんでもするから。せめてヒントだけでも。

「じゃあさ、せめて、これだけ。カイかワルサーのどちらかは確実にスライムになるわけじゃん？スライムになるやつの名前を教えてよ。一人だけでも」

看守の男は少し考えて口を開く。
「・・・ワルサーは、スライムが確定している。話はここまでだ」
看守を見送ってオレはほくそ笑む。

ははっ。ワルサーの奴。可愛そうに。スライムだってよ。
まぁ、あいつはどうしようもないやつだからな。
しょうがねーよな。
てゆーか、待てよ！
これで女の子になれるのはカイかオレかの二人に一人。
確率二分の一じゃん！
やった！得した！
看守ＧＪ！
これは女の子になったら、看守の奴にうーんとサービスしないとな。






でも、本当に二分の一になったのか？

＜一週間後　解答編につづく＞

クイズや確率に自信のある方は隠しコメントで解答よろしく♪