千葉市内の施設に入所していた60代男性は無断で銀行口座を開設され、07年2月〜今年4月に保護費計約120万円を引き出されたという。大阪府内でも50〜70代の男性3人が事業者に口座を管理され、1食900〜1300円と不当に高い弁当代を天引きされていた。
昨年夏、保護費を詐取したとして千葉市の事業者が摘発されたが、被害の全容が表面化する例は少ない。このため、首都圏では8月、貧困問題に取り組む弁護士らが「無届・無料低額宿泊所問題弁護団」(団長・宇都宮健児弁護士)を結成。近畿や東海の弁護士や司法書士らも近く弁護団を組織し、全国で支援のネットワーク化を図る考えだ。
一方、千葉、さいたま、大阪、堺各市などは一部施設で入所者の自立が妨げられている疑いがあるとみて、実態調査を始めた。事業を規制する新たな法整備などについても厚生労働省に求めている。(室矢英樹、宮崎園子)