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宿泊ビジネス、業者を告訴へ 生活保護費を詐取容疑(1/2ページ)

2009年10月4日3時0分

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 生活保護受給者に宿泊施設をあっせんする複数の事業者が、明確な説明をせずに不当に高い家賃や食費などを保護費から徴収しているとして、全国の弁護士らが支援して受給者が月内にも刑事・民事両面で法的措置に踏み切る。順次、詐欺容疑などで刑事告訴する一方、不当利得の返還などを求める民事訴訟を起こす方針。生活困窮者を狙った「貧困ビジネス」の被害は後を絶たず、各自治体も実態調査を進めている。

 弁護士らが法的措置の対象に挙げているのは東京、埼玉、千葉、愛知、大阪にある約10の事業者。いずれも任意団体やNPO法人、不動産業者などで、社会福祉法に基づく「無料低額宿泊所」や無届けの施設を運営する。主に路上生活者を勧誘して住居を提供したうえで生活保護を申請させ、月12万円前後の保護費から生活費を徴収している。

 住環境は改装した社員寮や倉庫、老朽化した賃貸住宅の手狭な一室が多く、家賃のほかに食費や布団使用料などの名目で、10万円前後を請求する例もある。徴収方法として、(1)入所者の銀行口座を管理して天引きする(2)自治体の窓口に同行し、その場で保護費から集金する、などが目立つ。事業者側の手続きは不明朗で、口座開設について入所者に説明せず、勝手に保護費を引き出したり、天引きや集金の際に明細書や領収書を出さなかったりする例が多い。

 入所者の自立につながる就職支援を実施していない施設も目立ち、入所期間が5年を超す例もある。事業者の多くは「自立支援を進めている」と説明するが、それを裏付ける証言は入所者から出ていない。毎月、少額しか手元に残らず、施設を抜け出して被害を訴える例が相次いでいる。

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