2009年9月30日
賃貸住宅の入居者の連帯保証を請け負う家賃保証会社9社が、家賃滞納などの信用情報をデータベース(DB)化して一括管理する事業を始める。もともと家賃保証の業界団体が計画していたが、「業者から一方的に『悪質な滞納者』と認定された人は、住まい探しが難しくなる恐れがある」との批判が出て、結論を先送りしていた。9社は今回、業界団体とは別行動の形でDB化に踏み切る。
9社を含む賃貸住宅管理者ら約1100社が加盟する「日本賃貸住宅管理協会(日管協)」が29日発表した。9社は来月、DB化を進める社団法人「全国賃貸保証業協会」を設立。他に家賃保証の約10社が参加の意向をみせているほか、日管協も人材や資金面で支援する。将来は、家賃保証以外の日管協の加盟各社も、入居者の信用情報を提供する見込みだ。
新法人の会員になった家賃保証会社は、連帯保証している入居者の毎月の家賃支払い状況を登録する。情報登録の開始時期は未定だが、運用を始めて2年後には、約1260万戸の民間賃貸市場の2割弱にあたる240万件の情報が蓄積されるとみている。
日管協の三好修会長は会見で、家賃をきちんと支払っている入居者の記録がDBに残る点を挙げ、「住宅困窮者の信用補完になり、多くの人が安価な保証料で保証を受けられるようになる」と強調した。
DB化構想は、家賃保証会社の業界団体が滞納を繰り返す悪質な入居者を締め出す狙いで推進していた。これに対し、一時的な家賃滞納でもDBに記録されれば常習者と同様に賃貸住宅を借りにくくなる恐れがあるとして、低所得者支援団体などから批判が相次いだ。
このため新法人の会員は、失職などによる一時的な滞納者の保証引き受けを安易に拒否しないことなどを申し合わせる。ただ、一度でも滞納して保証会社が代位弁済すれば、その金額が記録されるという仕組みは従来の計画と変わらない。「病気などでやむなく数カ月滞納する人もいる」などとして、業界内にも依然、反対論は根強い。(織田一、古屋聡一)