道内の高速道路で車の逆走が急増している。東日本高速道路株式会社(NEXCO)北海道支社によると、今年8月末までの逆走車両の認知件数は32件で、昨年1年間と同数になった。道警高速隊は「逆走は少しの距離でも重大事故につながる。高速道路走行のルールを知ってほしい」と呼び掛けている。【円谷美晶】
道内の高速道路での逆走車両の認知件数は06年38件、07年44件、08年32件。今年は人身事故は起きていないが、8月には12件の逆走の通報があり、月別としては過去5年間で最多となった。
道警高速隊によると、63歳の男性は8月、札樽道の出口から誤って進入し、約3キロ逆走したところで高速隊に発見された。また、25歳の男性も8月、高速道路と気づかずに札樽道のインターチェンジ(IC)から進入。途中で高速道路と分かり、本線上でUターン。約10キロ逆走したところで発見。このほか、パーキングエリア(PA)で休んだ後、本線に戻る際、誤って逆走するケースもあるという。
道警によると、07年に発見された逆走車両10件のうち5件は61歳以上が運転。08年は5件のすべてが61歳以上で、うち4件は認知症が疑われている。しかし、今年発見した5件は20~70代とバラバラ。道警高速隊は「ETC割引で、さまざまな方向から慣れない車が乗り入れてきていることも要因の一つでは」とみる。
ただ、同隊では逆走の通報を受けた場合、道路を一時通行止めにして追跡するが、逆走車両を発見できないまま規制解除となる場合も多く、原因の特定はなかなか進まない。
一方、NEXCO東日本北海道支社は逆走防止対策に乗り出している。昨年7月、道央道の比布大雪PA(パーキングエリア)に、逆走車両を感知すると「逆走危険」などの警告の表示が出る電光掲示板を設置した。今後、10年7月までに札樽道に2カ所、道央道に15カ所設置する予定だ。
北海道大学公共政策大学院の萩原亨准教授(交通工学)はこうした対策の効果は認めるものの、逆走では高齢者の認知症が疑われるケースもあるため、「今後、逆走が減らなければ、将来的には車に画像認識カメラを取り付け、強制的に道路の白線の内側を走行させたり、車間距離を自動にコントロールするシステムの導入も必要ではないか」と指摘する。
毎日新聞 2009年10月3日 地方版