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【国際】

スマトラ少数派地区に差別の影 被害甚大の中華街支援なく

2009年10月3日 20時05分

 3日、インドネシア・スマトラ島のパダンで、めん類の炊き出しをする中国系住民互助団体の女性ら(共同)

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 インドネシア・スマトラ沖地震の被災地パダンには同島有数の中華街があり、壊滅的な打撃を被った。9月30日の地震から3日たった3日、少数派の中国系住民に対する行政の表立った支援は見えず、“差別”の影がちらつく。住民は自力で救援活動に取り組まざるを得ない状況だ。

 市内に住む中国系住民約4万5千人の90%が集中するとされる2地区の中華街では、オランダ植民地時代の面影をとどめる洋館や中国寺院の屋根が崩れ、れんがが散乱していた。

 中国系住民による互助団体幹部のルクマンさん(58)は「建物の80%が損傷し、これまでに中国系約50人の遺体が収容された。さらに数十人が生き埋めになっている恐れがある」と語る。自身の3階建て住宅も1階部分がつぶれた。

 しかし、市内の至る所で救援活動をしている警官や国軍兵士、行政関係者を、中華街ではほとんど見かけない。

 互助団体関係者は「普段は差別なんか感じないけれど、こんな災害があると、いろいろ考えさせられる」と言葉を濁す。

 自力で救援に取り組む以外に道はなく、走り回る救急車や交通整理の若者も中国系団体の所属。食料や飲料水を積んだトラックも、互助団体が仕立てたものだ。

 パダンを州都とする西スマトラ州の中国系住民は、13世紀ごろに中国へのナツメグ輸出が始まって以来の長い歴史を持つが、多数派はマレー系イスラム教徒。政府が中国系への抑圧政策を採った時期もあり、中国語が話せない住民も多い。(パダン共同)

 

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