裁判員裁判では、法壇に並ぶ裁判員の後ろに補充裁判員たちが座っている。裁判員の後ろに隠れた存在のようにも映るが、経験者の語るところでは評議の場では活発に意見を述べているようだ。法廷でも間接的ながら質問する場面も見られ、存在感を発揮している。
「裁判員の方、質問ありますか」。裁判長が促すように左右を見回すと、補充裁判員の男性がメモを差し出した。
18日午後に判決が言い渡される福岡地裁の殺人事件の裁判員裁判では、これまでの審理でそんな光景がたびたび見られた。裁判官は「補充裁判員からの質問です」と前置きして、証人への質問を読み上げた。
補充裁判員は、裁判員が病気で出席できなくなる場合などに備え、裁判員と同じ手続きで選任される。法廷で審理に立ち会い、評議にも参加するが、被告や証人に直接質問することは裁判員法で認められていない。
ただ、その時々の疑問を解消しておく必要があり、福岡地裁では「メモ質問」の形が取られたようだ。今月上旬の大阪地裁の裁判員裁判でも同様の例があった。
福岡地裁で先週あった第1号事件で補充裁判員を務めた20代の男性会社員は、記者会見で「補充裁判員も市民を代表して来ている。量刑を決めるとき以外は評議に分け隔てなく参加させてもらえた。けっこう意見が言えた」と話した。もう一人の補充裁判員の40代男性も「評議で、自分の意見はすべて伝えた。そのうえで出された判決なので補充も含めた全員の結論だと感じている」と語った。
補充裁判員は必要に応じ、裁判員の人数を超えない範囲で置くことができる。全国初となった8月の東京地裁の裁判員裁判では、3日目に裁判員の女性が体調を崩して補充裁判員の男性と交代。その日に被告に質問した。
さいたま地裁は8月の全国第2号事件で、台風の接近で裁判員が出席できなくなることも予想し、これまでで最多の4人を選んだ。千葉地裁は18日に判決予定の裁判員裁判で、新型インフルエンザの流行を理由に、2人の予定を3人に増やした。(奥村智司)