総選挙/政党の医療に対する姿勢を問う 全国医師連盟が意向調査
2009年8月19日 提供:Japan Medicine(じほう)
第45回衆院選が18日に公示された。自民・公明両党による連立政権の継続を望むのか、それとも民主党を中心とする新政権に日本の舵取りを託すのか。社会保障分野に対する有権者の関心は高く、また、医療関係者にとって疲弊する地域医療の再建は他人ごとではない。有権者として、また、医療の担い手として政党に日本の医療の在り方を問う医療関係団体もでてきた。
全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は総選挙に先立つ6日に5項目の「緊急提言」を公表。政党すべてに送付し、回答を求めていた。回答したのは順に、新党日本、日本共産党、国民新党、社会民主党、民主党-の5政党。自民、公明の両党と、改革クラブからは17日時点で回答を得ていない。 全医連は提言を、「逼迫した医療現場からの切実な訴え」と位置付け、抜本的な対策を講じる必要性を強調する。各政党は、全医連の訴えにどう答えたのだろうか。
提言1:医療費を先進国並みに増額し、医療を大幅な雇用創出の場にすべき。診療報酬は緻密なコストの積み上げで決定する。その過程も透明化すべき。
医療費を先進国並みに増額すべきという全医連の主張に対して5政党は、すべて「医療費のGDP比をOECD先進国並とする」などとして賛同する趣旨の回答を寄せた。診療報酬も増額すべきと認識されており、「診療報酬5億円増、医療設備5億円増を実現する」(国民新党)という宣言も。
医療を支える医師、看護師、コメディカルスタッフを増員する必要も各党が言及し、民主は、医療クラーク、医療メディエーター、補助者らの増員を図る姿勢も示している。 対応割れた国による受診抑制
提言2:医療の需要は、現場の対応能力を超えている。国は急性期医療機関への受診の適正化など、緊急避難的な施策を検討すべき。
急性期医療機関を中心に国策として受診抑制の是非を検討すべきという主張には、政党間で対応が割れた。「賛成です」とだけ記したのは新党日本。共産、社民は慎重派で、「負担能力による命の格差を拡大することになりかねない」(共産)「新たな保険診療の制限につながりかねず、慎重を期すべき」(社民)との立場で回答した。 民主は、国民に実情を公開して認識を共有すれば、不適切受診を抑えられるとの立場を表明。救急業務の所管を、市町村から都道府県に移管するなどとしたが、提言に対する直接的な回答は寄せていない。
提言3:医療の安全を守れるように国と医療機関の開設者は、病床当たりの勤務医師数を増員する努力をし、労働環境の適法化に真剣に取り組む必要がある。
勤務医を増やすべきという全医連の主張には、すべての政党が賛成した。労働環境の適法化には、共産、社民、民主が言及し、「法的労働時間をはるかに超える勤務を強いられ、ゆとりのない過酷な労働環境が医療事故と医師不足を引き起こしていることは明白」(社民)として、関連法規に準じた勤務環境に改めるべきとの認識を示している。
提言4:医師の計画配置は、過酷な労働環境が放置されたままでは不可能。医師を消耗させ、結果的に医師の診療能力の低下を招く。
へき地や離島での診療を義務付けるなど、医師の計画配置を施策として講じることに賛成する政党はなかった。都道府県単位で「医療従事者等確保支援センター」(仮称)を設置し、医療従事者不足地域の要望を受けて、人材の確保・あっせん・休職者の復職支援を行うなどと、具体的に回答したのは民主党。同センターが認めたケースについては、医師らの「兼業は解禁する」とするなど踏み込んで提案している。 ほかの政党もおおむね、医師数を増やし、勤務医が働きやすい労働条件を整備することが優先課題との認識を示し、「医師本人のインセンティブを重視した施策こそ推進すべき」(共産)としている。 無過失補償の範囲は拡大
提言5:医療事故発生時に、捜査機関の介入に先立って、刑事手続きに付す相当性を検討する調査委員会が必要。医療事故補償基金を創設し、患者(家族)救済を図る必要がある。
時機を得た、全国医師連盟からの各政党への意向調査でした。
回答を寄せなかった自民党・公明党には、医療における国民の苦しみを本当にに理解しょうとしているのか、「失望」というよりもこれまでの政権政党としての無責任さを痛感せざるを得ません。
少なくともこの4年間、「小泉構造改革」の名のもとに日本の医療を崩壊に導いてきたことを真摯総括もせずに、そもそもこれからの医療を語る資格はないのですが・・・。
回答を寄せた各野党は、おおむね一致した内容ですが、「提言2の医療の需要と国による急性期医療機関への受診の適正化」については意見が分かれました。
急性期医療機関への軽症患者さんの過剰な受診は、確かに医師をはじめ医療従事者に大変な負担をかけると同時に、緊急に医療処置の必要な患者さんに十分な医療の提供ができなくなることになります。
こうした事態になった最大の要員は、医療体制を崩壊に導いた医療費削減政策を推進した自公政権にあることはもはや自明なことです。
しかし、現実に起きている特に救急医療の現場の困難を、国の政策として「受診抑制」させることは、患者さんの受療権を国に明け渡すことにはなる可能性があります。
自公政権により崩壊させられている救急医療の現場での患者―医療従事者の関係は、それこそ現場での双方のやり取り、特に患者・住民の方々の十分な理解のうえにの協力関係の確立が重要ではないでしょうか。
そうしたことを充分、保障するのが政府と行政の責任というものではないでしょうか。
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