福岡市中央区の大濠公園で自転車同士が衝突し、同市内の女性(当時80)が死亡した事故で、女性の遺族が相手方の男性と公園を管理する市に総額約2870万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、福岡地裁であった。岩木宰(おさむ)裁判官は男性に3割の過失を認め、約720万円の賠償を命じた。一方、遺族側が、現場の見通しが悪かったのは市の生け垣の管理に落ち度があったと主張した点については、請求を棄却した。
判決によると、06年7月7日午前11時半ごろ、園内を周遊するサイクリングコースを走っていた男性と、通路からコースに入ろうとした女性が衝突。女性は転倒して頭を打ち、同月14日に脳挫傷で死亡した。判決は、男性が競技用自転車で時速20〜30キロで走行中、直前で女性に気づき、ブレーキをかけたが間に合わなかったと指摘。女性の側も、速度を落として安全確認をすべきだったと過失を認めた。
また、現場には高さ2.2メートルの生け垣があったが、判決は「基本的には利用者同士が注意して危険を防ぐもの」と、遺族側の主張を退けた。
現場の生け垣は事故後、再発防止のため、低く刈り込まれるようになったという。