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 第11回
 もーろー日記
 3Dで飛び出す!?特殊映像の夏!!



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2009年09月30日
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 第12回 映画館側から見たアニメ映画戦略 ]
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斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」
第12回 映画館の側から見た、アニメ映画戦略(2)
    -東京テアトル・太田取締役&沢村番組編成担当に聞く-

斉藤守彦

【関連商品のショップでの売上高は、興収対比50%以上!!】

 映画館の経営を支える収入源は、興行収入だけではない。コンセッションでのポップコーンやドリンクの売り上げ、そしてショップにおける関連商品の売り上げも、大きく経営に寄与する。とりわけ熱心なファンを持つアニメ映画は、この関連商品の収入の売上が凄い!!

−アニメを上映する上で、関連商品の売り上げとかも、選択基準に入りますか?
沢村 
もちろん、番組を組んだ時にきっちりとお話させていただいてます。
太田
大事だよね。

−「空の境界」がバカ売れしてますけど、だいたい平均して、アニメ映画の関連商品売り上げって何%ぐらいですか?
沢村 
50%から多い時で70〜80%。場合によっては、興収以上に物販が上がります。

−ええええっっっっ!!!??
太田 
上がりますよ。基準50%ぐらいにおいてます。それが3Cのうちの「コレクション」なんですよ。金に糸目をつけない人が多いので。
ファミリー・アニメの場合は、お金を落とさないですから。ポケモン・グッズがせいぜい購買率20%ぐらい。ところが「空の境界」とかの場合、並んでるもの全部買っていきますから(笑)。

−いわゆる、大人買い。
太田 
1人1万5000円とかね。
沢村 
それを2セットってこともある。
太田 
一度入って来て、並んでるから物販だけ先に買って、映画はまた次の日に見に来るという人もいますから、二重に美味しい。ひとり当たりの単価が、3500円から場合によっては4500円。滅茶苦茶高い。これが初速で行ける。

−初速とは?
太田 
初日から4週間の間ですね。それぐらい最高で狙っていける。それほど単価が高い。しかも宣伝費をほとんどかけずに劇場拡大が出来て、フレキシブルに対応出来るメリットがあります。
沢村 
ネットの住人がお客さんだということもありますが、ネットに自分から情報を拾いに行くお客さんなんですよ。 

−自分から拾いに行くんですか?
沢村 
なかなかそういう能動的に見てくれてる人はいませんよね。公式ホームページのアクセス数が、実写映画とひとケタ違います。普段の公式ホームページが、実写1000件だとしたら、アニメの場合は10000件あります。アクセス数自体、ケタが違う。
物販も、売れるかな?と思ってやたらに並べてもダメで、そこはお客さんとの駆け引きもあります。その作品にあった商品とかを研究したり、メーカーさんとも話しますね。

【アニメ・ファンと鉄道マニアの生態は、共通している?】

 アニメ映画のヒット作に恵まれているテアトル新宿といえども、作品的な評価は高かったものの、それが興行に反映されなかった、残念な例もあった。

−「ストレンヂア」は、クォリティこそ高いものの、数字の上では今ひとつだったと聞いておりますが?
沢村
「ストレンヂア」に関しては、戦略上の…結果論に近いですけど、やりきれなかったところがあります。それは別の作品で取り返しました。
あの失敗を繰り返さないように、あそこから学んだものは多かったです。
太田 
僕はアニメの作品を見て、きちんと分析出来る人間ではないけど、例えば鉄道マニアって、切符が好きなマニアと、模型が好きなマニアと、列車の写真を撮るのが好きなマニアと、いくつかのマニアのカテゴリーに別れているじゃないですか。場合によってそこが重なり合ったり、そこに間が出来たりしますよね。
アニメもそれに近いものがあるんじゃないかと見ています。コミケのインディーズ系に近い層から、ちょっとエロからファミリーから、それが微妙に重なり合ったりしてるんですが、稀に空白地帯に落ちちゃうと、この瞬間、拒絶が始まると思ってるんですよ。「ストレンヂア」みたいに。
沢村 
そうですよねえ。 
太田
鉄道とアニメって、共通項があるって見てたんです。どっちも僕はそんなに興味があるほうじゃないから(笑)俯瞰して見ていると、その間にハマらないとこに落ちた場合、二極化のさいたるもの。ハマるとうまく行く。
さらに「空の境界」はどうか分からないけど、重なり合ったとこのど真ん中に落ちると、ドカンとうまく行くんじゃないかな?生態として見ています、マーケットを。

−僕達は一言でアニメ・ファンとくくりがちですが、本当はいけないんでしょうね。アニメの何が好きな人って、色々あるんですよね。それぞれの人に価値観があって、いくらまで出してくれるか。それが全部分かれば、そういうマーケティングが可能になりますが。
太田 
だからこのアニメを誰に見せたいのか?というところを、もの凄くがっちりしっかりしていて、そこだけはマーチャンダイジングも絶対に外してなくて、まずそこに届かせることが出来れば堅いんでしょうけど。
ところがそれがブレるとズレてしまって、拒絶が始まるんでしょうね。アニメ・ファンは自分で情報を取りに行きますから。最近の映画ユーザーは、情報が降りてくるのを待つ。だから宣伝されると拒絶が始まる。コア・ファン層を狙う時って、そのターゲットにフィットしてないと、突然それが出てくるんですよ。

(1)  アニメ・ファンの「3C」攻略が、コンセプト。
(3)  ネット主体の宣伝でヒットした「センコロール」

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posted by animeanime at 2009.09.30
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