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「自民」への迷い 地域と対話 政策磨け

2009年09月25日

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「すべて実現したら日本は『夢の国』になる」。首をかしげながら、民主のマニフェストをながめていた

 「藤井裕久さんは元大蔵官僚。財務相になっても、しがらみで改革は難しそう」「岡田克也さんが外相だと、頑固そうだから米国と摩擦を起こすのでは……」

 東京都に隣接するベッドタウンで不動産会社を営む市場司さん(54)=仮名=は、鳩山内閣が発足した16日夕、自宅でテレビに見入った。衆院選での民主大勝は覚悟していたが、長らく自民を支持してきた市場さんには、戸惑いがあった。「いったいどんな国づくりをしてくれるのか、わからない」

 高速道路無料化や子ども手当などが並ぶ民主のマニフェスト。だが、市場さんが何よりも望むのは景気回復だ。景気が上向けば、銀行の融資を取りつけられ、事業拡大が期待できる。「どれもこれもやりますでは政策の安売り。信用できない」

 今回当選した民主の新人は143人。議員として一人前になるのには時間がかかると思う。「小沢一郎さんが育てるのだろう。次第に党内の小沢色が鮮明となり、鳩山さんはだんだんやりにくくなるのでは」

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 今回の衆院選は、自民候補とは距離を置いた。いつもなら店先の目立つ場所に掲げる自民候補のポスターも、外からも見えないよう事務所の奥に張った。「入居者や家主らも色々な考えを持っている人がいる。今の政治事情ではポスター1枚張るだけで仕事を失うかもしれない」と考えたからだ。

 「今回は無理だよ。一度民主にやらせればいい」。動けば一定の票が集まる地域の自民支持者が漏らした一言に何となく納得できた。

 ただ投票日の8月30日、市場さんは迷わなかった。逆風といわれる中だからこそ自民の底力を信じたかった。

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 昨秋、麻生前首相の就任直後なら、ここまで大敗しなかったと思う。「首相としての技量に対して『審判』が下される前に、選挙をやればよかったのだが……」

 不動産業界も生き残り競争が激しい。不動産を購入したくても銀行からは融資を断られ、事業拡大は難しい。マンションの家賃収入でやりくりする状況を強いられている。

 だが、麻生前首相が選挙戦で強調したのは、4度の補正予算で景気に光が差してきたこと。「少しでも景気が回復していたら有権者もここまでは見放さなかった。麻生さんの認識と、有権者には温度差があった」

 「長い間権力にあぐらをかいてきたつけが回った」と思うが、自民支持を変えるつもりはない。地元選挙区の自民候補には「この4年間、地域で姿が見えなかった。地元を大切にするのが自民の本来の姿」と、活動不足への反省を求める。

 新政権は、経験不足に加えて在日米軍基地のあり方などを巡って順調にはいかないだろうとみる。「民主がマニフェストを着実に実行して日本がよくなればそれでいい。でも、そう遠くない時期に自民の再登板が訪れる」

 次の総選挙まで、長ければ4年間。政策を磨き、地域との対話を繰り返すことで力を蓄えてほしいと、野党の自民に注文する。

 民主の歴史的大勝に終わった今回の衆院選――。前回05年には小泉改革を支持した有権者は、どう感じたか。長年自民を支持してきた不動産業者、酪農家、年金生活者の3人に、新政権を担う民主と野党になった自民への思いを聞いた。

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