“起源”のガッツさん「ＯＫ牧場よ」…朝青龍のガッツポーズ

ガッツポーズの“起源”ガッツ石松氏は、朝青龍のパフォーマンスに「ＯＫ牧場よ」と持論を展開

　大相撲秋場所で復活Ｖを飾った横綱・朝青龍（２９）が、土俵上で見せたガッツポーズに土俵周辺からは厳しい声が相次いでいる。しかし、本当のところどんなもんなのだろうか。ガッツポーズの生みの親とも言われるボクシング元ＷＢＣ世界ライト級王者のガッツ石松さん（６０）と、コラムニストの小田嶋隆さん（５２）に聞いてみた。

　朝青龍の一件を切り出すと、ガッツさんは待ってましたとばかりに持論をぶちまけた。「オレにとってはＯＫ、ＯＫ、ＯＫ牧場（すごくＯＫ）だよ。ＯＫ農（ＮＯ）場じゃない。あれは気合の意思表示。勝利の雄たけびなんだ」

　そもそもガッツポーズについて「オレが起源という説が一般に普及しているな」と若干誇らしげなガッツさん。神聖な土俵の上で「見せてはいけない感情表現」とする風潮には、やや首をかしげる。「右手は自分のために、左手は応援してくれた人々のために挙げるもの。それがガッツポーズだ」と、ファンへの「感謝」の意味があることを強調。事実、２７日の国技館は横綱のパフォーマンスで大いに沸いた。

　ガッツさんは、朝青龍のガッツポーズを「朝焼けポーズ」と命名したいという。「貴乃花が引退して相撲界がたそがれている時に現れたのが『朝焼け（朝青龍のこと）』だろ？　そんな暗い土俵に光りを当ててくれた朝焼けのことを横審の皆さんが常にあーだこーだ言うのは突っつきじゃないのかね」

４場所ぶりの優勝を決めガッツポーズを見せた朝青龍

　ライバルである白鵬とのキャラの違いにも着目する。「白鵬が同じ事をしても、ここまで言われないと思うぞ。ヒーローとヒール、つまりプラスマイナスがないと電気はつかないんだ」

　ただ喜びと感謝の発露ということでは肯定するものの、多少の遠慮も必要だという。「相撲界ではイカンとされているなら、自重しなきゃいけない部分もある。国技だから、お国柄もある。禁煙席でたばこを吸っているようなもん。今後は気を付けろよ」。さりげなくバランスも取りつつエールを送った。

　一方で、小田嶋さんはファンの思いを代弁する。「日本人力士が全く勝てない中、いい取組を見たいファンにとっては、ガッツポーズのことなんてどうでもいい、さまつ中のさまつなことなのかもしれません。甲子園に出る球児たちのまゆ毛がどうだ、こうだという高野連に似ているなと思いますね」

　むしろ問題は、一般のファンの視点から離れた協会の体質にあるとする。「日本相撲協会は、相撲を伝統文化として位置づけながら、一方で、世論、テレビ視聴率、観客動員を気にしています。伝統だと言いながら、一方でその時々の商業主義と密接に結びついている。そこに矛盾があるのではないでしょうか。そもそも外国人力士を受け入れたのは協会です。結果、両横綱がモンゴル人となり、ああいう熱の入った取組を見ることができたんです」

（2009年9月29日06時01分スポーツ報知）

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