サブカテゴリー

石原さん大打撃…五輪とともに3兆円も消えた

招致プレゼンテーションに燃える思いで臨んだ鳩山首相(左)と石原都知事だったが…
招致プレゼンテーションに燃える思いで臨んだ鳩山首相(左)と石原都知事だったが…
Photo By 共同

 2016年夏季五輪開催を争った国際オリンピック委員会(IOC)総会で東京が落選した。新銀行東京の経営再建、築地市場の移転問題などで追いつめられつつある石原慎太郎東京都知事にとって、52年ぶりの夢舞台開催は求心力回復の起爆剤になるはずだっただけに、大きな打撃となりそうだ。東京開催の経済効果は3兆円近くになるともされていただけに関係者には落胆が広がった。

 「五輪招致は都政で唯一といえる明るい話題だった。失敗した今、知事のやる気、気力を維持できる政策を準備しないと、(3期目の)残る(任期)1年半、求心力はさらに落ちる」と局長級幹部は懸念する。

 新銀行東京の経営再建、築地市場の移転などで追い詰められつつあったが、7月の都議選が拍車をかけた。民主が第1党に躍進、知事を支えてきた自民、公明の与党は過半数割れ。「築地移転の予算が通らなくなる」。都の幹部は頭を抱えた。

 都の幹部は「招致活動費は公表している150億円どころじゃない。招致本部以外の局にも関連イベントをやらせている。総額いくらになるのか。住民監査請求が相次ぐのでは」と指摘。都内にばらまいたのぼり旗やポスターの回収、廃棄費用もかさむ。

 都議会でも共産などが「税金の無駄遣い」と反対。今後、招致活動の実態が追及されそうだ。

 最後の大きな招致イベントだった9月23日の表参道パレード。知事はオープンカーに同乗した招致大使の萩本欽一に漏らした。「こんなに尽くしたんだから、これで東京で(五輪を)やらなかったら本当につれえよ」

 ≪期待の経済効果が…≫多くの企業にとって16年は「遠い先」であり、五輪開催に伴う具体的なメリットを想定するような状況ではなかった。それでも公共事業削減で受注低迷が続く建設業などは「五輪が状況打開のきっかけになるかもしれない」と期待。五輪ほどの大型イベントの国内開催予定がほかに見当たらないだけに、落選には失望感が強い。

 東京都が今年から16年までを対象期間に行った試算によると、五輪開催に伴う直接、間接の経済効果は全国で2兆9400億円。うち1兆3900億円分は東京都以外で発生すると見込まれ、経済効果は全国に広がるとされていた。

 前回の東京オリンピックとは異なり、今回は既存施設の有効活用がテーマだったが、それでも競技場の整備・改修、選手村の建設などに官民で4000億円を超える資金が投入される計画だった。東京都の試算には道路や鉄道などのインフラ整備費は含まれておらず、実際の経済効果はさらに大きいとの試算もあった。第一生命経済研究所の永浜利広主任エコノミストは、日本の国内総生産(GDP)が建設投資や消費支出の増加などで五輪開催直前の4年間に計約6・4兆円押し上げられると試算していた。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2009年10月03日 ]

関連ニュース

読み込み中..

PR

関連写真

読み込み中..

注目アイテム

ニュース

クイックアクセス

選手名鑑

Go!アスリート

北京五輪特集

スペシャルコンテンツ

このページの先頭に戻る ▲