どぶろくの作り方

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 先進諸国の中では珍しく、我が国では個人がアルコール類を醸造する事は禁じられている。  酒税法による税金の収入が減るのを恐れたための法律だろうが、現在では現実離れしていると云わざるを得ない。
 外国ではビール作り、ワイン作りのキットみたいなものが、普通のスーパーで売っているらしいが、料理をするのと同じようなレベルで酒作りが行われていると云ってもいいのだろう。
 ところが、不思議なことに、我が国でもワインや濁酒を造って、逮捕されたと云う話は、ただ一件をのぞいて、聞いたことが無い。
 それどころか、酒造りの本は出ているし、ネットでもその手の記事は一杯アップされている。
 そんな事もあって、この記事を読んで、濁酒を造った結果、なんらかのトラブルが生じたとしても、もちろん、責任を負うものではないので、為念。

 なお、ここで紹介するのは、前田俊彦編「ドブロクをつくろう」(昭和56年農山漁村文化協会発行)を参考にして、自分の経験を加えながら書いたものだ。

まずはくされもと
この作り方は、市販のドライイーストなどを一切使わず、水、米、麹のみで酒を作る、一番基本的な作り方と云えるだろう。
まず、「くされもと」を作る。
よく洗った容器に米3合に水3合を入れる。 米と水が入ったガラス瓶
容器を洗う際に、洗剤の類は使わない事。
水は水道水を使うなら沸騰させる、もしくは数日放置するなどして、カルキ抜きをする。
これにガーゼなど綺麗な布袋にメシを一握り入れたものを一緒に入れる。
これをなるべく涼しい場所に置いて、そのまま数日間うるかす。
一日一回程度かき回し、その時にその袋をしごいておく。
甘い発酵臭、酒っぽい匂いがしてきたらOK、つまり「くされもと」の完成である。

いよいよ仕込み
米をざるに上げて水を切る、その水(これがくされもと)は捨てずに大切にとっておく。
米を少し固いめに蒸す。
蒸し上がった米 揉みほぐした麹
蒸し上がった米、妙な色が付いているのは、たまたまこの時に使った手拭いの色が下りてしまったためだ。
こちらはスーパーで買ってきた麹をほぐしたもの。
蒸し上がったら、人肌くらいまで冷まして、それに2合の麹を加えて、よく混ぜる。
混ぜ合わせた米と麹 米と麹にくされもとを加えた
米と麹を混ぜ合わせる。 瓶に入れて、くされ元を加えた。
瓶 これを大きめの容器(桶、瓶、ガラス瓶、etc)に入れる。
先ほどとっておいた水(くされもと)を加えて、布、新聞紙など、通気性のあるもので蓋をする。
間違っても密閉しないように、爆発もしかねないから。
水の量はそれほど厳密ではないが、ちょうどひたひたに成るくらいでいいだろう。
これで仕込みは完了だ。


気長に待つ
気温などにより、多少は違うが、数日すると、湧き始める、つまり発酵が始まる。
麹の働きで米が糖分に代わり、同時にくされもとの酵母の働きでその糖分がアルコールに変わっていくわけだ。
さかんに泡(二酸化炭素)が出てくるようになるので、一日1、2回程度、攪拌する。
この時点で味をみると、かなり甘いはずだが、これはこれで結構美味しい。
盛んに湧いてきたどぶろくの画像 最終段階のどぶろく
さかんに湧いている。 これはもう最終段階。
一日ごとに甘みが消えて、酒っぽく成っていく。
どぶろくは、どの段階でも、それなりに美味しいものだが、試飲(試食?)しすぎて完成するまでに無くなってしまった、と云うようなことにも成りかねないので注意しよう。
ある程度甘みが無くなったら、完成だと思っていいだろう。
もし甘いのが好みだったら、その段階で加熱してやれば、発酵は止まる。
黒い器 白い濁り酒は、こう云う黒い器で飲むと、ことさら美味そうに見える。
この段階でも、酵母はまだしっかり生きて働いているから、一日ごとに味は微妙に変わっていく。
そんな変化を楽しむのもまた自作どぶろくならではの醍醐味だろう。