電車内の痴漢事件で、最高裁が14日に無罪判決を言い渡したことに関連し、警察庁の吉村博人長官は16日の定例記者会見で「痴漢事件の捜査のあり方について、多角的に検討していく必要がある」と述べた。
今後、警察庁と首都圏、近畿圏の警察本部で痴漢事件捜査の実態を把握し、検討会などを開くという。
吉村長官は無罪判決に対して「被害者供述の信用性の問題であり、痴漢事件への捜査に直接、影響があるとは言えない」と指摘。
その上で、電車内での痴漢事件捜査について「通勤時間帯には目撃者をなかなか確保できず(容疑者が)否認している場合などは立証が難しい」と話した。
最高裁は判決で、満員電車での痴漢事件は「客観的証拠が得られにくく、被害者供述が唯一の証拠となることが多い上、被害者の思い込みで犯人とされた場合は防御の手だてが容易ではないとの特質から、特に慎重な判断が求められる」と指摘した。