インタビューに答える宇宙飛行士の若田光一さん=30日午後、東京・丸の内の宇宙航空研究開発機構、池田良撮影
国際宇宙ステーションに4カ月半滞在した飛行士の若田光一さん(46)が日本に帰国中の30日、朝日新聞とのインタビューに応じた。宇宙での長期滞在で、骨粗鬆(こつそしょう)症がどれだけ抑えられるかが注目されていたが、若田さんは「運動と骨粗鬆の薬を併用する初めての試みによって、骨密度はむしろ増えていた」と明かした。
宇宙航空研究開発機構の大島博医師によると、宇宙に4カ月半滞在した場合、これまでの宇宙飛行士のデータなどから、通常、骨の強度は10%、密度は7%ほど減ることがわかっている。しかし、宇宙機構と米航空宇宙局(NASA)がCTスキャンなどで若田さんの体を調べたところ、強度はほとんど変わらず、密度は逆に増えていた。
若田さんは宇宙滞在中、NASAが作った新型のトレーニング装置で1日2時間運動していたほか、骨粗鬆症の薬を飲んでいた。ISSに滞在する飛行士として若田さんが初めての被験者となった。
運動と予防薬のどちらがより効果があったのかは、実験例が若田さんの一例しかなく分からないという。若田さんは「宇宙に長期間滞在すると、放射線と骨の問題が生じるが、骨についてはほとんど解決できるのではないか」と語った。
宇宙航空研究開発機構は、若田さんのデータを生かし、日本に1300万人いる骨粗鬆症患者の治療や、骨折の予防に役立てたいとしている。