若い女性の飲酒、気をつけて!

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男性よりアルコール害受けやすい 少量、短期間でも注意

 厚生労働省の研究班の調べで、20代前半の女性の飲酒率が男性を上回ることが分かった。深酒する女性も増えているとみられる。男女共同参画の時代になったとはいえ、中年男性の不健康な生活習慣までまねてはいけない。子育ての中で、きちんと教えておきたい問題だ。 (安藤明夫)

 研究班の調べでは、過去1年間に1回以上飲酒した人の割合(飲酒率)は、全体では男性83.1%、女性60.9%。前回調査(2003年度)に比べ、男性で2.2ポイント、女性で0.9ポイント下がった。しかし、20代前半の女性は、90.4%(10.4ポイント増)で、男性の83.5%(6.9ポイント減)を逆転した。

 また、1日のアルコール量が60グラム(日本酒換算で3合)を超える多量飲酒者も、20代前半の女性は6.7%から11.7%に増えた。

 女性は男性に比べ、アルコール依存症や肝臓障害の進行が早いことが明らかになっている。

 男性の場合、10-20年かけて依存症になっていくことが多いが、女性はその半分の年数で症状が始まるとされる。一般に男性に比べて肝臓が小さく、アルコールの吸収・代謝が遅いため、男性より少量・短期間で問題が現れやすい。また、妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通じてアルコールがおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあり、早産、流産につながったり、胎児性アルコール症候群(FAS)という病気を発症することもある。

 アルコール・薬物問題全国市民協会(ASK)の今成知美代表は「人類の歴史上、女性の飲酒率が男性を上回ったのは初めてでは。大変な事態が進行している」と警告する。

 ASKがことし7月に大手酒類メーカー9社の企業CM、ホームページ限定CMなど146本を調べた結果、登場人物は女性が男性を上回り、チューハイ、梅酒、ワインの分野は完全に女性主流だった。

 1人気ままに楽しむ、仲間と盛り上がるといった提案が多く「自由気まま、のびのび、元気に、かっこよくというムードで、男性と対等に飲みなさい、と強いメッセージを発している。しかし女性がアルコールの害を受けやすいことは一切語られていない」と今成代表。

 女の子の方が、何ごとにも積極的で学業も優秀とされる時代。親は、将来への意欲を応援するとともに、自分の体を大切にすることを教えていきたい。

 もちろん、心身に影響の出やすい未成年飲酒は、性別を問わず禁物だ。

(2009年9月30日)