重い心臓病のため米国で移植手術を希望している福岡県飯塚市の宮薗雄一さん(26)を支援する「雄一君を救う会」(渡辺誉土亜代表)が同市に設置していた募金箱が盗まれた事件で、「犯人」を名乗る同市の20代の男が、救う会に返金に訪れていたことが30日、分かった。同会は「募金をしてくれた人への謝罪が先」と受け取らなかった。
飯塚署によると、事件は8月12日夜、飯塚市小正のコンビニで発生。約4000円が入った募金箱が盗まれた。
同会によると、男が同会事務所(飯塚市)に来たのは20日午後7時ごろ。玄関で土下座し、「コンビニで募金箱を盗みました。新聞報道を見て、とんでもないことをしてしまったと気づいた。すみません」と泣きながら謝罪。現金が入ったとみられる封筒を渡そうとしたという。
同会は受け取りを拒否し、出頭を促した。男は同日夜、飯塚署で任意の取り調べを受けた。同署などによると、男は「当時は酒に酔っていた。募金箱はすでに捨てた」と話したという。同署は犯行現場のコンビニの防犯カメラの映像が不鮮明なことなどから、引き続き捜査する方針。
雄一さんの父、幸一郎さん(58)は「受け取る気になれなかった。まずは多くの人の善意を踏みにじったことを自覚してほしい」と話した。
同会の募金箱の窃盗事件は、同県嘉麻市でも起きている。
=2009/10/01付 西日本新聞朝刊=