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<速読こそすべて>

きつねのイラスト速読こそすべて(10)


V 速読により理解度が高まる

1、あなたの思い込みの理由
 あなたは、「本を速く読めば、理解度が落ちる」と思っていますよね。速読は確かに日本語力を伸ばすすばらしいものかもしれないけれど、情報収集の手段としては価値がないのではないか、とあなたはおっしゃることでしょう。
 残念ながら、あなたは間違っています。真実は、「速く読めば読むほど、理解度が高まる」です。
 なぜあなたは、「速く読めばそれだけ理解度が落ちる」と思い込んでいるのでしょうか。あなたの思い込みの理由から分析してみましょう。
 理由は2つあります。あなたの過去の経験と世の中の常識です。

(1)あなたの過去の経験
 あなたは、本を熟読するタイプの方です。一字一句きちんと意味をとりながら、じっくりと紙面を追っていきます。「文章は味わって読むものだ」とあなたは思っています。
 そんなあなたが、あるとき時間に追われ、本を速く読まなければならないことがありました。たとえば、大学のレポートの締め切りが迫っていて、そのために多量の読書をしなければいけない、じっくりなど読んでいられない、といったような場合です。
 やむなくあなたは急いで本を読みました。その結果、熟読するのと比べて理解度が低く、良いレポートは書けませんでした。あなたは、ため息まじりにつぶやきました。「やっぱり本というものは時間をかけてじっくり読まないと、きちんと理解することはできないなぁ」。

(2)世の中の常識
 「速く読めばそれだけ理解度が落ちる」が世の中の常識です。常識とは、多くの人がそう思っているということで、いわば多数決の論理です。常識はとても恐いものです。多くの人がそう思えば、誤りですらも真実と誤解されてしまいます。
 あなた自身の過去の経験に加えて、世の中の常識もあり、これだけ材料が揃えば、あなたが「速く読めばそれだけ理解度が落ちる」と誤解したのも、無理からぬところです。

 それでは、あなたの思い込み(世の中の常識)をくつがえします。真実は、「速く読めばそれだけ理解度は高まる」です。

2、秘密は、忘却曲線にある
 あなたは、「速く読めば理解度が落ち、じっくり読んだときに最高の理解度が得られる」と思っています。本当にそうでしょうか。
 ここで人間の記憶力に着目しなければなりません。忘却曲線というものをお聞きになったことがありますよね。人間は聞いたり読んだりした直後はちゃんと覚えているけれど、時が経つにつれ、どんどん忘れていくというあれです。普通ならここで忘却曲線のグラフなどを書くのですが、私はいたずらに話を難しくするのは好きではありません。もっと簡単にしましょう。
 今あなたは本書を読んでいます。1行を読んだあとは次の1行の頭に目を移し、その行を読みます。そしてまた次の行へそのまた次の行へ、という形で読み進めていくわけです。
 何を当たり前のことを言ってるんだ、などと怒ってはいけません。当たり前と思っていることが本当に当たり前なのかを検証することから、常識の破壊が始まるのです。もう少し我慢してつきあってください。
 ここであなたに課題を提示します。本書を机の上に伏せてください。そして、あなたが最後に読んでいた行の1つ前の行を、空で言ってみてください。
 いかがでしたか。あなたがよっぽどの天才でない限り、今読んだばかりの前の行がなかなか思い出せないでしょう。なんとか言えたという方も、今一度本書で確認してみてください。一字一句正しくは言えなかったことが確認できるはずです。
 これが、人間の記憶力です。なんともはや貧弱極まりないものであることがわかります。
 あなたが、じっくりゆっくり本を読めば、先に読んだ行を次から次へと忘れていってしまい、文意がつながらなくなってしまうのです。
 一方、速く読めれば、1行を忘れる前に次の1行を読めるのですから、筆者があなたに伝えたいと意図したとおりに、あなたは文意を汲み取ることができます。
 ここで驚くべきことが明らかになりましたね。あなたは、「熟読こそが最高の理解度を実現する」と思い込んでいましたが、それは間違いで、「速読こそが最高の理解度を実現する」が真実だったのです。
 常識を信じ込むことの恐さもまた併せて認識していただけたものと思います。

熟読と速読
熟読と速読

3、読み飛ばしはどうする
 でもあなたはまだ、なんとなく釈然としません。“速く読んだほうが、前の1行を忘れる前に次の1行を読めるので意味がつながりやすくなる”のはなんとなくわかる。でも、速く読めばそれだけ読み飛ばしが多くなるのだから、結局意味はつながらないのではないか。真島の言うことは詭弁なのではないか。
 あなたの言い分はもっともです。しかしその意見もまた、「速く読めば読み飛ばしが増える」との誤解の上に成り立っています。
 次はこの誤解をといていきます。

4、速読はむしろ読み飛ばしを減らす
 そもそもあなたが、速読を誤解していらっしゃいます。いまだにあなたは、速読を「急いで読むこと」と思っていますね。先にご説明したとおり、私のいう速読は、「急いで読むこと」ではありません。その部分を引用します。速読の定義です。
 「速く読もうと意識せずに1冊の本を読み終えたとき、結果的に人より速く読め、理解度もアップする特殊技術」
 速読とは、けっして「急いで読むこと」ではありません。本人の意識のなかでは、あくまでも普通の速さで無理なく読んでいます。ところが、読み終えて時間を計ったときに、人より速く読めたことに気づくのです。
 したがって、速読を行っても、読み飛ばしが増えることはありえません。読み飛ばしのない状態で常人より速く紙面を追えるのですから、結果必然的に理解度が高まる、というわけです。
 特殊な技術を身につけるには、特殊な訓練が必要です。特殊な訓練を積んで、速く読んでも読み飛ばしをなくす技術、それが速読なのです。
 具体的には「アイ・スパン(読視野)を広げる」という訓練を行います。今あなたが一字一句読んでいるとすれば、訓練によって一度に2つ、3つの単語を同時に理解できるようにするのです。
 「そんなことできるわけないじゃないか」というあなたの声が聞こえてきそうですが、何度も申し上げているように、思い込みは禁物です。頭を柔軟に保ったうえで本書を読み進めてください。
 あなたが懐疑的な理由は、あなたがまだ速読訓練に触れたことがないからです。科学的かつ合理的な訓練を積めば、「理解度を高めつつ読書スピードを伸ばす」ことは、現実的に可能なのです。速読訓練の詳細は実践編で述べることにしますね。

5、見開き2ページを一瞬で理解することも可能
 訓練によってアイ・スパンを広げていけば、速く読もうと意識しなくても、速く読めるようになります。究極まで突き詰めれば、理論的には、本の見開き2ページを一瞬で理解するこも可能なのです。
 だってそうでしょう。人の視野は180度あります。ちょっと紙面と目との距離を広げれば(50cm程度にしてください。下図のように、です)、見開き2ページをすべて一瞬のうちに視野に収めることができます。 

人のイラスト

 にもかかわらず、書かれてあることすべてを一瞬で理解できない理由を、あなたは考えてみたことがおありでしょうか。
 答えは、脳の理解速度が遅いからです。
 極限まで脳の理解速度を高めれば、見開き2ページに書かれてあることすべてを一瞬で理解することも、理論的には可能なのです。
 もちろん理論的に可能ということであって、その域まで到達するには大変な訓練が必要でしょう。私自身到底そこまでは達していません。ご参考までに現在の私の読書スピードをお示ししておくと、250ページ程度の普通の文庫本なら1時間半程度、カッパの本のような読みやすい本なら1時間以内で読めます。別に急いで読もうと意識するでもなく、理解度は普通の人より高まったうえで、です。
 科学的訓練を積んだ人からすれば、私程度の読書スピードは、速読家というにはおこがましいレベルなのかもしれません。世の中には見開き2ページを一瞬で理解できる猛者も、現実にいらっしゃるのですから・・・。
 私は独学で速読を学びました。速読学校に通って科学的訓練を積んだわけではないので、おそらくこの程度で限界なのでしょう。しかし私は、今のレベルで十分だと思っています。人の3倍から4倍程度の速さで本が読めるので情報収集は非常に楽ですし、日本語の能力(読み、書き、聞き、話す能力)も飛躍的に伸びました。
 本書の目的は、速読学校を宣伝することではありません。独学でもそこまでやれることを示したいのです。近い将来あなたが、独学で私のレベルまで到達したとして、さらに上を目指したいときには、速読学校の門を叩いていただければいいわけです。

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