カミさん 川柳 名作選U
2004年通販生活の夏号に載っていました。あんまり面白いので転載させて
頂きました。
星のよう 見るほど増える シミの数
評 「見上げてごらん夜の星を」見ていると星ってどんどん増えていくんですね。シミは恐ろしいけ
ど、ま、「星のよう」と思えば、広い心で、生きていけますよ。
息子には 身体で負けても 声で勝つ
評 「声で勝つ」と言い切ってるお母さん、立派です。大きな息子さんも、このお母さんは一目
おいている事でしょう。ただし、うるさく長いお説教でなく、「一喝!!」できまり。
胃カメラの 好結果聞き すみれ買う
評 ”もしかしたら?”という不安の黒雲は一掃され、はればれととした帰り道。まるで又綺麗な
生命を生きはじめるような気持ちで、通りすがりの花屋さんで小さなスミレを買って、、、、
ほのぼのとうれしい一句。
「若いわよ」 「大丈夫よ」と 鏡にいい
評 わかる、わかるこの人。歳をとって容姿に自信がなくなってくると出掛ける時は気合を入れないと
鏡の中の自分に向かって、この二つの言葉を呪文のようにかけて「いってきまーす!!」
幸せとは 隣にありて のぞくもの
評 なるほど、自分のところに在るときは良く見えない「隣の芝生は青い」というけれど、この
「のぞく」ものというのがうまい発見ですね。時々ののぞくだけで幸せになれるなんて、流石
年の功。
八十路超え 妻に叱られ 母恋し
評 男の人って、いくつになっても子供みたいなところがあるんですね。情けないといえば
情けないけど、可愛いおじいちゃん!
そうだよナ そうだよなあと 聞いてない
評 そうだよナ そうだようなあと、繰り返してるところにこの人のやさしくて、いい加減な人柄が
でています。聞いてないことがわかっていても、この人にしゃべりたいの(よね)
眉細く 平安京の 寝顔なり
評 いいですね!こののどやかで、のびやかなる調べ。ひと時、慌しい現代の喧騒を忘れさせて
くれる、そよ風ような一句。
並ぶ足 私は大根 祖母たくあん
評 19歳のお嬢さんですよ。さぞかし艶やかで美味しそうな大根なのでしょう。しかし、たくあん足
というのも、なかなか味がありそうです。
「ママうんち」 その一言で ラガーマン
評 「ラガーマン」が効いてますね!こんなふうに自分をユーモラスに客観視できる貴方は川柳の
達人になれそう。句がはしっていますよ。
スーパーじゃ 三歩女房の 後歩み
評 カゴを抱えて女房殿の後ろ三歩さがってついてまわる、定年後のご主人。いい心がけです。濡
れ落ち葉の葉だったらせめて買い物の荷物ぐらいは持ちましょう。スーパーもなかなか面白い
ところでしょう?
浴室の 排水口が 増毛し
評 わッ!!なんだなんだこの句は?!排水口は生きてたの?コワーイ!!お風呂に入るたびに
この句が蘇りそう。奇想天外な排水溝の増毛発想、お見事です。参りました。
置物の 狸のような 夫待つ
評 待ち合わせの駅前、あ、いた、いた、お父さん。人ごみの中で泰然と、狸の置物のようだわ。
近づくのが恥ずかしいような、いっそそのまま駅前に永久保存してもらいましょうか。
幸せは 喜び上手な 人に行き
評 皆さん、この句、心の中に貰ってくり返し暗礁しましょう。そーだ、そーだ、毎日の小さな出来事を
喜べる人は、いつしか大きな幸せの人になれるんだよ、ということ。
「虹出てる」 ケータイ初めて 見直した
評 まさかケータイからこんなメッセージが届くとは。私もこの句出会ってケータイを見直しましたよ。
うれしいですね。ロマンチックですね。離れたところでケータイ片手に同じ虹を仰いで。
隠し芸 隠しておいて ほしかった・・・・・・
評 ・・・・がなんともボー然と効いていますね。・・・・・・・うーむ、どんな隠し芸だったのでしょうか?
これは普段、好意を抱いている(多分素敵な)人が、突如、宴会か何かで変身して、とんでもない
隠し芸を披露してアゼンボーゼン、ガッカリ。でもご本人は案外サッパリ。
ニワトリの ような亭主で 困ってる
評 この困ってるという奥さんのつぶやきが絶品ですね。毎朝4時頃から「コケッコー」とは叫ばない
でしょうけど、威勢良く起き出すご主人、奥さんは隣の布団の中で困っているんだけど、今日も
元気なご主人にほっとし、又まどろんでいくのでしょう。
「あんただれ?」 毎日いわれ 「私だれ?」
評 介護の現場から生まれたケッ作。相手がボケてる人でも毎日「あんただれ?」と尋ねられたら、
本当にそのうち、そういわれれば「私ってだれ?」という疑問が沸いてきそう・・・・。読む人にも
深遠な疑問を抱かせて、最優秀です。
「だだいま」と いえば主人が 「けっこーです」
評 このアッケラカンとした、面白さ、川柳のようなご主人に鍛えられて、奥さん堂々の最優秀ですよ。
歳をとってもこんな痛快にやり合うご夫婦なら飽きないし、ボケないでしょうね。奥さんの仕返しの
ケッ作を待ってます。
ぶっとんで 段差ありやと 振り返る
評 オーットットット。走行中いきなりぶっ飛んで、危ないところでバランスとって着地。とっさに振り返り。
段差ありや?と窺っている人があざやかに見えて、お見事!しかしこれが73歳のご本人だとしたら
ほんとに転ばなくてヨカッタ、ヨカッタ。
名所より ガイドの鼻毛 気にかかり
評 ある、こういうことって、モジモジと赤い顔して見ているとガイドさんは、”私に気があるのんね”と
勘違いしているかも。
ボケはじめ、他人のボケの 世話を焼き
評 ム・・・呆けはじめの悲しさ、時々ハッと我に返り、自分が呆けていないことをアピールするために
他人の呆けの世話を焼くのだろうか。
精いっぱい やるから失敗 するのかも
評 ナルホド、そうかもしれない。こういう失敗は、きっと成功の母となるんですよ。そう思えば他人の
失敗もあたたかくみられるし・・・・・。
夫婦旅 二度とすまいと 誓う旅
評 なんでこういうことになるんでしょうね。新婚旅行のときとは大違い。お互い地が出て、遠慮がなく
なるせいでしょう。ヤレヤレ。
目は一重 アゴは二重で 腹は三重
評 ひぇぇー、下に行くほど段々重くなってくるのね。でも想像すると何か可愛いですよ。この人、性格よ
さそーだし。
「お若いね」 言ってみたけど 歳知らず
評 実力派、多作派の西郷さん今回も力作揃い。鋭いところを突いていますね。相手がニコニコして「いく
つに見える?」と聞いてきたら、タジッ!!アセッ!!
ピザ食えば 携帯鳴るなり 法隆寺
評 法隆寺で柿ならぬピザ食べる修学旅行生に寺の鐘ならぬ携帯が鳴り出す。このミスマッチが名句の
調べに重なって愉快。
子が育ち 川の字抜けて 溝となる
評 はてさて、二人の間の溝は何で埋めましょう?智恵を働かせて、ペットを飼うか、溝に土を盛ってガー
デニングとか如何?
不景気の 底なし沼を 泳いでる
評 くらーい底なし沼を懸命におよいる皆さん、みんなで泳げば怖くない、なんていったられないけど、生きる
事は、達人になること。
いい嫁の 堪忍袋に 筋腫満つ
評 コワーイ、筋腫出来じゃなく満つというところが凄い。限界ですね。思い切って手術をして、いい嫁を取って
しまいましょう。
おやじ川柳(おまけ)
恋女房 今じゃ化粧の 濃い女房
数年前にカーラジオで聞いた川柳です。
サラリーマン川柳
I T化 とっくに我が家は 愛低下
サラリーマン川柳から拝借しました。
冷静に なればあの恋 ぼけていた
評 恋というものは、”二人のために世界はあるの”(古いね)という状態におちいるものです。ボケられたからこそ
楽しかったといえるし。
夏草や ガーデニングの 夢の跡
評 一時期夢中になっていたガーデニングも飽きて、今はほったらかし。ぼうぼうと夏草が生い茂るだけ。哀調が
あっていい句です。
幸せを 人の不幸で 思い知る
評 幸せって較べるものではないでしょうが、突然の人の不幸をきいたりすると、にわかに平凡なわが身がしみじみ
幸せに思えてくるもの。
やれ打つな 孫が手を噛み 足で蹴る
評 ヒョー、元気の言いお孫さんですね。ちょっと叩いたばかりに、こんな反撃されるとは、
おばあちゃんがんばれ!!
手を抜いた 料理が好きな 我が家族
評 もう一度声に出して読んでみてください。この人の、なんというチャッカリした明るさ。他に「ウォーキング近所の
暮らし見てまわり」も。
「あっ!」と言い 続きを言わぬ パパのくせ
評 あっ!と感心した句。よくぞ川柳にしてくれましたね。このクセ、すごーく気になりますよね。他人事ながら、ムズム
ズしてきます。
低カロリー つきあう夫が やせてゆき
評 あらあら、どうしましょう。自分のためのダイエットが料理が、普段やせている夫にみるみる効いてくるなんて、私
の体重は微動だにしないのに。
うれしさは 一人になったら 2倍になり
評 何か自分だけのいいことがあったんでしょうね。人前では遠慮していたのが、一人になったらこみ上げてきて、字
余りになるほど。うっふっふっふ。
人ごみで 主人のハゲに 導かれ
評 ハゲという言葉は嫌いですが、この句のハゲはいいです。「主人」と「導かれ」という言葉によって、ハゲが神々
しいものになっています。
動物園 ガングロが来て トラ逃げる
評 ”負けました”と、トラがスゴスゴ引き下がる図。そうかもしれないなーと思わず納得、で、ガングロは怖いもの
なし。
記憶力 落ちてなにもかも 新鮮
評 こ、これってコワーイ。歳をとるといつかかんな歓喜の新世界が展かてくるのでしょうか?
人生のマジックショー。
「肩こった」 言えばダンナは 「手がだるい」
評 間髪入れづののダンナの予防線、「もんで」とも言ってないのにね。どこのダンナも似たもの同士で、
忙しい妻はもうキレそう。
木漏れ日に キリン模様に 焼けそうだ
評 大きな木陰で、なにか楽しい遊びに興じているのでしょうか。木漏れ日ときりん模様を結びつけた
ところが素晴らしく、愉快です。
御神輿に どこか似ている 霊柩車
評 へえっ!思いがけない発見ですね。そういわれれば、似ていますね!とても静かなお神輿だけど、
不思議に惹きつけられる一句。
サラリーマン川柳(日本生命優秀賞)
ドットコム どこが混むかと 聞く上司
行って来ます どこへ行くのか 我が亭主
評 匿名希望の方が投稿。御亭主がリストラで無職、寂しくなります。総理大臣何とかしてください。
練習を すればするほど 下手になり(管理人です)
ギターの練習を一生懸命しているのですが、どこが間違っているのでしょう。トンネルに入ったまま
なかなか脱出出来ません。
困るのは 料理の好きな 料理ベタ
評 コレってホント困りそう。え?あなたの奥さんのこと?新婚時代に「マズイ」と言えなくて延々ン十年
普通は進歩するものですけどね!。
姥桜 コーラスの名は さくらんぼ
評 姥桜になって、今一度自分の好きな人生を始めているような元気な女性達、心はみんな、可愛らし
いさくらんぼになって、さあ歌いましょう!
子守唄 歌い終わって 拍手され
評 あらら、お母さんとしてはズッコケますが、心優しいお子さんにしたら、(お母さんの歌を)一生懸命
最後まで聞いてあげて、拍手してあげたんでしょう、眠いのに。
おばあさん と言われて 気づく65
評 「おばあさんて?」キョロキョロ、「ウソーあたしの事?信じられなーい」ホント、そんな感じですよ。
他人の年はみえるけど自分のはみえあないの。
金婚式 わたしは夫 殴りたい
評 ヒェー!おそろしい。でも一発殴って気がすむなら、思い切ってキンコーン!とやっちゃえ。
そこから逆転の明るい夫婦生活がはじまるのだ。
ひざに乗る 孫の重さに ほほ緩む
匿名希望
長電話 ペンが勝手に 名画書く
評 おおっ!長電話中に手が動いてメモ帖に描いた絵が、自分が描いたとは思えないほどウマイの。
うーん、自分の中にはまだ自分の知らない才能が眠っているということか。
「じゃあな」と 子は園庭に 走り去る
評 ナマイキー。本当はいつまでもお母さんと一緒にいたいのだけど、女を捨てる男のセリフに「じゃあな」
なんて母親を突き放して、園庭に走り去るわが児よ。
未来より 過去が輝き 帯びはじめ
評 何歳からでしょう?未来より過去の方が輝き帯びはじめるのは?この口調、しみじみと人生の何かを
訴えかけてきます。帯びはじめといいたところが微妙です。
潮干狩り 振り向き欲の 深さ知り
評 こういう発見の出来る人って素晴らしい!わが来し方の根こそぎといった砂の掘り方。でも本当に
欲深い人は振り向きませんよね。我とわが身をちょっぴり恥ずかしがっている気配がいいナ。
超ビキニ 着れはしたけど 超不気味
評 キャー!超ビキニと超ブキミの掛け合わせ、キョーレツですねー。超ブキミイラストを描こうとしたので
すが描けません。皆さん各自想像してキャーキャー怖がってください。
春日浴び わたげ頭の 爺と孫
評 これから消えてゆく髪と、これからどんどん増えてゆく髪と、一見そっくりのようだけど、全く正反対の
ふたつのわたげ頭に春日がふりそそいで、、、、、
うすめあけ 我が子に布団の 投網する
評 昼間の育児疲れで親も死ぬ眠い、が、布団から飛び出した子が風邪でもひいたら大変、と時々
うす目をあけて正に投網の如く布団を投げる、熟練の母。
「おばちゃん」と 自分で言って 胸痛む
評 多分小さい子に自分のことを「おばちゃん」と言ってしまって、ハッと自分の言葉に傷ついている。
ビミョーな心理をよく掴まえいますね。胸痛む、がいい。
共白髪 2000年から 共金髪
評 オー!!共白髪のお二人さん、やるじゃないですか。これからが人生のゴールデンタイム、鬼に
金棒、夫婦で金髪。もう怖い物無しですよ。
連れ合いに 恵まれてると 人の言う
評 繰り返し読むと、うんうんとよく分かってくる味わいのある句。この「人の言う」がミソですね。
夫婦の内情なんて人には判りません。
「ドッコイショ!!」 相手も負けずに 「ヨッコラショ!!」
評 ナント95歳の方ですよ。すると相手の奥様も、相応のお歳で・・・。差し向かいで元気な掛け声を
掛け合って、深まる老境を楽しんでいらっしゃるご夫婦。このユーモアこそ長寿の秘ケツ。
脳のしわ 消えては顔に 返り咲き
評 キャハハ!!シワが返り咲くという表現がいいですね!。「消えては」進行形にしたところがより
面白い。いやー次々とと返り咲いて華やかな老顔になりそー。(おたのしみ)
痴漢にも 会わずじまいで 更年期
評 うーん、もう一つの「手洗いに入れば吼える裏の犬」と共に、人生の後半期のなんともいえないもの
悲しさをさりげなくしっかりと掴まえている味わい深い句ですね。
夫居て 幸せ留守も 又気楽
評 なるほど、この方、いい生き方をしてきたんでしょうね。こんな平和な心境をを手に入れたのですか、
たいした人物です。きっと幸せになり上手な方なんでしょう。
呼び出すな 女は急に 泊まれない
評 ウワー、名調子。「飛び出すな車は急に止まれない」の標語のモジリですね。恋人からの呼び出し?
経験のない人も言ってみたいですね。「女は急に泊まれない」そうそう。
NHKラジオ ぼやき川柳からです。
頂いて くださいませんか うちの人
評 賞味期限が切れたのでしょうか。可哀相です。
NHKラジオ ぼやき川柳からです。
トイレから 紙を遅れと 来たメール
評 くさいメールですね。運がつきそうです。
NHKラジオ ぼやき川柳からです。
食べ終えて 気がついた となり宛
評 お中元、美味しかったのでしょう。どうするのでしょうか、心配です。