このページの本文へ

「詐欺被害者」に足音が近づく、「消費者庁詐欺師」たち
 

 特に怖いのが、本欄でも取り上げた「二重詐欺」に利用される可能性だ。被害者であることを確認するために消費者庁を名乗って連絡し、「被害額を取り戻すことができる」と持ち掛ける可能性は、かなり高い。

 弁護士を名乗った事件はすでに起きているが、はっきり言って、弁護士よりも消費者庁のほうが、信頼度は上になる。だからこそ、騙される可能性も高くなるのである。

 減少傾向にあった振り込め詐欺が再び増加している昨今、大きな社会変化によって、詐欺師が喜ぶ題材は「増える一方」だ。どれほど論理的で納得できる話であったとしても、「○円もらうために○円先払い」なんていうことは、こと公的なものに関してはあり得ないのである。肝に銘じてほしい。

 これから、社会は大きく変わるかもしれない。変わらないかもしれない。

 しかし、どちらにしても変化を期待している人にとって一番怖いのは、「自分の期待に合わせた変化」をもたらす相手なのである。それは名前はどうあれ「詐欺である」と考えることだ。

夏原武(なつはらたけし)

作家
1959年生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。著書に「サギの手口」(データハウス)「現代ヤクザのシノギ方」(宝島社)「バブル」(同・共著)など多数。漫画原作として「クロサギ」(小学館ビッグコミックスピリッツ)「ギャングスターズ」(秋田書店プレイコミック)を連載中。

ページ: 前へ / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 /

Ads by Google

SAFETY JAPAN Mail
「資産防衛」関連記事
「防犯」関連記事