「詐欺被害者」に足音が近づく、「消費者庁詐欺師」たち
特に怖いのが、本欄でも取り上げた「二重詐欺」に利用される可能性だ。被害者であることを確認するために消費者庁を名乗って連絡し、「被害額を取り戻すことができる」と持ち掛ける可能性は、かなり高い。
弁護士を名乗った事件はすでに起きているが、はっきり言って、弁護士よりも消費者庁のほうが、信頼度は上になる。だからこそ、騙される可能性も高くなるのである。
減少傾向にあった振り込め詐欺が再び増加している昨今、大きな社会変化によって、詐欺師が喜ぶ題材は「増える一方」だ。どれほど論理的で納得できる話であったとしても、「○円もらうために○円先払い」なんていうことは、こと公的なものに関してはあり得ないのである。肝に銘じてほしい。
これから、社会は大きく変わるかもしれない。変わらないかもしれない。
しかし、どちらにしても変化を期待している人にとって一番怖いのは、「自分の期待に合わせた変化」をもたらす相手なのである。それは名前はどうあれ「詐欺である」と考えることだ。
夏原武(なつはらたけし)
作家
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