社会保険庁職員による厚生年金記録の改ざんを巡り、社保庁は1日、有識者による委員会が9月に舛添要一厚生労働相(当時)に提出しながら非公表となっていた文書を公表した。文書は厚労省と社保庁の歴代幹部に対し改ざん問題の責任についての見解を提出するよう求めており、公表を指示した長妻昭厚労相は対応を検討することを明らかにした。
委員会は前厚労相が弁護士ら12人に委嘱した「年金記録問題拡大作業委員会」(委員長・磯村元史函館大客員教授)。文書は「『年金記録の遡及(そきゅう)訂正』に関する作業についてのまとめ」との表題で、標準報酬月額などをさかのぼって低くした改ざんの背景を分析している。
文書には、一部委員が改ざんの疑いが強い記録の持ち主から名前の出た職員やOB19人をヒアリングした結果、関与を認めた2人の証言や、改ざんを働きかけられたとする事業主の証言も記載。「現場職員を処分するなら同時に幹部の責任を明らかにしないと現場のモラルダウンは計り知れない」「歴代幹部にも見解の提出を求め、社保庁が公表すべきだ」と提言している。【野倉恵】
毎日新聞 2009年10月2日 東京朝刊