北九州市は1日、新型インフルエンザに感染した同市八幡東区の男性(49)が入院先の医療機関で9月30日に死亡したと発表した。1日に遺伝子検査で新型インフルエンザ陽性と確認され、タミフルは投与されなかった。男性に基礎疾患はなく、発熱前から少し息苦しいと訴えていたという。厚生労働省によると、国内の新型インフルエンザ感染者の死亡は20人目。
市によると、男性は9月21日に39・7度の熱が出て出張先の福岡県外の医療機関を受診。簡易検査で陰性だったが、22日未明に北九州市内の医療機関で、肺炎や肝・腎障害など多臓器不全が分かり入院した。集中治療室で治療したが、血圧が低下し、30日午前8時50分、死亡した。1人暮らしだった。
男性は入院時から重症だったが、検体が採取されたのは25日。市の遺伝子検査は1日になってからで、タミフルを投与されることはなかった。
市は入院直後に遺伝子検査をしなかったことについて「医師は、簡易検査が陰性で、重症化もインフルエンザ以外の要因がありうると考え、検査の緊急性はないと判断した」と説明した。【佐藤敬一】
浦島充佳・東京慈恵会医科大准教授(疫学)の話 1回目の検査で陰性でも2回目に陽性になる例は多々ある。症状から陽性を疑い、再検査すべきだった。ただ、今回のケースは症状が急激に悪化しており、仮にタミフルを投与していても救命できなかった可能性が高い。大切なのは、基礎疾患がない男性が短期間に重症化した原因を明らかにし、情報開示すること。それが次の患者の命を救うことにつながると思う。
2009年10月2日