柳井〜松山市間でフェリーを運航する防予汽船(柳井市)は1日、民事再生法の適用を山口地裁に申請した。原油高騰に加え、高速道料金の大幅割引で利用客が落ち込み、収益が悪化した。負債総額は約97億円。当面は、従来通りの便数で運航を継続しながら再建を目指すという。
長井頼雄会長や代理人の弁護士によると、今年3月に国が景気対策として始めた高速道の自動料金収受システム(ETC)割引などの影響で利用客が激減。6月から復路料金を千円に値引きするなどの対抗策を図ったが好転せず、経営に行き詰まった。中国運輸局によると、高速道料金割引を要因とする管内のフェリー会社の経営破綻(はたん)は初という。
長井会長は新政権の軸となる民主党が高速道の無料化を打ち出していることも踏まえ「このままでは経営継続は困難と判断した。ご迷惑をおかけし、深くおわびしたい」と陳謝した。現時点では、従業員の解雇などは考えていないという。
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