2004年、大分県立三重病院(同県豊後大野市)に胃がんの治療で入院した同県臼杵市内の男性=当時(63)=が手術後に死亡したのは、病院が感染症への注意を怠ったことが原因として、遺族が病院を管理する県に総額約5360万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、大分地裁であった。金光健二裁判長は「手術後に高熱や白血球減少など感染症を疑う所見が見られた」として病院側の過失を認め、県に約4700万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は04年5月、同病院に入院し、胃の全摘手術を受けた。翌日、高熱を出し、6日後には血液検査でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された。同6月、MRSA腸炎による多臓器不全で死亡した。
判決は、担当医が術後5日目から抗生剤を投与したことを「男性に高熱や白血球減少の症状が現れた時点で直ちに細菌検査を行う注意義務があった。検査をしていれば抗生剤の投与が早まり、好転させたことは明らかだ」と担当医の過失と死亡の因果関係を認めた。
県は「判決の内容を十分に検討した上で対応したい」としている。
=2009/10/02付 西日本新聞朝刊=