東京逆転ある!リオとマドリードが“仲間割れ”
2016年夏季五輪の開催地は2日、コペンハーゲンで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で決定する。各都市が激しいロビー活動を繰り広げる中、招致で協力関係を結んだとされていたマドリードとリオデジャネイロに亀裂が発生したことが判明。52年ぶり2度目の五輪開催を目指す東京にとって、思わぬ“追い風”となる可能性が出てきた。開催都市は午後6時半(日本時間3日午前1時半)にロゲIOC会長が発表する。
トラブルが発覚したのは、開催都市決定2日前の9月30日だった。リオの招致委員会が、ライバル都市のマドリードをIOC倫理委員会に提訴したと発表。理由は、スペイン・オリンピック委員会のオドリオソラ副会長が同国の通信社EFEに対し、リオの治安の悪さなどについて指摘し「最悪の招致だ」などと発言したため。招致レースでは他の立候補都市との具体的な比較や非難は禁じられており、これを「侮辱」としたリオ側が訴えたのだった。
両都市の亀裂は、夏季五輪開催都市を決めるIOC委員の投票に大きな意味を持つ。9月2日、ブラジルのルラ大統領がスペイン国王のフアン・カルロス1世と電話で協議したことを明かし「われわれは協定を結んだ。つまりリオが先に落選すればマドリードを支持し、マドリードが先に落選すればリオを支持するということだ」と発言。投票は過半数の票を獲得した都市がない場合、最少得票の都市を排除しながら続けられる。2都市の協定は、2回目以降の投票でリオかマドリードに大きな武器となるはずだった。ところが土壇場のトラブルで、いわゆる“浮動票”を東京やシカゴが獲得しやすい情勢となったことは間違いない。
その状況を知ってか知らずか、東京の招致委員会が1日に行った最後の記者会見では、石原都知事が正攻法の戦いをあらためてアピール。「(IOCの)ロゲ会長の言う、選手のために好ましいオリンピックが開催できる。技術的に冷静に評価されれば、東京が必ず勝てる」と自信を口にした。ライバル都市の要人たちがIOC委員への接触を本格化させる中、東京はロビー活動で後れを取っているだけに、外国人記者からは「他都市とは違うアピールの仕方は、IOCが求めているものとは違うのでは?」と冷ややかな質問も飛んだ。それでも、石原知事は「この地球にこの祭典を残すためには今、環境について考える必要がある。世界の大都市で東京ほど環境に対する意識が高い都市はない」と断言。票読みが難しくなってきた状況で、知事の訴えはIOC委員に届くだろうか。
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