そして次世代へ2009年9月30日 直前日記

50回記念大会が目前にせまって・・・
まだ準備が終わらず、徹夜の作業になりそうです。

それにしても、今回、総会事務局を担当して、
いろんな人に助けられました。
まずは岩手大会、広島大会の事務局の方々。
なかなか総会運営のイメージがつかない我々にいろんな情報を
与えていただきました。
チラシ、抄録の印刷をお願いした印刷会社さんにも
デザインや締め切りのことでお世話になりました。

前評議員の先生方には、査読や座長などいろいろと引き受けていただきました。
特に査読は、きめ細やかに、そしてスピーディーに行っていただいて
とても助かりました。
理事の先生方にも、会費のことなど前向きに検討していただき、
また座長や司会等でもお世話になっています。
講師を引き受けてくださった先生方、おかげでとてもよいプログラムになったと
感謝しています。

学会の土倉事務所さんには毎月総会事務局に顔を出していただき、
それ以上にいろいろと運営の相談に乗っていただきました。
ホームページに至っては何度も手直ししたり、更新したり・・・
大変だったと思います。

事務局は京都市児童福祉センターの職員と高木神経科医院の職員が主となって
構成されていますが、センターの事務局員以外の方々には
日常業務でいろいろとしわ寄せがいったと思います。
なんの文句も言わず支えていただき、本当にありがとうございました。

何より、センターに来られている利用者の方々、その保護者の皆さん、
できるかぎり総会運営によって利用者さんに迷惑がかからないよう
やりくりしたつもりですが、見守っていただいていたと思います。
皆さんの診療に役に立つ総会になることを祈っています。

僕個人的には、僕の家族に感謝したいと思います。
4月から突然、帰りが毎日のように夜中12時を超え、
朝も5時台に起きて6時台には出て行くようになった父の姿を見て
子どもたちはどう感じ、どんな風に我慢してくれていたのか
今の僕には想像もつきません。
そんな姿も、子どもの成長の役に立ったりするのでしょうか。
児童精神科医としての知識がいくらあっても、自分の子どものケアも難しいのかと
唖然としてしまいます。

でもきっと、こうやっていろんな人たちに支えられながら、
迷惑もかけながら、一生懸命何かを作り上げていくことは
きっと次世代の人たちの役に立つはず、そう思って3日間、
気持ちのいいディスカッションが会場内でも廊下でも、あるいは夜のお酒の席でも
繰り広げられるよう全力を尽くしたいと思っています。

最後に、このブログを7ヶ月にわたって見ていただいていた皆さんに
感謝したいと思います。
最後の最後で、べたな文章で終わって申し訳ないのですが、
是非、会場で皆さんにお会いできることを楽しみにしています。
                              (担当:廣瀬)


日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
スローガン 『螺旋-共生社会への歩み-』
http://www.jascapmeeting.com/50/



いよいよ明日から2009年9月29日 直前日記

こもり副事務局長こと、長倉です。
いよいよ明日から総会です。

初めてだらけの作業、事務局一丸となって準備をすすめて参りました。
何かといたらないこともあるかもしれませんが、そこはどうぞ、大目に見ていただければうれしいです。

それではみなさま、明日、京都でお会いできることを楽しみにしております。

                                               (担当:長倉)

日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
スローガン 『螺旋-共生社会への歩み-』
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PECS2009年9月24日 直前日記

いよいよ残り6日、細かい物品の用意や段取りの変更など
事務局はばたばたしています。

さて、今日はPECSについてですが・・・
PECSはみなさんご存知でしょうか?
PECSの元の英語を日本語に訳すと
「絵カード交換式コミュニケーションシステム」
となるのですが・・・
音声言語でのコミュニケーションが難しい人のための
代替コミュニケーションシステムの一つです。

発達上にいろいろと難しさを持つ子どもの療育に関して、
いろんな方法があり、一つ一つに一長一短があると思います。

PECSの長所は
①前提となるスキルが非常に少なくてすむ
②エラーレス(失敗させない)システムなので肯定感を損ないにくい
③最初から自発的なコミュニケーションを教えられる
ということになるでしょうか。

逆に短所は
①最初はトレーナーが二人必要
②絵カードを持ち運ぶ必要がある
③真に定着するには家庭の中での実践が必要
というところでしょうか。
まぁ、どんなコミュニケーションも
家庭の中での実践はあったほうがよさそうですが・・・

上記長所と短所があるわけですが、
実際にPECSのワークショップを受けてみると
もっと大事な考え方に触れることができます。
その一つが、将来を見据えて支援すること、であり、
もう一つが、その日の、目の前の、その子の状態に合わせること、
だと思います。

PECSでは周囲が手助けすることをプロンプトと呼びますが、
プロンプトは将来減らしていくことを考えて使うことを推奨しています。
と同時に、一回できるようになったらプロンプトをなくすのではなく、
できるようになった後も、その日の調子でプロンプトが必要なら、
すぐに段階を下げてプロンプトを入れます。

必要な時にはさっと支援を入れて、必要がなくなったらさっと支援をはずす。
この柔軟性が、実は発達途上にあるあらゆる子ども達に必要な支援のように
思います。

今回、その開発者の一人であるアンディ・ボンディ先生に
特別講演をお願いしています。
ボンディ先生はPECSはあくまでも子どもの療育の一部分であって、
PECS以外の支援も行っていく必要があることも言われています。
語りだすと尽きないですが、
是非当日は会場で生の講義を聞いていただけたらと思います。
                              (担当:廣瀬)


日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
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自閉症とは何か2009年9月21日 直前日記

世間は白銀週間(でいいんでしょうか?)ですが、
みなさんはどうお過ごしですか?
事務局は直前の準備に追われている毎日です。

さて、あえて教育講演は具体的に中身に触れることは
書いてこなかったのですが・・・
今日は少し触れてみようかな、と思います。

京都新聞に今総会の記事が載ったのですが・・・
「自閉症について」の総会のように書かれていました。
自閉症だけが児童青年期の問題ではないので、
ちょっと微妙だなぁと感じていたのですが、
一方で、今回の発表の半分以上に
”自閉症””自閉症スペクトラム””アスペルガー”
”広汎性発達障害””発達障害”
という言葉が入っていることもあって、
京都新聞の記者がどうして上記のようなニュアンスになったのかが
わかるような気もしました。

しかし、自閉症って何なのでしょう。
今回、教育講演をお願いしている石坂好樹先生の抄録は
「自閉症とされている状態」という言葉から始まります。
これ、なんかズシーンと僕の中に響いていまも残っています。
自閉症とは何か、について、個々人は解答を出しているかも知れませんが、
学問的には明確な決着はついていません。
しかし、あたかも我々はそれを知っているかのように、
講義をしたり、研究をしたり、臨床(診断・治療・療育等)をしたりしています。

同種のことが(と言ったら怒られるかもしれませんが)、
同じく教育講演をお願いしている神尾陽子先生の抄録にもでてきます。
そして、神尾先生は自閉症や広汎性発達障害だけでなく
「将来の生物・心理・行動モデルに依る科学的な児童・青年期精神障害の診断体系」
について必要なことを提言しておられます。

第50回目の総会を迎えて、
我々専門職がわかった気になってやっていることで不確かなものがいかに多いか、
それを是非みんなで洗い出す作業が必要ではないか、
どちらも、そう考えさせられる講演だと思います。

そして、我々が考えたり実践したりしていることを、
独りよがりに終わらせないためにも、
関わった人すべての労力が未来の子どもたちの役に立つためにも
「科学的」に行うことの重要性もまた、認識していけるといいな、と思います。
                              (担当:廣瀬)


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教育講演2009年9月19日 学会って?

ついに、残すところあと11日となりました。
会員の方はお手元の抄録をぱらぱら見ながら、
どの会場のどれを聞きに行くか、考えたりされているのではないでしょうか。

さて、今日は教育講演について少し書きたいと思います。
この教育講演っていうの、実はここ何回かの総会で急に数が増えているのは
ご存知ですか?
10年目以上の先生方だと、そういえばなかったよな、と思いだして
いただけると思います。
僕なんかはその名残というか、総会というのは一般口演を聞きに行くもので、
教育講演はなんとなく足を運びにくかったのですけど・・・

総会を運営する側に立って、教育講演を企画してみると、
教育講演ってすごく魅力的だということに気づきました。
考えてみれば、有名な先生の講義を何題も一気に聞けるわけですから、
当然なんですけど。
今回、特別講演や記念講演以外に、教育講演を10用意させていただきましたが、
講師の先生方を見てもらえば、どれも聞きたくなる内容であることに
気づいてもらえると思います。

内容的には

歴史的変遷に関するものが3つ
面接に関するものが3つ
評価と治療に関するものが3つ
具体的な治療技法が1つ

とまとめられるかと思います(やや強引ですが)。
なかなか本や論文になりにくい臨床のコツや生の技法、
あるいは各先生の経験からくる大胆な予想や考え、
純粋な科学とは言えないものも含んでいるかもしれませんが、
一方で、臨床家の、ひいては患者さんの役に立つ部分があるかもしれません。


このブログの最初に、学会とは何か、そう問いかけたことを
皆さんはもうお忘れかもしれません。
でも、是非当日、総会に足を運んでいただいて、
できるだけたくさんの部屋に足を運んでいただいて、
40年前に諸先輩方が熱く討議をかわした「学会とはなにか」について
今一度考えていただければと思っています。
                              (担当:廣瀬)


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査読2009年9月13日 学会準備奮闘記

久しぶりに土曜日は関西は雨でしたね。
ここ10日間ぐらい、ぐっと朝晩が冷え込んで、夏の終わりを感じています。
つまり、総会がいよいよすぐそこ、ということですね。

さて、先日、学会プログラム案を練るところで、
プログラムができるまでの紹介が止まっていたかと思うのですが、
実はその後やっかいだったのは、査読の作業です。

今回、査読は著名な先生方にお願いしました。
お願いした先生は、すごくお忙しい方々だったのですが、
非常にすばやく送り返していただきました。
(実際5月1日に発送、連休後に受け取っていただいて、5月20日には
ほとんど返送いただいていました)
査読にご協力いただいた先生方、本当にありがとうございました。

で、問題は何をどの程度査読するのか、ということでした。
当初、事務局では、雑誌の査読と違って、
まぁ、よっぽど内容がひどかったり、よっぽどの倫理的問題がない限り、
ほとんどの発表は査読に引っかからないものだと考えていました。

ところが・・・査読をお願いした先生方から結構、朱が入って返ってくるのです。
そして、それはどれもが妥当というか、確かにこれはまずいな、とか
これは確認がいるな、というものばかりでした。

例えば、症例報告なのに、症例本人あるいは保護者から学会で発表することの
同意を得られているかどうかがわからない、というようなケースです。
今回の総会では、症例の報告があるものはすべて、
同意をとった旨を抄録に記載するようお願いしました。
他にも、その研究をしたときに
研究に協力してくれた当事者の方々に与える影響について
あまりにも考慮されていないものとか・・・

こういった倫理的な問題の整理に関しては、
今後学会の倫理検討委員会に引き継いでいこうと考えています。

てなわけで、各発表者と一つ一つ連絡を取ったわけですが、
徐々にせまってくる抄録印刷の締め切りとにらめっこしながらの
やりとりなので、苦しかったですねぇ。
ほんと、メールが使える時代になっていて助かりました。
15年前だったら・・・と思うとぞっとします。

会員の手元に抄録が届いたのが8月25日でしたから、
およそ総会の1ヶ月前。なんとか間に合ってよかったです。
                              (担当:廣瀬)


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9月10日、期限です2009年9月8日 直前日記

事前申し込みの期限が近づいてきました。
9月10日が期限です。なんだかんだいって2000円も差があるので、
すでに参加の予定を立てている人は是非、お申し込みください。

申し込みはこちら
http://www.jascapmeeting.com/50/sanka.html

もし、申し込みをされるなら、お弁当のことも気にしてみてくださいね。
先週も書きましたが、今回の弁当有料化には
製薬会社に頼らないという、なみなみならぬ今総会の決意がこもっています。

このお弁当一つとっても、事務局員が企画し、
お弁当券(申し込んだ方にはそのうち届くはずです)の発行の仕方も
いろいろと検討してきたので、
当日はスムーズに受け取っていただけると思います。
考えてみたら、患者さんのこと以外で
こんなに真剣に考えたことなかったなぁ(笑)

事務局では、現在、当日の運営マニュアル作成のために、
誰が、どういう仕事をこなしていくとスムーズか、
細かい運営上の仕事の洗い出し作業を行っています。

これってすごくたいへんで、というのは例えば
座長席に「◇◇△△」と名前を張り出すとしますよね。
それを次の座長になる前には、当然更新しないといけない。
ではそれは誰の仕事か、ということを考えるわけです。
ものすごく膨大な作業になるの、わかります?

さらに、この「◇◇△△」と印刷されたものを誰が作るのか。
ね、考えたことなかったでしょ。
今の所、今回の総会では事務局長自ら作ってくれています(!!)
なんてマメな事務局長なんでしょう・・・いや笑い事ではありません。
手づくりってすごいことですよね。

こんな風に書いてると
「そんなに大変なんだったら、専門の業者にまかせりゃいいんじゃないの?」
と言われそうですね。
これも事務局でいろいろと検討したのですが、
結局、総会をいいものにしたい、参加してくれたすべての人に、
「今年はいい議論ができたね」と思ってもらいたい、
という思いから、人任せにはできないかな、という結論に達しました。

もちろん業者さんが入っていい総会だったことも過去に何度もあったでしょうし、
今回は予算上の都合もあって手作りなのですが、
ちょっと不細工でも素人ならではの気遣いをいろんなところに感じていただけると
うれしいなぁという風に思います。

・・・なんか今日は一段と暑苦しい文章でしたね。
総会当日の京都はもっとさわやかな風が吹いていると思います。
                              (担当:廣瀬)


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弁当2009年9月6日 直前日記

さて、直前の申し込み締め切りまであと4日。
会員のみなさんは事前登録、済ませましたか?

今日のタイトルは・・・「弁当」です。
いや、別においしい弁当が何か、とか論じるつもりはありません。
もちろん、治療的な弁当という話でもありません。
でも、気にする人は気にする、という話です。

実は、国際会館は中にレストランは付いていますが、
大した収容力ではないのです。
加えて、周辺にもほとんど食べ物屋はなく、
国際会館での食べ物販売は、国際会館提供の業者に限られる、
という状況なのです。

去年までだと、ランチョンセミナーというやつがあって、
製薬会社提供の無料弁当が配布されるわけですが・・・
今年はそういう製薬会社への依存をやめたため、当然、無料弁当はありません。
あ、去年までと書きましたが、無料弁当が始まったのは
実はここ5-6年のことで、それまではそんなものなかったんですけどね。
無料弁当と書きましたが、製造費がかかっていないわけではなく、
誰かが払っているわけです。
そこを皆さん、よく考えて欲しいというのが、今学会の一つの提案ですので、
弁当が手に入りにくいという不満もあると思いますが考えてみてください。

で、さすがに、弁当が手に入らないと困るので、
国際会館に頼んで、事前に注文していただいた方だけ、
弁当を当日用意させていただくことにしました。

総会ホームページの参加申し込み方法をご覧ください。
ここに、一食1500円の弁当が、イメージ画像入りで書かれています。
「高い!!」とまた不満が出そうですが、製薬会社提供の弁当も
きっとこれぐらいしていたはずです。いや、もっと豪華だったかな?
というわけで、是非申し込んでください。
当日、飛び込みで買えるだろう、なんていう考えだと
お昼ぬきで参加してもらうことになりかねません。

プログラム的にも、
2日目が昼休みは1時間10分(症例検討に出たら1時間)、
3日目は昼休みが1時間40分。
多分、抜け出してどこかで食べる暇はまったくないと思います。
僕は、以前国際会館で別の学会に参加したことがありますが、
ほんと、コンビニすらかなり行かないとないですから・・・。

というわけで、くどいようですが、あと4日。
お弁当の注文をお忘れなく!
                              (担当:廣瀬)


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運営費2009年9月2日 直前日記

そういえば、ブログでは
製薬会社からの援助を受けないことが決まった後の動きって
書いてませんでしたね。
会長挨拶を見ていただくと、「製薬会社への財政依存を断つ」
ってかっこよく書いてあります。
実はこれ、総会運営費の1/4の財源を失うぐらいの大問題なんです。

総会は会員のための会なんだから、会費でまかなう、ということをお願いして、
理事会でも認めていただき、会費自体は16%UPになりました。
でも、25%DOWNを回復しようと思ったら33%UPでないとダメなわけですよね。
つまり、参加者の人数が増減0では赤字なんです、今回。
そこで、考えられる方法は3つ。

   ①別の財源を探す
   ②参加者を増やす
   ③経費を節約する

いやー、実際いろいろ取り組みましたよ!
①の財源としては、寄付と助成金しかないということで、
患者さんにつけを回すことにならないような形で
いろんな方々から援助いただきましたし(ホームページ・抄録参照)
②ではお金のかからない広報活動を今でも事務局員が続けています。
このブログもその発想の一つからできたわけです。
とにかく、内容を充実して、それを会員・非会員の人に皆に知ってもらって、
少しでも多くの人に会場に足を運んでもらう、
会費のことだけでなく、ほんとにそうなればいいな、と思います。

もう一つは経費削減ですが・・・なんと今回の総会は
学会運営会社が入っていません!!
大抵は、総会を運営するにあたってプロの業者が入っていますよね。
そこを今回は事務局員総出でやっているのです。
こんなことで原点回帰する必要はなかったんですけどね(笑)
でもそこは螺旋をスローガンに掲げる我々なので、
是非来年以降につながる形(つまり原点回帰ではなく、新しい試みとして)に
もって行きたいと思っています。


ま、これも当日の運営がうまくいって初めて胸を張って言えること。
是非、そのためにも、多くの方々に会場に足を運んでもらえたらと思っています。
                              (担当:廣瀬)



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場所 国立京都国際会館
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いよいよ1か月2009年9月1日 直前日記

9月に入りました。
いよいよ1か月ですねぇ。
世の中は新政権の誕生とかインフルエンザの9月末ピークとか
いろいろ言ってますが、負けずに頑張っていきたいと思います(笑)

学会員の皆さんは、抄録、届きました?
なんか分厚いですねぇ。すいません。
過去最多の231演題がそこに詰まっているはずです。

抄録、分厚いので、早めに目を通しておかれることをお勧めします。
特に、今回のプログラムはホームページ上の日程表を見てもわかるとおり、
いろんな講演が横並びに並んでいるので、
「え!こっちを聞いたらあっちは聞けないの!」となんとも歯がゆい思いを
しなければならないように作ってあるのです。

もちろん、みなさんを悩ませるためではなくて、
一つの会場がパンクして入れない人がでてくることを極力ふせぎたかったのです。
ですから、事前によーく抄録を見て、どの講演を聞くかチェックしてくださいね。

日程表で気づいて欲しいのはもうひとつ、
各セクションというか講演が、
ほぼ同じ時間帯に終わるように作られていることです。
これは、会場間の移動を一斉に行ってもらうことによって、
できるだけ部屋に入りやすい雰囲気を作ることが目的です。
発表の途中に他会場からの人が大量に流入!という事態も避けられると思います。
あ、ただ京都国際会館は広いので、ポスターからA会場への移動とかは
10分だとぎりぎりという感じかもしれません。
気合入れて移動してください(笑)
                              (担当:廣瀬)


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『初期分裂病 分裂病の顕在発症予防をめざして』中安信夫先生 2009年8月19日 読書

『初期分裂病 分裂病の顕在発症予防をめざして』中安信夫先生 
中安信夫先生は、私たち精神科医にとってとても有名な方です。

職場でも先輩の医師から「これがいわゆる中安の初期分裂病だよ」と教えてもらったりしたものです。

中安先生は『初期分裂病』を1990年に刊行、今回ご紹介する『初期分裂病 分裂病の顕在発症予防をめざして』は2004年に刊行されました。

第一部は初期分裂病に関する概要です。
付表「初期分裂病症状の定義と陳述例」では、診断に関わる症状の定義が明快に書かれています。

第二部は症例です。
序文でも中安先生は
”できる限り多彩な初期分裂病の病像提示することを試みる”
とおっしゃっていますが、その言葉どおり、鑑別に迷ったケースなども含め、たくさんの症例が提示されます。

第三部は村上靖彦先生との対談、これがまた読み応えがあります。



私たちは日々、鑑別に悩んでいると言っても過言ではありません。


統合失調症と自閉症スペクトラム、典型例ならいざ知らず、複雑な背景を持ち、発達歴も明らかでなく、症状を言語化されることも少ない患者さんを前に、頭を抱えることはしばしばです。

初期統合失調症は顕在発症する前の状態なのですから、鑑別に迷うことはさらに多いのではないでしょうか。

今回の総会ではなんと、教育症例検討で中安先生をお呼びしています。

教育症例検討は今大会で初めて採用されるプログラムで、教育講演と症例検討のハイブリッドセッションです。そのねらいは,児童青年精神医学における診断学の学問的整理を,症例を通してより実践的に議論していくことにああります。

今回は中安先生に
①教育講演:「初期統合失調症 vs. アスペルガー症候群-体験症状に焦点化して-」
②症例検討:「当初破瓜型統合失調症を、次いで初期統合失調症を疑い、最終的にはアスペルガー症候群を疑うに至った1例」

という内容でお話していただけます。

「この話が聞きたかった!」
という人も多いのでは?

もちろん私もその一人です♪♪
                                                (担当:長倉)

日程 9月30日(水)~10月2日(金)
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プログラム案2009年8月18日 学会準備奮闘記

その日、我々二人は、気楽な気持ちで、とある会議室に集合した。
手には239編の演題抄録を持って。
無謀にも二人は、たった一日でこの239編に目を通し、
それを関連するジャンルに分けて、
プログラムを作ってしまおうとたくらんだのだった。

当初の思惑では「キーワード」なるものが、
われわれの味方となるはずであった。
本文をそこまで読まなくても、キーワードで分けていけばよい、
そんな風に考えていた。
が、、現実は違った。

239編の演題のいたるところにPDD、ASD、発達障害、etc
要するに自閉症関連の演題が、キーワードにそれをあげていなくても
多勢を占めているのであった。
ここから、我々の果てしない戦いは始まった。
キーワードはもはや味方どころか目くらましでしかなく、
たった一日で演題抄録を読んでその言わんとするところを
ジャンル分けしなければならなくなったのであった。

朝から3時間。徐々に寡黙になる二人。
頭もぼーっとして徐々にお互いがイライラしてくるのがわかる。
しかし、お互いに気遣う余裕もなく・・・
そこへ、援軍が駆けつけた。差し入れを持って現れてくれた
事務局員Z!二人の戦いは三人の戦いとなった。
しかし襲いかかるのは239演題・・・
タイトルから分かりやすいものもあれば、本文を読んで初めてわかるもの、
読み込まないと本当の趣旨がわかりにくいもの。
時間は刻一刻とすぎ、タイムリミットの7時間が来た。
結局は一日で分けきれず、翌日は一人の作業となった。

かくして、なんとか4演題ずつ、ジャンルわけが完了し、
曲がりなりにもプログラム案ができあがった。



ちょっと芝居がかった書き方になってしまいましたが・・・
苦労はしましたが、たった2日で出来上がったんだったら、
まぁ、たいしたことはないですよね。
でも実際はこの後があるんです。プログラム案はあくまで案なので・・
続きは後日。
                              (担当:廣瀬)


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抄録、校了しました!2009年8月11日 学会準備奮闘記

台風に地震・・・なんだか天変地異が多いですねぇ。
東海地方の方々、大丈夫ですか?


さて、学会とは何かを問いかけた廣瀬のコーナーも
ネタが尽きてきたので、一旦終了にして、
今週からは、学会運営の裏話でも載せていくことにします。

で・・・

抄録、完成しました!!

総会の運営を担当された人にしかわからないかもしれませんが、
ここ3ヶ月、平日の睡眠時間は平均3時間という毎日でしたから。
え、届いた抄録を冊子にするだけで、なんでそんなに大変なのかって?
では、この3ヶ月の流れを振り返ってみましょう。

   抄録募集締め切り   3月31日
   締め切り延長     4月12日
   抄録が手元に届く   4月16日
   プログラム案作成   4月27日
   査読依頼、発送    5月01日
   査読原稿回収     5月15日
   発表者に転送     5月下旬
   発表日時通知     6月中旬
   (同意の記載要請同時通知)
   抄録が出揃い校正開始 7月9日
   校了         8月3日

5月15日に査読原稿が上がってきてから、校了に至るまで実に2ヵ月半。
誤算でしたねぇ。
そこまで忙しくなるなんて思ってないから、普通に勤務はあるし・・。
ま、詳細は次回にゆずりましょう。

なんだかんだ言っても、もう印刷に出してしまいましたから、
後は出来上がって、発送されるのを待つばかりです。
学会員の皆さんには8月末に届く予定です。
それまでは、ホームページ上の演題タイトルだけですがアップしていますので、
いろいろと想像を働かせてお楽しみください。
                             (担当:廣瀬)


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共生2009年8月8日 学会って?

ようやく、夏、ですね。
これだけ暑いのに、日照時間が少なかっただのなんだの言われると、
なんか感覚がおかしくなりそうですね。
火曜日にアップできなかった言い訳ではありませんが・・・

さて、前回、共生がノーマリゼイションであり、
「普通になる」のではなく、「普通に生きられる」ということを
目指す、という風に書かせていただきました。
一見、当たり前に聞こえるこの話を
「不安」をキーワードにもう少し、掘り下げてみたいと思います。

例えば海外旅行について考えてみます。
言葉の通じない外国に行くことがすごく不安でできない、
という人がいるとします。
この人は、「外国に行く」という活動(あるいは参加)を
「言葉が通じないと不安」という個人の特性によって制約されているわけです。

では、どうするか。
言葉が通じなくても安全かつ楽しめるシステムを作るのか、
その人に安価で確実に外国語を習得できる機会を提供するのか、
通訳がつくのか・・・

ここで、本人が「それでも海外旅行に行きたくない」と言ったらどうでしょう。
別に海外旅行しなくてもいいんじゃないの?と、多分言ってもらえますよね。
でも、海外旅行ではなくて海外出張だったりすると、そうはいかないわけです。
「海外出張ぐらい、皆こなしてもらわないと困る」とかなんとか・・・。
活動と参加の制約を解消しようという動きが、
実は「参加しない」という自由を認めにくくする効果があることに
気づかされると思います。

実際の障害施策では、まさにこのことが
「自立」という言葉の誤解によって起こっています。
参加できるためのシステムを作っていこうと世の中が動いている一方で、
その動きに、独力で自立しないといけない、
という圧力をかける働きがあるわけです。

個人の特性に一つ一つ差異があるように、
個人の感性・思いにも一人一人差異があります。
ある活動に参加したい人もいれば参加したくない人もいる。
この意味からも共生は、一律に参加を求める=「差異をなくす」、のではなく
「差異を認めて、お互いに配慮する」ことが大切かな、と思います。

今回、特別講演をお願いしている川本隆史先生は
「共生」について「差異を認めて、お互いに配慮する」
ことの大切さを強調されています。(今日の話と論法は違いますが・・)
そして、多職種・多分野でのネットワーキングも重要視されています。

まずはお互いを知る。そしてお互いの差異を認める。
その中で相互に分かり合える社会のために議論ができればいいな、と思います。
                              (担当:廣瀬)

日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
スローガン 『螺旋-共生社会への歩み-』
http://www.jascapmeeting.com/50/

障害論2009年7月28日 学会って?

今年は梅雨明けが8月になりそうで・・・
昨今のゲリラ豪雨は怖いですね。
くれぐれもお気をつけください。

さて、倫理の話から川本先生にたどり着く前に、
もう一つ話題があります。

昨年、学会が実現すべき目標に共生(ノーマリゼイション)を考えたとき、
障害論についても学会で取り上げるべきではないか、という話が出ました。

障害論はみなさん、ご存知ですよね。
2001年にWHOは障害の捉え方を大きく変えました。
それまでの国際障害分類をやめて国際生活機能分類(ICF)にしました。
これによって、これまでの本来あるべき能力がない(=障害)という考え方から
本来認められるはずの活動や参加が制約されている(=生活機能障害)
という考え方に大きく方向転換しました。

このことは、ノーマリゼイションが
「普通になる」のではなく、「普通に生きられる」ことを意味していることでも
分かります。車椅子の人が普通でないのではなく、
車椅子で入っていけない構造が普通じゃないわけです。

過去の総会で、発達障害を持つ人への支援を聞いていると、
「コミュニケーションの障害」だからコミュニケーション訓練を、
「対人関係の障害」だから対人関係訓練を、といった
過去の障害モデル(医療モデル)に拠った考え方が目立ったように思います。
今総会が「普通に生きられる」ことを目指す障害の捉え方を大切にしている点を
知っておいて欲しいと思います。

昨年、僕の職場では人権研修に「私的所有論」を書いた社会学者の立岩真也先生を
お招きしました。彼は、こう問いかけます。


自分で作ったものは自分がとってよい、というルールは正しいか。


問いかけの前半は哲学的には「自由至上主義」として知られるようですが・・・
なんとなく、まぁ、自分で作ったものだったら自分が欲しいかな、と思うのが
我々の感覚ですよね。でも、これを徹底すると生きられない人たちがいる。
例えば子ども、老人、障害を持つ者、疾病に苦しむ者、etc。
一人一人の能力差を、我々はなんとなく個人の責任の範囲と思いがちですが、
実は個人の能力差は本人の努力や責任と無関係にあることも多いわけです。

我々がなんとなく当然と思っていること、その奥に潜む考え方。
障害論を考えることは、それらを根底からひっくり返して考える必要があることを
教えてくれているように思います。
                             (担当:廣瀬)

日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
スローガン 『螺旋-共生社会への歩み-』
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川本隆史氏をお呼びしたわけ2009年7月27日 講師紹介

川本隆史氏をお呼びしたわけ
川本隆史氏をお呼びしたわけ
川本隆史氏をお呼びしたわけ
特別講演(Anx1-ii-L3)
川本隆史氏をお呼びしたわけ

 川本隆史氏を知ったのは,『現代倫理学の冒険――社会理論のネットワーキングへ』(創文社)によってでした。この本は1995年に上梓されましたが,私が読んだのは1997年です。もう12年も前になるのですね。はっきり憶えていないのですが,書店に行くと倫理学や哲学関係のコーナーを必ず覗くので,そのような機会に偶然目にしたのでしょう。でも奥付の著者略歴に「1951年広島市に生まれる」とあったので,「同郷人か。歳は早生まれでなければ3つ下か。」といくばくかの親近感を覚えて買い求めて読みました。そして,ひょっとしたらという思いで,出身高校の同窓会名簿を繰ってみたところ「川本隆史」の名前があったのです。私は同じ中高一貫校の6期生,川本さんは9期生でした。私が高校3年生のときに,彼は中学3年生だったわけです。同じ部活動をしていない限り,1学年下の後輩の名前すら私はほとんど知りません。3学年も違うとまったくわからないです。このたびの総会のことで連絡を取るようになって知ったのですが,我々は高校時代に同じ校外活動をしていたのです。でも学年が違いすぎて,遭遇する機会はなかったようです。

 中高の後輩と言うことで,その後も気になり,1998年に岩波書店から刊行された『新・哲学講義 第6巻 共に生きる』,2005年に講談社から刊行された『ロールズ 正義の原理』,そして最近は昨年岩波から出版された『双書哲学塾 共生から』などを読んできました。そして,総会を引き受け,スローガンを「螺旋-共生社会への歩み」としたときに,是非川本さんに「共生」をテーマにした特別講演をお願いしようと思いました。
 
 そう思っていたところ,田中康雄先生が代表を務めておられる日本発達障害ネットワーク(JDDネット)が,昨年の第4回年次大会(2008年12月13~14日、目白大学)の基調講演を川本さんに依頼されたのです。先を越されたか!とちょっと悔しい思いをしましたが,2度目の方がもっと洗練された講演になるだろうと思っています。
 
 特別講演を依頼したことがきっかけで,個人的な話も含め,今日まで何度かメールのやりとりが続いており,私にはとてもうれしい展開になっています。当日は,きっと考えるヒントをたくさんもらえるのだろうと大いに期待しているところです。

(担当:門)



日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
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想像力と狂気2009年7月21日 学会って?

3週間もの長きお休みをいただき、すいませんでした。
これが一般のブログだったら、もう誰も見なくなってますね。
再び、このコラムを見ていただいている方に感謝します。

さて、その間は会長の特別講演紹介を楽しんでいただいたわけですが・・・

哲学のない科学は狂気(凶器)である。

まさに名言ですね。
研究によって新しい発見があるわけですが、
何か新しいことができるようになったとき、
それはどのような結果を巻き起こすか。
それを見据えていない研究は、狂気(凶器)であると
福島先生は繰り返し訴えておられます。
ちょうど、40年前、
この学会が「患者さんにとって意味のある研究をしよう」
と学会そのものの姿勢を反省したことと、同じ流れだと思います。

さらに福島先生は小説家箒木蓬生氏との対談で
「最先端の医療を実行して患者さんに便益を提供するという信念だけ」
で行われる医療にも問題を突きつけています。
詳しくは箒木蓬生氏の小説「エンブリオ」(解説は福島先生です)に譲りますが、
医師も良かれと思って行う、患者も望む、そういう医療の中にも
倫理的に問題のある医療が存在する、ということです。

この対談でもう一つ小説が引用されています。
オルダス・ハックスレー著「すばらしい新世界」という小説ですが
(残念ながら廣瀬はまだ読めていません)
そこにはクローンで人口がコントロールされているような
究極の世界が描かれているようです。
エンターテイメントと理解してしまえばそれまでですが、
倫理を議論する場合には、このような想像力が重要になってきます。

総会当日は、福島先生には
「医薬品開発競争の狭間で」というタイトルで医薬品研究の現状について
お話いただくわけですが、なんかこっちの話も聞きたくなりますよね。

対談の中で、福島先生は
「医師がこういう問題について幅広くものを考えて、議論する場合には
主体的に関係分野を組織化しないといけない」と訴えておられます。
総会が、学会が、たくさんの職種のいろんな専門家の議論できる場になると
いいなぁと思います。
                             (担当:廣瀬)


日程 9月30日(水)~10月2日(金)
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浜 六郎氏をお呼びすることになったわけ2009年7月8日 講師紹介

特別講演(Anx1-ii-L2)
浜 六郎氏をお呼びすることになったわけ

 前回と前々回の書き込みに,どうして福島雅典氏のことを知り,なぜ京都総会特別講演の講師をお願いしたのかについて説明しました。『ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実』(マーシャ・エンジェル著 篠原出版新社 2005)という本の冒頭(p.iii-v)に掲載されていた福島雅典氏による『翻訳刊行に寄せて 科学妄信とトップ・ジャーナル信仰は歪んだ宗教か?』という巻頭言を読んで感銘を受けたことが直接のきっかけでした。
 
 そこで早速,福島氏が今年の3月まで勤務されていた京都大学附属病院に先生をお訪ねし,総会での特別講演をお願いしたのです。先生は,総会の会期には特別な予定が入っていないのでと快諾してくださいました。しかも格安の講演料で。そして,講演時間が80分であることをお伝えすると,それは長すぎるので,盟友の浜六郎医師と2人合わせて80分ではどうかとの御提案でした。
 
 浜先生のお名前をお聞きしたとき,初めて耳にするお名前ではないなという気はしました。福島先生から,浜先生はTIP(The Informed Prescriber:TIP「正しい治療と薬の情報」)の副編集長だと聞かされ,思い出しました。私は若かりし頃,この小冊子を定期購読していたのです。TIPがどんな雑誌かということを,ホームページ(http://www.tip.gr.jp/)から抜き出してご紹介しましょう。

 「TIP誌は,臨床現場の医師・薬剤師の目でとらえた信頼できる最新の偏りのない医薬品情報,重要な副作用情報を医療関係者にお届けすることを目的に、1986年1月に創刊いたしました。営利商業雑誌ではありません。編集・刊行の費用は製薬企業からの援助を全く受けずに、読者の購読料のみでまかなわれています。活動は医師、薬剤師、市民のボランタリティーな精神によって支えられています。製薬企業の広告を掲載しません。企業のプロモーション活動に左右されないよう,医薬品の広告はいっさい掲載いたしません。偏りのない自由な視点から、確かな医薬品情報をお伝えします。信頼できる最新の副作用情報をお届けします。厚生省副作用情報の他,国内外の主要な医学雑誌から,各分野の専門家によって選び出された最新の副作用情報をお届けします。「TIP」は国際医薬品情報誌協会に加盟する情報誌です。「TIP」は,中立的医薬品情報誌(Independent Drug Bulletin)の国際組織,[国際医薬品情報誌協会(ISDB:International Society of Drug Bulletins)]の創設当初から,その立ち上げに加わり,同協会の正式会員として日本における医薬品の適正使用と偏りのない医薬品情報の普及に努めてきました。」とあります。
 
 編集委員には福島雅典先生もその名を連ねておられますし,川合仁先生の懐かしいお名前もありました。川合先生は,私が研修医だった頃に指導していただいた先生方のひとりです。

 さて,浜六郎先生のことですが,略歴は総会ホームページの《主な内容》のページに載せてあります。NPOJIP(医薬ビジランスセンター(薬のチェック))理事長で,上述の「TIP」誌副編集長です。NPOJIPは,特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの英語表記Non Profit Organization Japan Institute of Pharmacovigilanceの頭文字をとってつけられたものです。ホームページは,http://www.npojip.org/index.htmlです。ビジランス(vigilance)とは,民間による監視、寝ずの番を意味します。監視の対象は,Pharmacoつまり,くすり(と医療)です。NPOJIPの設立目的は、「医薬品、および医薬品使用、医薬品行政に関する情報収集、調査、研究を行ない、その活動の成果を医療関係者および市民に還元することにより、薬害を防止し、科学的に確かな証拠に根ざした、患者・市民にとって意味のある適切な医療の普及をはかり、医療の向上に努めること」だそうです。

 SSRIは子どもにも投与されることが増えていると思いますが,その有害作用の報告は私たちのもとには十分には届いていないようです。そのようなことも含めて,日頃接することの少ない情報を提供していただけるものと期待しています。

                               (担当:門)



日程 9月30日(水)~10月2日(金)
場所 国立京都国際会館
スローガン 『螺旋-共生社会への歩み-』
http://www.jascapmeeting.com/50/


お知らせ2009年7月7日 学会って?

今週も、廣瀬担当の「学会って」のコラムは中止させていただきます。
先週アップされた、門会長の文章をお楽しみください。

福島雅典氏をお呼びしたかったわけ(その2)2009年6月29日 講師紹介

福島雅典氏をお呼びしたかったわけ(その2)
特別講演(Anx1-ii-L2)
福島雅典氏をお呼びしたかったわけ(その2)

 福島氏のことを私が知ったのは,マーシャ・エンジェルが著した『ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実』(篠原出版新社 2005)の巻頭言を読んだことがきっかけだったということを,前回書きました。今回は,この本のことを少し紹介することにしましょう。
                           (写真は http://www.amazon.co.jp より)

 著者のマーシャ・エンジェルは,この本が出た時には,ニューイングランド医学雑誌の前編集長でした。なので,今なら元編集長ということになるでしょうか。私はこの本を読んで,本当に驚きました。あのDSMで有名な米国精神医学会と製薬企業との関係をはじめとする,製薬企業と医師や研究者との関係に愕然としたのです。当たり前ですが,製薬企業は企業であって,慈善団体ではないのです。本書からいくつか引用してみましょう。
 
p.9より
「筆者は20年間にわたってニューイングランド医学雑誌(The New England Journal of Medicine:NEJM)で,医学研究に製薬業界がいかに影響を与えているのかを目の当たりにしてきた。同誌が主に載せているのは,病気の原因や治療についての研究である。こうした研究には製薬会社のスポンサーで行なわれているものがどんどん増えている。筆者は製薬会社が研究の実施方法に対する支配を強め,自社の薬がよく効くように見せかけるために細工を凝らすさまを見てきた。その方法は筆者が同誌で仕事をはじめた頃にはまったく使われていなかった手口である。たとえば,製薬会社は研究者に新薬を既存の薬と比較するのではなく,かならずプラセボ(偽薬)と比較するよう要求していた。そうすれば,新薬が既存の薬よりも実際には効かないものであったとしても,いかにも効く薬であるかのようにみせかけることができるからである。この他にも研究を歪める方法はいくつもあり,専門家でさえすべてを見抜くことはできないほどなのだ。むろん,そういった研究であることが分った時点でニューイングランド医学雑誌は論文の掲載を拒否してきた。しかし,その後別の雑誌に掲載されたものも少なくはなかった。製薬会社は自社製品に不利な結果の出た研究を研究者に公表させないことがある。製薬業界の影響が強くなっていくにつれ,筆者は出版された研究論文の多くに重大な欠陥があるのではないかと憂慮するようになっていった。そうした論文を読んで,医師たちが新薬がその薬の本当の実力よりも有効で安全性が高いものだと信じ込んでしまうのではないかと恐れたのだ。」

p.132より
 「臨床試験が診療所で行われるにせよ,大学の医療センターで行われるにせよ,今や,臨床試験は製薬会社が雇っているも同然の研究者によって,製薬会社の指揮の下に行われているといってもよい。臨床試験のスポンサーとなっている製薬会社が試験のデータを管理し,多施設共同臨床試験では,研究者が研究結果の全体像を把握することすらできないようになっている。製薬会社が結果を分析・解釈し,どれを公表すべきかを決定している。この間題と関連して,最近,全米各地の研究機関の方針についての調査が行われたが,その報告には「本調査により,当該施設に所属の研究者が自施設で実施される臨床試験のデザインの作成に参加したり,自由に研究データを閲覧したり,結果を公表したりすることが保証されているという研究施設は稀であることが分かった」と書かれている。これらはいずれも「独立した,不偏不党の科学者」という,研究者の伝統的な役目を辱めるものである。しかし,一般に研究施設や研究者たちは研究に関して必要以上にスポンサーに譲歩している。開発業務受託機関やこれと臨床試験の契約を結んでいる開業医ともなると,ほとんど何でも譲歩してしまう。」
 
 「大学の研究者たちには,研究に関する独立性を失う一方で得たものがある。研究者たちの多くが,現在,20年前にはとても考えられなかったほどの金銭的な恩恵を製薬会社というスポンサーから得ている。研究者たちは自分たちの研究している薬を作っている製薬会社のコンサルタントになったり,諮問委員会の委員や講演会の講師として報酬を得たり,所属研究機関とともに特許の使用料をもらったり,製薬会社が資金を援助するシンポジウムで薬や医療機器の宣伝をしたり,高価な贈り物や豪華な旅行を楽しんだりしている。製薬会社の株を持っている研究者も多い。こうしたあれやこれやがどれも研究者の収入になる。たとえば,ボストン・グローブ紙によれば,ブラウン大学医学部精神科部長は,1998年に50万ドルを超える顧問料を製薬会社から受け取っている。製薬会社と個人的に密な利害関係のある人物が,医学研究や医学教育を製薬業界に有利な方向に歪めてしまうことはないと考えるのは無理がある。ビッグ・ファーマは臨床試験を思い通りに動かすために,その実施方法を細部に至るまでコントロールしているだけでなく,念には念を入れ,研究者の身も心もしっかりとつかんで離さないようにしているのだ。」

p.136より
「どのようにして研究にバイアスが及ぶのかについて、ここですべてを説明するつもりはないが,いくつか例を挙げておく。しばしば,バイアスには研究結果の単なる曲解にすぎないものがあり,研究者は期待通りの結果が得られなかったにもかかわらず,薬を賞賛することがあるのだ。最近の研究によると,製薬会社の資金を得て行われた研究論文では,非営利組織の資金で行われた研究よりも,結果の良し悪しにかかわらず,5倍以上,その製薬会社の薬を推奨しているとのことだ。しかし,ゾロ新薬のプラセボ対照比較試験のように,臨床試験の研究デザイン自身にバイアスの原因があって,ほとんどの場合,新しい薬が有効なように見えてしまうというものもある。しかし,実際には,ALLHAT研究で明らかになったように,すでに市販されている古い薬と比較すれば,さほど効果がないことが明らかになるかもしれない。」

 「その他のイカサマのやり方には,主に高齢者に使用する予定の薬であるにもかかわらず若い研究参加者だけを対象にして臨床試験を行うという方法がある。通常,若い人ほど副作用が少ないため,こういう方法で臨床試験をすれば,臨床で実際に用いる場合よりも安全なように見えるのだ。」

p.153より
 「マーケティング・運営管理費は,薬の製造費や研究開発費よりも巨額で,ビッグ・ファーマの予算の中でも,単独で最も大きな割合を占めている。2002年にはアメリカの製薬会社上位10社では,この割合はわずかに減り,収益の約31%となっていた。まさに「マーケティング・運営管理費」てんこもりだ。この金額だけでゆうに小国の国内総生産に相当する。」

p.168より
 「製薬会社は研究開発費が巨額であることを薬価が高くなる理由にしようとしているが,実はマーケティングの方にもっとずっとたくさんの金を使っていることをどう説明するのだろうか。マーケティングの費用も薬価が高くなる理由になるといいたいのだろうか。それはちょっと考えられない。むしろ,2001年の段階で消費者が薬の販売促進のために30%増しの金額を支払ったという事実を隠すためなら,何でもするのである(この年,約35%の「マーケティング・運営管理費」が使われている)。ここが肝心なところで,製薬業界にとって,マーケティングの費用は,研究開発費よりも正当化しにくいものなのである。マーケティングの費用を隠し続けてよい理由は何もない(研究開発費については,いくらかは隠す理由を説明しうるかもしれないが)。ただ1つ考えられるとすれば,一般市民からの反発を回避するため,という理由になるだろう。しかし,製薬業界には,手に入れた巨額の収益を自分たちがどう使っているのかを公衆に詳しく説明する義務がある。このマーケティング費用というブラック・ボックスを開いて見せるべきなのである。
「マーケティングの費用が大きいとなると,別の疑問が湧く。もし処方薬が優れたものなら,どうしてそんなに無理して宣伝しなければならないのだろうか。」
「重要な新薬にはマーケティング活動はほとんど必要ない。一方ゾロ新薬については,医師や一般市民に,ライバル薬ではなく他ならぬこの薬を使う決心をさせるために,容赦ない売り込み攻勢が必要なのである。したがって,一番激しく宣伝が繰り広げられているのが,ネクシアム,リピトール,パキシルといったゾロ新薬なのも,特段,驚くほどのことでもない。」

p.175
 「本章で問題にしたいのは,製薬会社が純粋な教育活動であるといっているものに,もっとずっと巨額の費用がつぎ込まれているということだ。こうした教育活動の多くは医師に対するものだ。製薬業界の外部の者にははっきりとは分からないが,マーケティング予算の使途不明金350億ドルのうち,かなりの部分がこれにあてられているのだろう。ビッグ・ファーマにとって,こうした出費は教育のためであって宣伝のためではない,という作り話を言い張り続けることはとても重要だ。というのも,そう言い続けることでマーケティング活動に対する法の規制を免れているからだ。それに教育予算という名目は一般にも受けがいい。」

p.183
 「現在,『米国心臓病学会(ACC)』『米国血液学会(ASH)』などの専門学会の学術集会は,一部,製薬会社の助成を受けて開催されており,多くの医師生涯教育もそこで行われている。これらの学会の年次総会には数千人の医師が集まるが,各製薬会社はサテライト・シンポジウムを開催する。そこには無料の昼食や夕食が用意される。」
p.184
 「大規模な学術集会の多くは,まるでバザーのように,製薬会社の派手な展示だらけであり,製薬会社の社員が熱心に自分の会社の薬を勧めながら,愛想よく医師たちに粗品を渡している。医師たちは製薬会社のロゴの入ったバッグを持って広大な展示会場を歩き回り,バッグに粗品やサンプルを詰め込んで,無料の食べ物をむしゃむしゃ食べながら,コレステロール検査やゴルフのパッティングなど,あらゆる種類の無料のサービスにいそしむ。そこには慎ましいプロ意識はどこにもなく,まるで「売らんかな」といった見本市のような雰囲気である。」

p.185-186
 「米国精神医学会の年会費は年々下がってきている。それもそのはずで,ボストン・グローブ紙によれば,製薬会社がこの学会の50個以上もある企業提供シンポジウムのそれぞれに20万ドルから40万ドルもの費用を出しており,それ以外にも学会に直接6万ドルほど支払っているのである。同学会の事務局は,『製薬会社のお金がなければ年次総会は快適な環境を失うだけではなく教育的効果も失ってしまう』と言う。『製薬会社のお金を受け取らないとしたら,あなただったら年会費をいくら払う気になりますか?』同学会事務局のアナンド・パンディア氏は言う。『3千ドル払いますか?』(現在の年会費は540ドルである)。これは素晴らしい質問だ。現在あちこちで行われている学術集会に,いったいどれだけ支払う価値があるだろうか? どのくらい『快適な環境』が必要なのだろうか? 総会の参加者は,自分にとって価値のある学術集会だけにお金を払うべきではないだろうか。そうすれば,学術集会はもっと真剣で品位あるものになるはずだ。製薬会社に力ーニバルと化した学術集会の経費を持たせておくことで,医師たちはそのツケを処方薬を買う人々にまわしているのだ。」

p.187
 「米国精神医学会(APA)企業献金委員会,ステファン・ゴールドフィンガー委員長は言う。「製薬会社にモラルを求めても無駄ですよ。慈善組織じゃないんですから。医師に操り糸も付けずに大金を貢ぐなんてあるはずないじゃありませんか。誰だって悪魔と一度ダンスを踊ってしまったら,踊り方はもう思い出せなくなるんです」。

p.312
 「各医学会は自活すべきである。製薬会社の援助を断ると会費を値上げせねばならないのであれば,それはそれで仕方がないではないか。学会も派手さを抑え,真剣に目的意識を持って開くようにすれば,もっと有意義なものになるだろう。医師が学会にかこつけてハワイ旅行に行きたいというのであれば,医師に自腹を切らせればよいのだ。」
 「製薬会社は医学教育の内容に口を出すべきではないが,製薬会社と距離を置いて付き合うなら,製薬会社からの援助を受けても構わないでないかという意見を持つ医師は多い。しかし,そういう考え方は間違っていると思う。製薬会社の膨大なマーケティング費用は処方薬の値段に上乗せされているのだ。売り上げ収入の増加分は皆,「教育」に回されている。第8章で述べた,あの350億ドルはどこに行ったのだろう? 誰もそんなにたくさん医師に寄付をあげたくはないだろう。むろん,製薬会社の教育助成金をもらっても本当に教育内容が左右されないのであれば,助成金を出す会社はどこもなくなるだろう。製薬会社は慈善事業ではない。製薬会社は投資に対する見返りを欲しているし,製薬会社が「教育」と呼んでいるものは,まさしく売り上げを伸ばすように作られているのだから,きっちり元は取っているのだ。教育を名目としたマーケティング活動に対する懸念が広がるにつれ,教育関連予算を別立てにする製薬会社も出てきたが,それをどう呼ぼうと,その最終的な目的は薬を売ることである。」


 製薬会社との関係のあり方について大きな危惧を抱いている人は決して少なくないことが,この本を読んでわかり,私は意を強くしたのです。第50回記念総会では参加費の値上げをし,フリーランチを提供しないことにしたのは,上述のことを皆さんにも再考していただきたいからです。There’s no such thing as a free lunch!(タダより高いものはない)。
 いざ,「おも舵いっぱい!」,我等が船は大きく反転します(http://www.eonet.ne.jp/~skado/book2/cinema/kadobuneshort.wmv)。

                                                (担当:門)   



日程 9月30日(水)~10月2日(金)
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