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裁判:知的障害「告訴能力ない」/わいせつ被害の女性・地裁延岡支部が公訴棄却

 知的障害者の女性を誘い出し車内で下半身を触ったとして、わいせつ誘拐と強制わいせつ罪に問われた宮崎県高千穂町の無職の男性(60)に対し、宮崎地裁延岡支部が、検察側の起訴が無効とする公訴棄却の判決を言い渡していたことが分かった。同支部は「女性に告訴能力がない」としている。検察側は捜査段階で「女性に告訴能力はある」と認定していたため、女性の代理人を立てていなかった。

 宮崎地検は29日、「不法な公訴棄却」などとして福岡高裁宮崎支部に控訴した。控訴審でも検察側は代理人を立てず、「告訴能力はある」との主張を展開する予定。

 判決は16日。宮崎地検は3月30日、わいせつ誘拐と強制わいせつ罪で男性を起訴した。起訴内容は、2月11日午後4時半ごろ、同町で知人を介して20代の知的障害のある女性を誘い出して車に乗せ、約1時間半にわたって車内で下半身を触るなどのわいせつな行為をしたとされていた。男性は公判で「合意の上だった」と無罪を主張。地検は懲役2年6月を求刑していた。地裁延岡支部は、女性の証人尋問や医師や家族の供述から告訴の能力がないと判断した。

 わいせつ誘拐、強制わいせつ罪は親告罪で、被害者側の告訴がなければ起訴できない。未成年者や知的障害を抱える場合は、代理人を立てて告訴することができる。

 宮崎市の「障害者自立応援センターYAH!DO(ヤッド)みやざき」の永山昌彦代表は「憤りを感じる。障害の程度はわからないが、知的障害があっても、ちゃんとその方にわかる言葉で接していけば、理解できるはず。能力がないと断言するのは、個人の人権を軽くみているのではないか」と話している。【川上珠実】

 井戸田侃(あきら)・立命館大名誉教授(刑事法)の話 親告罪を巡っては過去に11歳や13歳の知的障害のない少女が被害者でも、本人の告訴能力が認められた判例がある。今回は被害者が成人のため、障害があっても告訴能力まで否定されるとは、検察官も想定していなかったのでは。控訴審では代理人を立てる選択肢もあるだろう。

 公訴棄却の判決 刑事訴訟法338条に基づいて、被告に対する裁判を打ち切る裁判所の判断。理由としては▽被告に裁判をする権利を持っていない場合▽新たな証拠を見つけていないのに、被告が起訴された時▽本人や関係者申し立てによって起訴できる親告罪(強制わいせつ罪など)について、起訴手続きや判断が間違っていた--などが挙げられる。

2009年9月30日

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