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「上がっちゃった…」円高に怒り・嘆き 町工場や農家

2009年9月28日18時51分

 28日午前、円高が一時、1ドル=88円台に進んだ。輸入野菜などは値下がりが見込まれるが、輸出にかかわる人たちは不安を募らせる。

 28日朝9時。東京都葛飾区の機械製作所の社長(56)はパソコンを立ち上げて円の高騰に気づいた。「上がっちゃった……」。まさか80円台までは行かないだろうと思っていた。

 ちょうど中国向けに高性能のねじを作る機械を10台、輸出する準備をしている。ドル建てで4千万円の見積もりを出し、「あとは先方の決定で成約に結びつく段階」だ。ただでさえ、先方からは値段を抑えてくれといわれている。

 「1円高くなれば利幅が約40万円減る。従業員1人の人件費が飛ぶ額です」

 藤井裕久財務相の円高容認の発言には憤りを感じる。「民主党は大衆受けするバラ色の話をしてきたが、長期的に見て大丈夫なのか。日本経済がめちゃくちゃにならないよう、国の財政のトップなら発言に気を付けてほしい」

 一方、輸入野菜や果物は値下がりが見込まれる。大手青果卸売の東京青果(東京都大田区)によると、豪州産のカボチャやニンジン、中国産のネギやシイタケ、南アフリカのグレープフルーツ、南米のキウイやブドウなどが安くなりそうだ。

 ただ、国内農家にとっては円高は逆風だ。「スーパーに安い輸入品ばかり並ぶようになると、国内農家はすぐに立ちゆかなくなる」と担当者。台湾や中国、シンガポールの富裕層向けにようやく軌道に乗り始めた日本産の桃やリンゴなどの輸出にも影響する。

 都内の青果仲卸会社の役員は「スーパーはすぐに円高還元セールをやりたがるが、割を食うのは我々仲卸や国内農家だ」とぼやいた。(中村真理子、歌野清一郎)

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