開業後、「ストレス強まった」が半数以上−日医調査
日本医師会は9月30日、定例の記者会見を開き、開業医の開業した動機や実情に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、勤務医時代と比べ労働時間が過重になったり、精神的ストレスが強くなったりしたと感じる開業医がそれぞれ約4割、5割強に上るなど、開業医が疲弊している実態が浮かび上がった。
【関連記事】
勤務医の4割が「不当なクレーム」経験−日医調査
「勤務医110番」に相談29件−全国医師ユニオン
産婦人科医の状況、「悪化」が半減
病院・開業医の倒産、昨年の倍のペース
開業医は「楽」でも「もうけ過ぎ」でもない
調査は、日医会員のうち、医療法人または個人立の診療所、病院の開設者が対象。都道府県ごとに診療所の20分の1、病院の10分の1を抽出し、診療所3584施設、病院390施設に7月28日に調査票を送付。有効回答は診療所、病院それぞれ1861施設、123施設だった。
それによると、新規に開業した場合の開業時の平均年齢は41.3歳。開業後の年数別に開業時の平均年齢を見ると、「30年超」が37.5歳、「20−30年」が39.4歳、「10−20年」が41.7歳、「5−10年」が43.5歳、「5年以内」が44.9歳となった。開業後の年数が短いほど、開業時の年齢が高くなる傾向があり、日医では「病院などで一定期間のキャリアを経た後に開業しているケースが増えている」と分析している。
また、開業した動機を複数回答で聞いたところ、「自らの理想の医療を追求するため」が42.4%で最も高かった。以下は、「勤務医または研究者としての将来に限界を感じたため」35.1%、「経営も含めてやり甲斐を感じたため」26.3%と続いた。
さらに、「勤務医または研究者時代の精神的ストレスに疲弊したため」「勤務医または研究者時代に過重労働に疲弊したため」もそれぞれ21.0%、18.6%に上った。
勤務医時代と比べ、開業後の方が負担になっている「診療面」の業務としては(複数回答)、「レセプトの作成、チェック」が52.2%で最も多く、以下は「自身の医療水準の維持」49.5%、「レセプト以外の書類作成」38.3%と続いた。
また、「管理面」では「スタッフの採用」が65.1%に上った。「機器等のメンテナンス」(48.5%)、「スタッフの教育・育成」(48.3%)も多かった。
さらに、勤務医や研究者時代と労働時間を比較した場合、「過重になった」との回答が41.6%(「かなり過重になった」20.4%、「やや過重になった」21.2%)、精神的ストレスについても、「強くなった」との回答が54.4%(「かなり強くなった」27.7%、「やや強くなった」26.7%)に上った。
今後に対する不安感を「経営全般」「休業時の収入確保」「引退後の収入確保(年金や退職金)」のそれぞれについて聞いたところ、「かなり不安」「やや不安」を合わせた割合はそれぞれ66.6%、83.1%、72.8%だった。
日医の中川俊男常任理事は、病院勤務医だけでなく開業医も、過重労働や精神的ストレスにさいなまれていると指摘した上で、「地域で理想の医療を追求する医師を失わないためにも、病院勤務医と開業医をそれぞれ評価すべき」と強調した。
更新:2009/09/30 21:26 キャリアブレイン
新着記事
- 死者の3割、細菌にも感染 新型インフルで米 ...(2009/10/01 00:00)
「混合診療禁止是認」判決を評価−日医(2009/09/30 23:05)
「国内外ともに未承認」の評価要件を承認−高 ...(2009/09/30 21:40)
注目の情報
[PR] 医師の転職ならCBネット
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第79回】助川未枝保さん(特別養護老人ホーム「じょうもんの郷」施設長) 65歳以上の高齢者のうち10人に1人が認知症との調査結果もある中、介護施設での認知症ケアが問題になっている。千葉県神崎町にある特別養護老人ホーム「じょうもんの郷」施設長の助川未枝保さんは、「認知症の人のケアには、その人のこれま ...
島根県は、2006年度から08年度までの3年間で28人の医師を他県から招聘した。各都道府県が医師確保に頭を悩ませる中、これだけの医師がなぜ集まるのか−。医師確保対策室の石倉利康企画幹は県に特別なセールスポイントはないとし、「興味を持っていただいたドクターの話を聞いて、希望に合った医療機関を迅速に紹 ...
WEEKLY