群馬、栃木両県を結ぶ、わたらせ渓谷鉄道(わ鉄、旧国鉄足尾線)の関連施設37件が、国の有形文化財(建造物)に登録されることになった。近く官報告示される。駅舎やプラットホーム、トンネル、橋など県内25件と栃木県内12件の計37件が対象となる。昨年7月に上神梅駅(みどり市大間々町)が登録されたのをきっかけに、桐生市など地元自治体やわ鉄、地元住民から、沿線全体の登録を目指す動きが始まり、今回の結果につながった。
県文化財保護課によると、鉄道施設の包括的な登録は、昨年に鳥取県の若桜(わかさ)鉄道で計23件が登録された例があるが、県境をまたいだケースは全国でも初めてという。県は「地元の熱意で異例の登録が実現した。さらに愛される鉄道になるのでは」と期待している。
今回の登録では、旧足尾鉄道の開通(1911年)から間もなく建設された施設も多く含まれる。神戸(ごうど)駅(みどり市東町)や城下(しろおり)トンネル(桐生市黒保根町)、足尾駅(栃木県日光市)などは1912年の建設で、両駅の本屋やプラットホームはその後の改修を経て、現在に至っている。
わ鉄の樺沢豊社長は「渡良瀬渓谷の自然豊かな景観がわ鉄の魅力だが、歴史的、文化的な価値も沿線全体で認めていただいた。高速道路の料金割引など、経営環境は厳しいが、誘客に生かしたい」と語った。【塚本英夫】
毎日新聞 2009年9月27日 地方版