今月の特集
インドの強み(人口要因)
2009年、世界全体の経済成長率がマイナスで推移するといわれている中で、中国とインドはプラスの経済成長が有力視されています。両国ともに注目される材料は豊富にあります。それぞれ細かく紹介したいものの紙面の都合もありますので、今回は堅調な経済成長を続けているインド経済の背景にある人口構成データを紹介します。(比較のため日本と中国のデータも併せて紹介します。)
なお以下では“労働を供給する世代”をキーワードにご覧頂くと、今後各国経済を見る時の参考になるかもしれません。
<事前参考データ>
『日本』 における男女別人口に占める各年齢の割合 【2005年及び2025年】
「2005年」
30歳未満の比率が若年層になるにつれ減少傾向にあります。団塊の世代とその子供世代は人口構成が豊富ですが、次の経済の担い手が控えておらず将来にも不安が残ります。
「2025年」
長生きする方が多く喜ばしいものの50〜54歳世代の退職が視野に入り、かつ相変わらず若年層の人口が少ないため、2005年よりもさらに少子高齢化の深刻さが増します。年金に対する不安が募るのも無理のない状況といえます。
『中国』 における男女別人口に占める各年齢の割合 【2005年及び2025年】
「2005年」
年代別人口構成に凹凸が存在することがやや気になるものの、高齢者世代の比率は低く、全体としてのバランスは大きな問題はなさそうです。なお中国の一人っ子政策は1979年から始まっており、ここでは25〜29歳がその導入時期に該当する世代となります。
「2025年」
比較的人口比率の高い50代が次期高齢者予備軍として控えており将来の心配の種となります。この先、若い年齢層の減少が進んだ場合、2005年の日本と同じ状況になる可能性を含んでおります。(一人っ子政策の導入時期に該当するのは45〜49歳の世代です。)
『インド』 における男女別人口に占める各年齢の割合 【2005年及び2025年】
「2005年」
末広がりとなっています。これは若い労働の供給者(又はその予備軍)が豊富なことを表しており、バランスの良い形といえます。ここでは紹介していませんが、実は日本の1950年頃もこれに近い形でした。
※2005年4歳以下の世代が2025年では20〜24歳の世代に該当し、人口はほぼ同じ(微減)ですので、人口規模の目安にして頂くことができます。
「2025年」
若年層の比率がやや減少するものの急激な凹凸はなく、目先の心配は不要といえます。もしこの先、若年層の人口比率減少が続いたとしても、20年程度先までは労働供給力という観点では問題なさそうです。敢えて似通った形状を探すとすれば、2005年の中国の人口構成を改善(凹凸を無くす)したものが、このインドの形状に近いといえるかもしれません。
以上、今回は人口構成(現状と予測)から各国経済を垣間見ました。今回のデータでは、インドの人口構成が長期に渡ってバランス良く推移し、今後の成長をフォローできる構造であることをご確認頂けたのではないでしょうか。
是非また機会があれば、別の側面からの紹介をしてみたいと思います。
(2009年4月24日)
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