セミナーを受けて思ったのは、いかに今までの自分が「思い込み」だけで行動していたかということ。一企業の採用担当として偉そうに求職者の職務経歴などにケチをつけてきたが、いざ自分が書いてみるとなると、全くもって穴だらけで特色の無いものが出来上がってしまった。自分を客観的に見るということがこんなにも難しいものかと改めて考えさせられてしまった。
もちろん得られたものはそれだけではない。一緒に2週間という長い期間学んできた「仲間」ができたことも大きな成果であったと思う。ヒデヒロよりもずっと人生経験の長い人や全く異なる経験をつんできた人など、10名以上の新しい友人が、この歳になってできるとは思っていなかった。その中の一人、Iさんの提案で金曜日のセミナー終了後に打ち上げを兼ねた軽い飲み会をやることになった。
会場として選んだのは長浜の魚市場のほど近くにある「生粉蕎麦(きこそば)玄」という蕎麦屋。
北天神SBホテルというビジネスホテルの一階にあるざるそば280円の格安蕎麦屋として有名な店だが、夕方5時からはおつまみメニューも出て軽く一杯飲める良いお店なのである。しかもここの店長はかなりのこだわりを持った料理人でもあるので、かなり気持ちよく、美味しく飲めるのが魅力である。
とりあえずは生ビールで乾杯。その後は出し巻き玉子や蕎麦味噌、胡麻豆腐などをあてに焼酎や冷酒を楽しんだ。ヒデヒロ以外のみんなは締めにざる蕎麦をいただいていたが、ヒデヒロは次に行かなければいけない店が控えていたのでそばは遠慮しておいた。蕎麦屋に行って蕎麦を食わずに酒を飲むだけとはなかなか失礼な客である。
それにしても日の高いうちから飲むビールはしみじみと美味いものである。
さて、続いて訪れた店は吉塚の九大病院前にある焼き鳥屋「つづき」
実はこの店の店主はヒデヒロが前に務めていた会社の同僚である。脱サラしてはじめた店だが、そこそこ堅調に売上を伸ばしているようだ。本当はもっと早く行くつもりだったが、ヒデヒロ自身の退職やらセミナーやらが重なって、なかなか行けずにいたのである。
店内はカウンターと座敷を合わせても20席ほどの小ぢんまりとしたお店だが、レトロモダンな雰囲気でまとめられており、居心地は良い。メニューを見るとこれと言って特色は無いものの、値段は80円からとかなり良心的である。
すでに一杯引っ掛けているヒデヒロは、とりあえず芋焼酎のロックを頼んだ。そこに現れたのが、これまた前の職場の同僚であったSさん。実は彼もヒデヒロの一ヶ月ほど前に退職しているのである…。今は某代議士の選挙事務所でお手伝いをする仕事をしているそうでこれから忙しくなりそうである。
そのSさんがいきなり「タコ焼きの準備はできてる?」と店主に聞いた。メニューを見てもタコ焼きの文字はない。「任せてください」と言いつつ嬉しそうに店主がヒデヒロの目の前にタコ焼き機を置いた。むむむ…これはセルフでタコ焼きを焼けということか…。
ヒデヒロは昔一ヶ月ほど大阪の長居(セレッソ大阪のホームグラウンドがあるところね)に住んでいたことがあり、当時の会社の先輩に、週3ペースで家に呼ばれて、タコ焼きの特訓を受けたことがあるのだ。ここは一つ昔取った杵柄とまでは行かないが、「反しのテクニック」を披露せねばなるまい…。
じゃじゃ〜ん!
まぁまぁ見れないことは無いタコ焼きの焼き上がりである。これにソースをかけて花かつをと青海苔を振りかけて完成である。
我ながらなかなかの味であったが、大阪で味わった「ダシ入りタコ焼き」の味には程遠いものであった。そこで近くのampmに走り、めんつゆを買ってきて2順目に突入したのは言うまでも無い。この日来ていた常連さんにもおすそ分けしたが、なかなかの高評価をいただいた。
しかしSさんと2人でタコ焼き36個はなかなかハードなボリュームで、結局焼き鳥はハツを2本焼いてもらっただけでお腹がはちきれそうになってしまった。今度はきちんと焼き鳥を食いに行こう…。
それにしても蕎麦屋では酒しか飲まないは、焼き鳥屋でタコ焼き焼くはで、何だかちぐはぐな飲み会になってしまった。まあ、こんな日もあるさ、と少しぼぉ〜っとする意識の中でふと視線を上げると、人気の無いJRのホームが広がっていて、はるか昔電車通勤をしていた頃のサラリーマン生活を思い出してしまった。
早く再就職してまともに社会復帰しなけりゃいけないな…。