(CNN) 太平洋の島国サモア独立国は7日から、車線方向を従来の右側通行から左側通行に変更する。経済効果を見込んだもので、車線を変更する国は、1970年代以来、初めて。
車線変更に伴い、7─8日は国民の休日となるほか、7日から3日間はアルコール販売が禁止される。
この変更に関して、サモア国内では世論が真っ二つに別れている。同国で走る車はこれまで、ほとんどが隣の米領サモアもしくは米国から輸入されている。米領サモアは米国と同じ、右側通行。
車線変更を決めたのは、サモアからニュージーランドやオーストラリアに出稼ぎに出ている人々が、中古車を両国からより安く、サモア国内に送ることができることをふまえたため。
英連邦に所属するオーストラリアとニュージーランドは、日本と同じ左側通行。一方、サモアで走る車はこれまで、ほとんどが隣の米領サモアもしくは米国から輸入されてきた。米領サモアは米国と同じ右側通行。
賛成者のひとりは、ハワイから送った車が輸送費だけで3500ドル(約33万円)かかり、同じクラスの車をニュージーランドから送る場合は968ドル(約9万円)しかかからないと指摘。裕福層と一般の人々の格差が縮まると述べている。
しかし、車線変更に反対する人々は、突然の変更に混乱が生じ、物損事故や死傷事故が増加すると懸念。反対論者が起こした訴えは最高裁まで持ち込まれたが、主張が通らなかった。現在もあちこちの路上で、抗議デモが実施されている。
世界では人口の約70%が右側車線で生活している。しかし、英国連邦の各国や日本では左側通行となっている。
これまでに車線を変更した国にはスウェーデン(1967年)やアイスランド(1968年)、ナイジェリア(1972年)、ガーナ(1974年)などがあり、いずれも左側通行から右側通行への転換だった。