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【コラム】G20開催が恥ずかしい法律順守意識の低さ(下)

 法律順守意識だけが問題なのではない。社会的信頼や連帯感も危険レベルにまで低下している。世界の社会学者による組織が実施した2005年の「世界価値観調査」で、「他人を信じる」と答えた韓国人は28%(サムスン経済研究所)だった。経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均は39%、スウェーデンやデンマークなどの先進国では70%に達した。「初めて会った人を信じる」と答えた韓国人は13%にとどまった。これもOECD平均(36.6%)とは比較にならない。これに対し、「家族を信じる」と答えた韓国人は99%に達し、OECD平均(87%)を上回った。身内以外のよそ者は信じない、という閉鎖的血縁・縁故主義の典型だ。

 法律順守意識と信頼、社会的連帯感といった無形の社会秩序を経済学では「社会資本」と呼ぶ。ハーバード大のロバート・パットナム教授が北イタリアと南イタリアに労働力、資本など伝統的な生産要素を同じ質と量だけ投入しても全く異なる成果が生じる理由を分析した過程でつくり出された概念だ。経済学者のステファン・ナックとフィリップ・キーパーはそれをさらに発展させ、社会資本と経済成長の相関関係を数値化した。ほかの条件が同一ならば、社会資本指数が10%上昇すると、成長率が0.8ポイント程度上昇するとの結論だ。仮に韓国の社会資本が欧米レベルだとすると、韓国経済はアジア通貨危機前まで少なくとも毎年1ポイント高い成長を達成できたはずだ。

 しかし、韓国の社会資本はどんどん枯渇している。世界価値観調査が実施された1982年と2001年の間に、韓国の社会的信頼指数は11%低下した。社会資本が低下する状況では、いくら企業投資を増やし、生産性を高めようとしても、底が抜けたかめのようなもので、努力するだけ無駄だ。逆にほかのことはさておき、韓国の法律と信頼を先進国水準に高めただけでも、韓国経済の成長潜在力はすぐにも倍増するはずで、10年以上「国民所得2万ドル(約180万円)」のわなにはまっている韓国経済が再び飛躍するチャンスを迎えるはずだ。そしてそうなれば、韓国は主要20カ国・地域(G20)ではなく、主要8カ国(G8)の会議を開催できるかもしれない。

李濬(イ・ジュン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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