がん患者が保険が効く診療と効かない診療を併用するいわゆる「混合診療」を行うと全額が自己負担になるのは違法だと訴えた裁判の控訴審で、東京高裁は患者側、逆転敗訴の判決を言い渡しました。
神奈川県に住む清郷伸人さん(62)は、腎臓がんで保険が効くインターフェロン療法と保険が効かない診療を併用していましたが、この治療が「混合診療」にあたり全額が自己負担となるのは違法だと訴えていました。
一審の東京地裁は「全額を自己負担とする法的な根拠が見いだせない」などとして清郷さんの訴えを認め、国側が控訴していました。
29日の判決で東京高裁は「混合診療は原則として禁止されている」と指摘。その上で「混合診療の一部を認めた制度はあるがこれに該当しない治療はすべて保険は効かないと解釈すべき」と判断し、一審判決を取り消し、保険適用の確認などを求めた清郷さんの請求を退けました。
「命あるかぎり闘うつもり。最高裁に上告して闘う」(清郷伸人さん)
判決を受けて長妻厚生労働大臣は「国のこれまでの主張が認められたものと考えております」との談話を発表しました。(29日18:11)