のどから手が出るほど欲しい平均点

第3回新司法試験に滑り込んだ現法学部助教の記録(現在進行形)

予告:答案構成掲載を打ち切ります

成績発表も終わりまして、アクセス数も落ち着いて参りました。また、当方の都合で申し訳ありませんが、今回の答案構成を再現答案の形で提供するよう要請を受けました。そこで、当該出版物のセールスとの関係上、答案構成を掲げた記事の掲載を9月30日をもって打ち切りたいと思います。それ以外の記事についての需要はほとんどないと思いますが、勉強方法等についてのご質問・ご相談等を受けることもありますので、それ以外の記事については残しておきたいと思います。掲載誌等についての告知は改めてさせて頂きますが、もし私の答案構成(大した内容ではありませんが)を保存されたい方は、9月30日までに保存等をお願いします。

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追記:「本気の勉強」の内容

おはようございます。昨夜はよく眠れませんでした。

一部の方から、昨日の記事にいうところの「本気の勉強」の内容を教えて欲しい、という旨のコメントを頂きました。以下のふたつの留保をつけた上で、一応ご説明しておきたいと思います。なお、コメントの内容の性質上、記事として公開してお答えさせて頂きます。その点ご了承下さい。
留保1:時間を十分に勉強に充てられる2回目、3回目の方向きの勉強法である。
留保2:研究者の卵としての勉強法という側面が強い。
まず択一ですが、ベースはタクティクス(商事法務)と肢別本(辰巳)です。択一にかけた時間は1日平均3時間程度かそれより少ないくらいだと思います。ちなみに前年度は合格者平均割れでした。前者は最近タクティクスアドバンスとして改版され、新司法試験過去問についても解説が載るようになりました。これをまんべんなく解けるようにしてから、肢別でフォローしたということです。ちなみに、勉強が進んでくると択一の選択肢で「理由付けも正誤もわかる」「理由付けはわかるが正誤をまちがう」「理由付けはわからないが正誤はわかる」「理由付けも正誤もまちがう」の4種類に選択肢が分かれる筈ですが、このときにうかつに正誤のみを覚えようとするのは極めて危険です。判例の理由付けと共に正誤を覚えるようにして下さい。肢別についても同様です。時間のあるうちは条文・掲載判例とも引いて間違った問題を解き直すのがベターだと思います。
次に論文ですが、基本的には重要な論点の確実な把握が第一歩だと思います。これは大づかみなレベルからスタートして構いません。例えば行政法の一般原則(実体法上の違法事由の根拠となる)や刑訴の自白法則の趣旨(どの見解に立つのか、他の見解のどこが問題か)など、非常に大きいものから確実に押さえて下さい。私はその手段として、様々な学者の演習書の問題のみをコピーした問題集を作り、その答えが書けないことを実感した上でその学者の見解を確認し、判例・実務通説と異なる場合はその内容もフォローしました。基本的な論点の習熟については、予備校の本(たとえば辰巳のえんしゅう本)などの利用も合理的ですが、解答の正確性については十分に吟味して下さい。
その段階が終了した後は、ある程度長文の「良質の」問題を演習することが早道です。この「質」の確保がなかなか難しく、多くの方は予備校などの答練を利用される訳ですが、ご存じの通り、問題も添削も玉石混淆です。私は伊藤塾のペースメーカー答練を一応受けていましたが、成績はあまりよくありませんでした。内容の質が保たれている新作は、主に法教の演習や事例問題の連載(刑法:西田監修・島田=小林、08年10月号から会社法についてもスタート)です。これはプロの学者が内容を十分吟味の上書いていますので、(人によっては応用しにくい内容ですが)確実にためになります。
なお、京大系の先生方の事例演習本(民法・会社法)やケースブックの独学は、解答例が明示されていないため、かなり危険で効率が悪いと思います。確実にその科目で信頼できる知識・思考力を有している学者・実務家・上位合格者(私も疑問符がつきますが)のアドバイスのもと、ゼミで十分に内容を精査しないまま独善的に答を書くことは、有害無益であることが多いと思います。
また、百選の通読については最も意見が分かれるところだと思います。私は去年9月から今年5月までの間、「百選の日」には1日35本程度、事案・判旨・解説を通読する作業を続けました。もちろん解説のレベルは様々ですが、少なくとも有名大学教授・准教授の執筆部分については解説のレベルの高さは折り紙付きですし、そうでないもの(見分けは難しいですが)については「読みにくい文章を読む練習」くらいの積もりで読むと、案外有益なことが書いてあることも多いのです。ただし、会社法や民法のように100個の個数に拘る百選の場合は収録判例数が足りませんので、重判などでフォローして下さい。

なお老婆心ながら、択一はよくできるけれども論文の成績との乖離が激しい、という方については、次のような方法はいかがでしょうか。まず、実務に近い見解(例えば要件事実を意識した民法基本書)を採用する薄い入門書のようなものを通読して、自分の一般的な理解レベルの底上げを図ると同時に誤解を修正します(同じ本を繰り返し読むと、誤解が定着するおそれがあります)。その後は、自分の浅い理解や誤解がある部分について判例の見解を精査し直した上で、問題演習に戻ると言った風に。新世社の基本講義シリーズなどは良書が多いように感じます。

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このようなご質問に対する私なりの回答を掲載させて頂くことは、必ずしもやぶさかではありません。ただ、私のやり方が「効率的でない」「自分には向かない」と思われる方は、無理してまねする必要は全くないと思います。ただ、その方法論の追究だけで8ヶ月を空費しないようにお気をつけ下さい。
ご自分のプライバシーに関わるご質問・ご意見等については、その部分を除外した上で皆様が共有できる状態で公開することにさせて頂きたいと思います。

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成績通知の概要

今日は大学院生の紀要の発行日で、午前中から学校に来て抜き刷りをお送りする方の宛名書きをしました。午後からは紀要の到着を待つと同時に、指導教授と相談して、今年から日本私法学会に参加することで合意し、入会申込書を書き、抜き刷りが届いてからは名前書きをして封筒に入れ、近くの郵便局に行ったり、と雑務をしていました。

というところで電話が鳴りました。母親からでした。成績通知の内容の話だとは思いましたが、「2065番だったよ。危なかったね。」という類の電話だと思って、緊張した面持ちで母親が数字を読むのを聞いていました。
一度聞いて内容が信じられず、専攻関係の教員に抜き刷りをお配りしてからもう一度確認の電話を入れました。
ということで、まだ現物は見ていないのですが、メモした数字を特定されない程度に記したいと思います。

公法系:160点台前半
民事系:190点台後半
刑事系:70点台後半
労働法:70点台前半
論文得点:500点台後半
論文順位:90番台
総合得点:1100点台後半
総合順位:100番台

刑事系がご愛嬌といった感じですが、正直いって自分でも一体何が起こったのかがよくわかりません。確かに、憲法でスタンディングの議論はしました。相続も丁寧に書きました。民訴も懸命に食らいつきました。
でも、行政法では行政指導についての位置づけが不十分でしたし、会社法はかなりミスをしています。民法も要件事実問題を外しています。刑事系は刑訴で再伝聞の1段階目を署名切りという手痛いミスをしましたし、刑法も論理上当然の前提となる事後強盗の適用を見落としました。選択科目の労働法では適用前の労働契約法を適用してしまいました。それなのに、このような順位を頂戴してよいのでしょうか…。

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これで、このブログの更新は終わりです。結局私は、3振目といった追い込まれた立場にならないと、本気の勉強ができないということなのでしょう。
このようなアンバランスな得点では、うまく皆様に有益なアドバイスができるとも思えません。

新司法試験制度、特にその合格者・合格率についての行く末は、全く見えない状態にあります。折しも麻生内閣が誕生し、従来の法曹増員の既定路線がどう変化するともわかりません。このブログをご覧頂いた皆様には、なるべくリスクテイクをせず、着実に判例・(実務上の)通説的見解の深い理解を推し進め、出来るだけ速く、(必要によってはよい順位で)合格して頂きたいと思います。
私は司法行政当局との無益な争いはせず、暫くは自分の専攻分野の研究に邁進したいと思います。最後に、今まで当ブログをご覧頂いた皆様に深謝すると共に、これからのご健闘をお祈りして、結びとさせて頂きます。ありがとうございました。

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出題の趣旨公表

今日、法務省のウェブサイトに「出題の趣旨」が公表されました。
やっぱり、本当は書くべきところで書けていない点が結構あります。
出題者・採点者の方々からすれば、到底褒められる内容ではない水準の答案レベルに属していたのだと思います。
他方で、一部で話題になっていた刑訴の逮捕後の手続については、「趣旨」に言及はありませんでした。深読みをして逮捕後に触れなければならないという説を張った方に対して「問題文に表現されている以上のことを答えるのは有害無益だ」という解答を与えたもののように思います。

私は学者メインの道を歩むので、自分の専攻とそれに近い法律の解釈学・立法論ができればさしあたり問題はない訳ですが、それに限定しても不十分な点は多々あります。おそらく成績は明後日着くと思うので、着いたら特定されない程度に開示したいと思います。

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1週間が経って

久しぶりに目に見える結果を出すことができたものの、私はあくまでも博士後期課程の院生です。発表があって1週間が経ち、そろそろ本業の研究を本格的に再開しなければなりません。
英語の論文を読むスピードというものは、少しでも時間を置くとガタンと落ちるようです。こういうときのウォーミングアップになるのが、資料収集や日本語の法律雑誌の速読です。学者も霞を食らって生きている訳ではないので、当然判時・金判などの判例雑誌をスターターに利用すると軌道に乗りやすいイメージがあります。最新の専攻関連の判決を読み、関連記事を探す作業は、確実に畑の肥やしになります。

とはいえ、最終的にはロースクールの教員サイドに回る可能性が高い私としては、新司法試験関連の情報からもフリーになることはありません。毎日法務省のサイトをちらちらと見、出題の趣旨の掲載を待っていたり、あるいは自分の論文成績はどの程度だったのかはがきを待ったり。
その合間をぬって、ロースクールでお世話になって、現在は実務家に戻られている弁護士の方や、自分にとって恩師と呼べる存在の方々、またエクスターンシップ先などへのお礼状も数枚書きました。

私はスロースターターなので、研究意欲が点火するまでにはもう少し時間が必要のようですが、いつまでもお祝いムードに染まったままでいるのではなく、元の軌道に戻っていこうと思っています。

私は地方都市に住んでおりますので、仮に今日成績通知が発送になっても、届くのは週明けになります。結果が出ましたら、個人を特定できない程度に具体的な点数を開示して、皆様へのお礼に代えたいと思っております。

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