のどから手が出るほど欲しい平均点

第3回新司法試験に滑り込んだ現法学部助教の記録(現在進行形)

ガジェットをタクティクスに:肢別との差も兼ねて

マイナーチェンジですが、右側のプラグインに入れているAmazon.co.jpのくるくるガジェットを、タクティクスアドバンス編にしてみました。
最近は各社いろいろな択一問題集を出しているようで、私もすべてをフォローしている訳ではありませんが、過去問を解いてみて難度が高いとか、基礎固めをしっかりやりたいという方には、とりあえずおすすめしています。

なお、この手の本で最もポピュラーな辰巳さんの肢別本との差についても一言触れておきます。まず、肢別本はご存じのように○×式の1問1答方式の問題集ですが、憲民刑については、基本的に旧試験・新試験の過去問です。そのため、問題の内容についてはさしたる問題点はありません。最近の旧試験問題と新試験の過去問との間にはかなりのレベル差があるのですが、難しい方にトライしておくことは有益だと思います。なお、以前に書いたとおり、「結論は正解したが理由付けが間違っている」肢については要注意だと思って下さい。
他方で、下4法については、必ずしも問題の出所が明らかではありません。そのため、問題のクオリティがよくない場合もありますし、多肢択一式の問題に比べるとフォローの度合いが低いことも問題になります。「肢別さえこなせば完答できる」というのは幻想だと思った方がよいです。そのようにして実際に点数を稼げるタイプの人は、既に択一の要点を自分でフォローできているということだと思います。
私がタクティクスアドバンスをおすすめしているのは、法学検定・日弁連法学既修者認定試験・新試験過去問という、いわば公定試験を難易度順・体系順に並び替えたもので、基礎からの着実なレベルアップが図れるからです。また、タクティクスが平均4肢で100問あれば、肢別では400肢解いたことになる訳です。
択一の問題集については色々悩まれている方もいらっしゃるとは思いますが、以上のようなことを踏まえて選択して頂ければ、と思います。
現役の方は、大学生協で購入できたらそちらの方が安いので、無理にクリックはされなくても大丈夫です。再チャレンジの方は、右のガジェットでまるまる買えるので、必要であればご利用下さい。

もう1点、事務的なご連絡です。このブログにも常連さんが相当数訪問されていることがログで明らかになっており、とても有り難いことだと思っております。ただ、私は皆さん既にご存じの通り、司法界とは一定の距離を置いて生活しておりますので、必ずしも有益な情報をご提供できない場合もあります。FC2ブログはRSSを自動配信しておりますので、RSSリーダーをお持ちだったり、対応するブラウザをご利用の方でご多忙な方は、そちらで更新の有無だけを確認して頂いても一向に差し支えありません。もちろん、ご訪問はいつでも歓迎しておりますし、ご質問等頂いた場合にはなるべくスムースにお返事したいと思っています。

そろそろ願書の提出時期ですね。来年は今年に比べてまた厳しい試験になるので、受けられるかどうかを悩まれる方もいらっしゃると思いますが、受けられる場合は、試験日にベストコンディションを整えられるように調整されて下さいね。私のように、体調不良をおして無理に試験を受けても、いい結果はあまり返ってきませんので。

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規範定立・あてはめ論管見

新62期修習生の方のブログにURLを貼り付けてからしばらくの間、アクセス数が一時的に増えていましたが、ここのところは漸減傾向です。ようやく落ち着いたというところでしょうか。私は学位中間論文執筆にいそしんでいます。

今日は少しラディカルな話を投稿します。標題からもわかるように、いわゆる「規範定立・あてはめ」型の答案は合格への必須要件なのか、ということです。

結論を先出ししますと(なお蛇足ですが、結論を先出しできることはアドバンテージになり得ると思われていますが、むしろ当然のことだと思います。最終的な結論を見据えずに法律関係の文書を書くということの方が問題だと思います)、必須要件ではないと考えています。このようなことを言っても疑われるだけだと思いますので、もし私の稚拙な答案をお読みになりたい方は、書店で法学書院さんの『問題と解説』今年度版のF答案をご覧下さい。立ち読みでかまいません(法学書院さんごめんなさい)。答案構成は6月段階で作成済みで、成績が判明してから再現答案にしていますので、再現の度合いは高いと思って頂いて結構です。

そもそも、事実認定→規範定立→当てはめ(事実の法的評価)という手順は、なぜ踏まれるべきなのか、(皆さんの常套手段でもある)趣旨に遡って考えてみます。規範という抽象的な内容の基準をたてることの最大のメリットは、法的三段論法という形式面にあるのではなく、平井宜雄先生のような立場にみられる「反論可能性」を高める点にあります。抽象的に規範というものを見て、その規範自体に問題がある場合は、当該規範を改善しなければなりません。その前提として、規範自体の妥当性が測定しがたいもの、すなわち一般条項的な規範は、本来規範としての要をなしません。それは、さまざまな基準の集合体としての表現に過ぎず、反論可能性に乏しい規範です。あくまでも規範は「一定程度」具体的である必要があるのです。
もちろん、規範が不要という訳でもありません。そうであるとすれば、極めてものごとを大局的見地から考えることのできるエリート中のエリート裁判官に、個別の事件についてカズイスティックに請求の当否を判断させ、それをコンピュータ上にデータベース化してそれにアクセスするシステムを構築すれば足りるだけです。これは平井先生からすれば「反論可能性」がゼロに等しく、また政治学者からすればまさにエリート独裁の状態で、法的な処理とは評価しがたいものです。

しかしながら、以上の議論から推論すれば理解できるように、事案の要点を抽出して似たような規範をたて、それに愚直にあてはめるという手法は、法的三段論法という形式面を満たしていたとしても、到底ほめられた作業ではありません。インクと紙の無駄遣いです。そのような規範(基準)は、カズイスティックな処理とほとんど変わるところはありません。

それより遙かに評価されるのは、規範とあてはめの未分離という現象にもかかわらず、実質的な法的問題を発見し、適切に処理できている答案の方です。これは、法的三段論法という形式面は満たしていませんが、ものごとの本質を見極め、本来あるべき処理を合理的な理由をもって説明できている点で、形式的な法的三段論法答案より高評価であることがむしろ当然です。実質的な理由付けが明確であれば、反論可能性も十分に担保されます。

世の中には、この点をはき違えた理解が蔓延しているように思います。もちろん、私のような考え方は頭でっかちな学者的思考に過ぎず、法曹のウケがいいとは限りませんが、もしそうであれば、私にF答案のような評価はおそらくつかなかったでしょう。
特に、「これは規範だから」「これはあてはめの部分だから」という議論の仕方は危険です。その振り分けによって、当該判例・裁判例の言わんとすることを無意識のうちに取捨選択している可能性があります。ロースクール教育の典型であるケースブックによるソクラティック・メソッドの本質は、微妙に異なった事案で結論が分かれた分水嶺がどこにあったかを「実質的に」理解することにあったはずです。形式面を整えるのは、その後で十分だと思っています。

本当に踏み込むべきところには足を踏み入れ、どちらでもかまわないところは適当に処理する、それだけで1問あたり2時間はすぐに過ぎます。あとは、皆さんの時間の使い方次第です。

信じるも信じないも、皆さんの自由です。ただ、私はまっとうな学者になって、それなりの社会的ステータスを得た暁には、このことは明確に主張していきたいと思っています。

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論文量産中

今日は、院生の紀要に掲載する予定の論文の報告会でした。前回の判批を書き上げたのが7月だったので、トータルで3ヶ月強、実質は夏休みや試験後のこざこざがあったので2ヶ月あまりで書き上げたものです。中間論文への問題意識を鮮明にするのにちょうどいい比較法的研究になった気がします。横書きで標準的な紀要サイズで90頁程度になるかなり大部なものですが、この論文も足がかりにしつつ、これから2ヶ月くらいで中間論文への道筋をつけるつもりです。幸い本代は再現答案の謝礼や添削のお仕事、現役生向けレクチャーのお礼などで結構な額を頂いたので、当座は大丈夫そうです。
現在主にサーベイしているのは基本的に専門外の経済学的な内容が多いのと、この分野は進展が著しく大学に入っている旧版では役に立たないことから、自腹を切らざるを得ないのが実情です。
仮に来年度の助教採用が決まった場合には、科研費(若手)などの学術助成金にもアプライしてみようかと思っています。それなりにおもしろいテーマだと思うので、お金を頂ける可能性はそこそこあると思っています。

新62期修習生の方々は、もうじき実務修習が始まりますね。健闘をお祈りします。また、ここをご覧の、新63期を目標にされている方も、これからの追い込みが大切だと思いますので、同様に健闘をお祈りしております。

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されて下さい。




この本に私の再現答案が掲載されています。A〜Fのいずれであるかは、以前アップした成績通知の記事と照らし合わせると一目瞭然ですね(^−^;
私は既に原稿料を頂いているのでセールスには関心がありませんが、できれば法学書院さんのために買ってあげて下さい。
以上、控えめな宣伝でした。

追記:Amazonのアフェリエイトにも登録してみました。もし気が向いたら購入してあげて下さい。
さらに追記:Amazonはクレジット決済が基本なので、利用される方がいらっしゃるかと思い、楽天ブックスさんへのリンクも張っておきます。

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レクチャー終了

今日で無事学内少人数向けのレクチャー最終回(労働法)を終了しました。最後までおつきあい頂いた方にはお礼申し上げます。
私は慌ただしい毎日が続いていますが、とりあえず助教にアプライするための中間論文執筆を中心に、11月4日から1月4日までの2ヶ月間は懸命にものを書き続けるつもりです。

その際に申し上げたことですが、法科大学院修了生ないし浪人生の中から20%台に止まる合格率の、中日を含めて5日間の試験をやる訳ですから、これでは丙案があった時代に3回以内で合格するのと、第4回新試験を1発で合格するのにはそれほど難易度の差はないのではないか、とすら思っています。
現役の方も、何らかの事情で勉強ばかりできる訳ではない浪人の方も、試験で下駄を履かせてもらえる訳ではないので、試験日にベストコンディションで受験できるように、調整を続けていって下さい。

私はもう試験関係から足を洗えるかと思っていましたが、中間論文を急ピッチで書いて助教にアプライするという、ある意味で受験生より厳しい立場に立たされることになってしまいました。皆茨の道を突き進む以外になさそうです。

ではでは♪

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