新年初投稿2009-01-03 Sat 21:42
新年明けましておめでとうございます。私は昨日東京から家に帰ってきまして、今日は1日かけて中間論文の微修正をしました。とりあえず全て作業は終了しました。フランス法の概説書をめくっていて労働法典の大改正があったことがわかり、四苦八苦しながら仏語の原典を読んだり、最後まで気が抜けませんでしたが、とりあえず2ヶ月半でA4標準字数135ページ書いたので、特に悔いはありません。
東京では、湯島さんにお礼参りに行って、親しい方数名分の「資格勝得守」を買ってきました。自分には、資格とはおさらばですが、研究進展を願って学業守を買ってきました。 私の今年の初仕事は、上記のように無事終わりそうです。その後は、文献の補充等をして公聴会に備えつつ、こまごま受験指導のお手伝いなどをさせて頂こうと思っています。 今年の第4回試験は、旧試験の合格者数が減少に転じた時点で既修コースに入学された4期既修の方の存在や、給付制度の適用がある最後の年度であることなどから、熾烈な競争試験になると言われています。もう新試験は、決して旧試験より易しいと一刀両断できる試験ではなくなりました。3が日も終わりましたので、これからは気持ちを切り替えて、頑張って頂きたいと思います。私は、助教に採用されるにせよされないにせよ、博士論文を1年弱で仕上げるために努力したいと思っています。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
私は一段落2008-12-29 Mon 16:22
年の瀬ですね。やはり私のいた法科大学院の受験指導組織(といってもこの間聞いた話では一部弁護士が突っ走っているようですが)が、年末年始に「合格」特訓ゼミをするそうです。しかも浪人優先で、もうスペースはないと。だからそういうのは機会均等が原則だと小一時間(ry
私は、とにもかくにも論文を書き上げ、今日の午前中に添付する報告書を書き上げました。とはいっても、もう冒頭の方はあまり覚えていない状態なので、このUMPCは東京に持参して、行き帰りのフライトの間は微調整をしようと思っています。 大学教員のポストは、新設されない限り空いたものに入るしかないので、次の教員バブルは、ロースクールの兼担教員を解消すべき時期です(とはいっても、かなりのローが縮小ないし統合されるでしょうから、ポスト自体も減るでしょうが)。私もたまたま「氷河期」世代な訳です。というわけで、試験に受かっただけでは仕事がないのは皆さんと同じでした(^-^;現実は厳しいですね。 1/5の論文の〆切の後は、首を洗って公聴会を待つしかないので、しばらくは受験指導(お手伝い程度ですが)もしようと思います。何組か私のたいしたこともない話を聞きたがっているということで、呼ばれれば出て行くというスタンスです。 このブログの更新は、とりあえず来年1/2から再開ということにさせて頂きます。どうぞよいお年をお迎え下さい。そして、皆様の来年がもっとよい年になることを願っております。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
少しまじめにクリスマス2008-12-25 Thu 12:15
日本ではなぜかイヴの方が(お)盛んですが、一般的なキリスト教国では25日がメインのお祝い日です。ただし、その代わりにお正月は非常に淡泊で、1日が休みになるだけの国が欧米では多いようです。
クリスマスがキリスト教徒以外の日本人にとってどの程度めでたいのかはさておくとして、少しまじめに考えてみましょうか。 [設問] 1.(労働法) 最近よく報道で、「期間従業員の解雇予告通知の撤回を求める労組の運動」について報じられます。 (1)そもそも、期間従業員に「解雇」の概念はあるのでしょうか?厳密に言えば、多くの場合それは(A)だと思われます。(A)にあてはまる言葉を述べてください。 (2)期間従業員でも、一定の条件を満たした場合には解雇権濫用法理の類推が認められるという判例法理がありますが、どのような場合に類推が認められるか、判例法理を再確認してください。 (3)(A)の通知が到達した後に、当該もと期間従業員は、労働組合に加入して団交を求めることができるでしょうか。理由もあわせて確認しておいて下さい。 2.(憲法) 以上に関連して、いわゆるワーキング・プアの問題も議論の俎上にのぼっています。ここでは「ワーキング・プア」を、「就労はしているが生活保護世帯未満の収入しか得ることのできない者」と捉えておきます。 (1)かかるワーキング・プアの人々は、14条(平等原則)ないし25条(生存権)を根拠に、国に何らかの措置を講ずることを求めることができるでしょうか?判例の見解と少数反対説の見解を整理してみてください。25条の少数説においても、(B)までしか認められないという見解が一般的ですが、(B)に入る言葉も考えてみてください。 (2)では、ワーキング・プアの方が仮に母子家庭であったとして、子供の高校入学金を期限内に納めることができなかったとします。最近は公立においても「悪意の」未納が増えていることへの対応策として、入学金を納められない者には入学式への参加を認めない措置がとられることがあります。仮にそのような対応が採られた場合、当該母子は何か憲法上の権利を侵害されているといえるでしょうか。また、それが存在するとした場合、どのような訴訟を提起できるでしょうか。 3.(憲法) さて、メインの宗教関係を考えてみましょう。 (1)あなたに子供がいるとして、宗教色のない幼稚園に通わせていたところ、クリスマスでイエス・キリストの生誕劇をやることになりました。理屈がちなあなたの子供です。ませた態度ながら、「ぼくはキリスト教徒じゃないのにキリストの劇をやらないといけないの?」とあなたに聞いてきました。この子供は何らかの憲法上の権利を侵害されているでしょうか。 (2)仮に、当該幼稚園がクリスチャン系のそれであって、あなたは入園に際してそのことを把握していた場合には、結論は異なるでしょうか。 (3)この幼稚園に自治体から補助金が出ている場合、どのような憲法上の論点が発生するでしょうか。その場合、判例はどのように考えているでしょうか。理由付けとともに答えてみて下さい。余裕がある方は、園部逸夫判事の意見も参照してみて下さい。 この間より結構論点チックに作ってみましたが、いかがでしょうか。いつも公法と労働法では退屈するので、次の機会には私法的テーマを選んでみますね。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
年末年始の過ごし方2008-12-19 Fri 11:36
昨日の夜に論文が一山越えたので、今日は若干休憩気味でゆとりがあります。前回の記事があまりにもスルーされたので(^-^;今日はもうちょっと実利的な話を。標題についてです。
予備校業界とか受験指導団体というのは一種の宗教的要素がありまして(例えばカリスマ的指導者の存在、指導に盲従しないと通らない的な説教、呪文のように唱える論証パターンなど)、私は中学入試のとき以来あまり直接的な関わりを持たないように生きてきました(それでも結構「お布施」はしましたが、神は降臨しませんでした)。皆さんご存じの通り、私は神でもカリスマでもなく単なる理屈がちの院生ですので、そういった立場の人間の意見として聞いて頂ければ十分です。 そば打ちの名人が、「うまいそばの食べ方」を聞かれたときに、「そばにどのくらいつゆを浸けるかと、セックスの仕方は自分で決めなさい」と答える、という文章を読んだことがあります。本来、試験というものも客観的な正解が一義的に決まらない以上、それに対するアプローチも十人十色のはずです。択一対策という面ではある程度型にはまった流儀が必要かもしれませんが、少なくとも論文に関しては過度の型作りには慎重であった方がよいのではないか、と思います。 私の公法系、特に憲法の答案については、受験生ないし指導者層からみれば非常にインパクト・ショックの強い内容だという評価が一般のようですが、結局ものごとの本質を捉えていれば、形式は第2、第3の要素に後退することは明らかなはずです。その程度の流儀をわきまえれば、大切なのは「筋」でも「流れ」でも「パターン」でもなく、「中身」なのだということは自然と理解できるはずなのです。 私は猜疑心の強い方なので、人のいうことを素直に聞くということ自体が苦手です。また、周りをまねして特定のレールに乗ってみても、うまく乗れずに結局脱線(転覆)の繰り返しでした。もし自分もそういうタイプの人間だと思われる方がいらっしゃったら、せめて12月31日、元旦、正月2日くらいは普通に年越し・お正月を迎えられてよいのではないか、と思います。元旦の前後2日を使って本試験を解き、元旦に有り難い説教を流布する予備校さんもあるようですが(嫌みすぎる?w)、それは願掛けとほとんど選ぶところがないと思います。なぜ元旦の前後2日という、世の中が最もせわしなくあるいはおめでたムードのときに、かかる禁欲的態度に出なければならないのでしょうか。そういうときこそ「気合い」だという意見があるのは承知していますが、それだったらアニマル浜口氏か猪木氏にでも会いに行った方がいいのではないか、とすら思ってしまいます。アポなしで会いに行くとそれだけで気合いがいるような気がしますし、猪木氏の場合は北朝鮮かキューバ辺りに外遊中かもしれませんがw 特に浪人をされている方にとっては、毎日が息の詰まる思いだと思います。少しは外の空気を吸って、雑煮でもすすって、願を掛けるなら湯島さんなり太宰府なり、お伊勢さんでも出雲大社でも(別に神道は強制していませんよ、念のため)行かれるとよいかと思います。あ、風邪対策はして下さいね。現役の方は、もちろん年末年始を勉強で過ごすことも合理的だと思います。ただ、重要なのは、12月31日や元旦に勉強するということは「いつも」勉強をしているのと価値的に等しいのであって、そこで粘ることが「有利」になると勘違いしないことです。そこで根拠のない優越感に浸るのであれば、それは誤りだということです。 私は強欲なので、禁欲的な生活というものとは本質的になじみません。私も1/5に論文の〆切が待っていますが、正月は例年通り(ということは受験最終回だった今年もそうだったということですが)、おせちのバイヤーで東京から離れることのできない弟に会いに、母親と東京に3泊してきます。大事なのは「平常心」であって「禁欲」ではありません。皆さんは俗世にあふれる法律問題をコンスタントに解決するのが仕事になる筈です。役所は年末年始は休みです。その時期に準備書面を起案しないといけないこともあるとは思いますが、それは「普段通り」の仕事だということを正しく認識して頂きたいと思います。 なお、非常に蛇足ですが、恋愛は相乗効果を生む場合もあれば、共倒れの危険も、片方が受かって片方が落ちるというケースもあります。その点は適正にご判断ください。恋愛も大事なら、切り替えをきちんとすることを前提に、イヴかXマス当日を一緒に過ごすのもいいでしょう。 ぶっちゃけ、そういうものだと思うのですが、皆さんはどう思われるのでしょうね。やはり私は亜流の考え方なのでしょうか(^-^; テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
近時の政治トピックにまつわる法律問題2008-12-17 Wed 11:09
こんにちは。論文の追い込みでふらふらの生活をしています。
皆さんも息の詰まる思いだと思いますので、ちょっと頭の体操を。 以下の「事実」に関する憲法問題その他を考えてみましょう。 1.O阪府のH下知事はとても法曹実務をやっていたとは思えない法的な問題発言を繰り返すことで有名な府知事である。先日、国の諮問機関が学テに関する市町村別・学校別の成績データについて、原則開示を認めない現状を維持する決定をしたことに関して、大要以下のような発言をした。 「国は腐っている。選挙で選ばれた文科相以外の官僚は、全て辞任すべきだ。」 この発言のうち、国という団体が「腐る」ということは想定しがたいことなど、つつくと細々した問題は出てくるが、hiroleenは以下のように応答した。 「あなたの発言には、少なくとも憲法(A)条に反する部分があります。なぜなら、憲法(A)条は(B)と規定しており、あなたの発言に従えば、(C)のような人間は文科相に就任できなくなる可能性が出てくるからです。」 問:(A)〜(C)に適切な数字ないし語句・文章を挿入しなさい。 2.J民党の派閥の領袖であったMり元首相は、歯に衣着せぬ物言いで有名である(その代わり失言も多く、彼を慕っていた人間がいたこと自体問題が多い)が、彼は先日、グループを結成してA生政権の包囲網を作ろうとしているようにみえる、N川H直議員(元三役経験者)などの行動を次のように批判した。 「分派活動は認められない。そんなことは、党を出てからやればいいことじゃないか。」 憲法に小うるさいhiroleenは、またもしょぼい当ブログで噛み付いた。 「Mりさんの発言には明らかに憲法上の問題点があります。なぜなら、(A)だからです。」 問1:(A)に入る文章を考えなさい。 問2:仮にMり元首相が業を煮やして、N川議員の除名処分を求めた場合、J民党はこれを認めるべきか。認めるべき、べきでないとすれば、その理由は何か。N川議員が仮に除名された場合、どのような訴訟でどのような憲法上の問題点を指摘して争うことが可能か。 3.仮に設問2のMり元首相がCノンのM手洗氏(経営側トップと仮定する)に近い立場の労組トップであり、N川議員が同労組の執行部批判派である場合、かかる発言にまつわる労働法上の問題点を指摘し、論じなさい。 どんな感じでしょうか。統治機構も絡むので、結構頭の体操にはなると思いますが。ちなみに、国と地方の政策において対立が生じた場合の紛争処理システムについても、マイナーな点ですが検討しておいて下さい。 ではでは♪ テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |