【重要】第4回本試験での択一:論文配点割合の変更2009-01-23 Fri 19:48
あまり連投(連日の投稿)は好みではないのですが、法務省のウェブをこまめにチェックされていない読者の方がいらっしゃるといけないと思いましたので、連投することにしました。
今日、第4回新試験の総合得点における択一と論文の配点比率の変更に関して、法務省ウェブサイトに重要な情報の掲載がありました。正確な内容については、 法務省ウェブサイト直リンク をご自身で確認して頂きたいのですが、択一の比率が半減します。つまり、従来の総合得点算定方法は、 択一素点(350点満点)+論文素点(800点満点)×1400/800=総合得点 で、択一と論文の配点比率が1:4だったのですが、第4回は 択一素点(350点満点)×1/2+論文素点(800点満点)×1400/800=総合得点 となり、択一と論文の比率が1:8となります。 試験委員サイドとしては、択一のみの対策を集中的に行い逃げ切るタイプの合格者の数を可及的に抑制したいという本音があるようです。その結果、択一の得点は足切り点としての意味しか有さなかった旧試験により近い計算方法への変更となったのでしょう。 ただし、注意して頂きたいことがあります。択一の比率が薄まったとはいえ、毎年問題の易化や受験生のトレーニングによって、択一の足切り点は上がってきているので、このような配点変更があったとしても、択一を疎かにはできないということです。論文対策に傾斜するあまり、結果として択一で足を切られては元も子もありません。また、このような変更が行われたからといって、論文採点委員の数を急に増やすことも現実的とは思えませんから、択一で足を切る比率に大きな変更はないと考えておくことも必要だと思います。 ともかく、「先に結論ありき。結論がわかれば理由などどうでもよい」といった勉強法が強く戒められるべき、というアピールが打ち出されました。択一に割く時間を抑制される方向に転換される方も、「急がば回れ」の気持ちで、当該選択肢が「なぜ」○(×)なのかを十分吟味しながら勉強されて下さい。 なお、このような出願期間経過後の採点方法の変更などについて、不利益変更と考える方が訴訟を起こしても勝ち目がないことは、憲法・民訴法などで学習されている通りです。「法律上の争訟」性に欠けるからです。ご注意を。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
読みやすい文章の書き方って?2009-01-22 Thu 19:54
はじめて第3回本試験の解説を担当させて頂いたとき、重判解リストの配布をしたとき、先日北村先生の商法演習の解説をしたときの3回ほど、私の文章が(とても)読みやすいというご意見を頂きました。それ自体は嬉しい評価ではありますが、私は自分の文章が読みやすいとは到底思えません。にもかかわらずこのような評価を受ける理由について、自分なりに再整理してみようと思いました。
前提として、文章表現力が高まったとしても肝心の法律論が弱ければ意味はありません。その点ははき違えないで頂きたいと思います。あくまでも表現力等々で得点するのは、手段としては第3ないし第4程度のものだという意識は忘れないで下さい。 その前提に立って、なおご自分の文章表現を他人にとって読みやすいものとするには、以下のような工夫をされるとよろしいのではないでしょうか。 まず、主語・述語・目的語といった文の構成要素を明確にし、対応関係が一目瞭然になるように文を書くことです。このためには、一文の長さを解答用紙の2行以内に抑えることが大前提だと思います。長い文章は、自然と主語と述語が対応しない「ねじれ文」を生みやすい傾向にあります。この対応関係が崩れると、主張が非常に見えづらくなります。文章は短くコンパクトに、主語述語を明確に、これが第1のセオリーです。 なお、蛇足ですが、このような文の書き方は、英語ではなかなか難しい面があります。それは、作文に当たって関係代名詞・関係副詞を用いることが極めて多いからです。例えば、「このサイトを見ているであろう受験生」といった表現は、学術論文では比較的よくあるのですが、試験の答案ではそうそうお目にかかりません。 その代わりに、日本語では指示代名詞(こそあど言葉)を多用します。ここに第2のセオリーがあります。指示・被指示の関係を明確にすることです。「このように」といっても、「どのように」かが一目瞭然でなければ、それは読みにくい文章です。「以上のように」といっても同じことです。他方、「その理由は、以下の通りである。」と書くと、区切りが明確になりやすいので、結論の前出しというのは相応の合理性があります。また、全体を見通して文章を書いていることも明らかですので、印象もよいと思います(もっとも以前記したように、最後を見据えないで文章を書くこと自体が戒められるべきことだと思います)。 もうひとつ指摘しておきたいのが、接続詞の並列・従属関係を明確にすることです。私のF答案憲法(受験新報2月号公法系A答案も同じですので、そちらをご覧になってもかまいません)を見ると、「また」「また」「また」「また」「最後に」といった構造で、原告の主張が並列(羅列)されています。これは、日本語的にみれば「美しい」とは到底言い難い書き方ですが、それぞれが同レベルにあることが一目瞭然であるという点では、試験の答案としてはひとつのモデルになりうるものです。そのような場合と、主張に上下関係がある場合を明確に区別すれば、自然と文章が(樹形図を文章化したように)整序されて読みやすくなると思います。 私が受験指導関係の方々と一線を画しているのは、なぜか「たしかに・しかし・また・よって」で全てが解決するという考え方を押しつける方が消滅しないから、という点にも原因があります。仮に受験生の方の多くが、上記の文章の並べ方よりも読みにくい文章配列をしがちであるのならば、それを模倣することは合理的ではあります。しかし、「たしかにA。しかしB。またC。よってD。」という文章では、Dという結論のためにB・Cという理由のみを挙げ、反対の結論ないし理由付けとしてAを挙げているだけなので、それが別の表現でなされていてもそれらの関係が明らかであれば、答案の価値としては全くの「等価値」であるはずです。そもそも、全ての法律論の結論Dを導出するに際して、Aという堅固な確定判例法がある場合、B・Cだけを挙げて戦えるのでしょうか。上述の接続詞連結法の最大の問題点は、自分で主張の幅を狭めることで論拠を弱める可能性を是認していることにあります。 それよりずっと重要なのは、私のこの文章のように、一切推敲せずにフォームに直書きをしても、全体として文章が論理的に矛盾しないように頭の中を整理し、それを必要な程度で簡潔に表現することに尽きます。「自分の文章は読みにくいが、hiroleenの文章は読みやすい。まねたい」と思われるのであれば、まずは自分が矛盾なく一定程度の長さの文章を苦もなく書けるかを顧みることをお薦めしたいと思います。 型にはめればどうにかなる、という安直な発想は、「型にはまった」答案未満のパフォーマンスしか発揮できない場合には参考にすべきものですが、それを超えれば拘束されるいわれはありません。それから先は自分を信じて前に進むほかありません。むろん、私の近くにいらっしゃる方については、有償または無償で、その方の文章が読みやすいか読みにくいかをアドホックにお答えすることはできますし、なるべく協力させて頂きます。でも、しつこいようですが、どんなに読みにくくとも、法律論的にアトラクティブ(魅力的)な文章の方が、遙かに高評価であることだけは、お忘れなく。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
商法演習ゼミ(1)補遺2009-01-20 Tue 13:54
昨日から、後輩のドクターの方の仲介で、法学教室の昨年度の北村雅史先生の商法演習について答案添削とコメント・議論をするゼミのレクチャー役というものを始めました。成績(というかF答案の出来)の関係上なかなか言い出せなかったのですが、実は私は「商法学者」の卵です。なのに、あそこまで惨憺たる出来だったので、民事系のうちどの法律専攻かはここでは明言してこなかった訳ですが(^-^;
私もついこの間まで受験生だった訳で、研究歴は極めて浅い訳ですが、それでも教科書レベルのことならお話しできるところまでもってくることができましたので、引き受けさせて頂いた次第です。 昨日は、2007年10月号の問題でしたが、なかなかの難問だったと思います。また、その場の受講生の皆様には申し上げましたが、金商法上の委任状勧誘規制との絡みを無視することができませんので、書面による議決権行使(書面投票)のみで問題を作るというのは、やや先に条文ありきの問題設計だったかなあ、というのが率直な感想です。でも、議題と議案の概念の明確化という点では、勉強になる問題ではあると思います。 また、以前も書いたことですが、短文の事例問題でトレーニングをすること自体には大いに意義があると思います。長文事例問題というのは、作問する側の労力が(本来であれば)並大抵のものではありません。故に、どこかの判例・裁判例を丸写ししたり、あるいは外国のケースを翻訳・移入したりといったことが起こりやすい訳ですが、それをいかに「日本法的に」解釈するかが一番の問題点です。その点で、たとえば憲法の問題が外国法の判例そのまんまだったとしても、それを日本法的に解釈する必要がある以上、元ネタを知っているということはたいしたアドバンテージにはならないということです。 しかし、ケーススタディは知っている者勝ちという面も否定できません。その点では、生きた法である判例・裁判例に当たることは、やってもやり過ぎることはありません。是非、地道なトレーニングを積んで頂きたいと思います。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
レクチャー補充2009-01-12 Mon 23:12
今日は久しぶりに、法科大学院の後進の方たちを相手に公法系のレクチャーをしました。マトリックスが出てきたりベン図が出てきたりで結構面食らわれたと思いますが(^-^;要は実質的にあまねく漏らさず人権を擁護するという姿勢が大事ということです。
若干の補足をしておきます。規範定立・あてはめについては以前別稿で記しましたので、ここでは繰り返しません。 本試験は、いわばプロ野球のトライアウトに参加して、キャッチボールをしている状態だと思って下さい。ほとんどの方はひととおりのキャッチボールができます。しかし、プロはどれがいい球・フォームで、どれがそうでないかを見抜く基準を有しています。かかる場合、どのような球の投げ方をすればよいのでしょうか。 従来の一般的な受験界の対応は、フォームを崩すなとか、投げるときの腕の振り下ろし方について、とりあえずストレートができればいいという考え方でした。球種を変えるとか、クイックモーションについては一切必要ないというスタンスでした。それを「やればできる、かならずできるいとうしん」みたいな文句をつけて売っていました。 しかし、課題が前期修習の分を含んだ分だけ増えた関係で、色々な対応ができるようになりました。問題は、それにもかかわらず受験界が、「なおストレートは大事。あとは間合いとか、回りをちらちら見るとかで味付けしなさい」と対応していることです。ストレートの球種が重要であることはもちろん否定しませんが、その投げ方としてトルネードがある、といったことは教えてもくれないし、教えもしないのです。私は、もっとバリエーションがあっていい、モーションの改造もしてよい、という発想です。マトリクスを書いたのは、それらの可能性を網羅するためだということです。 私は、「現場思考」という考え方には極めて懐疑的です。もちろん、最後は試験会場で最上のパフォーマンスを発揮することが重要なのですが、そのためには入念な下準備をしておくに越したことはありません。ただ、その方法として、予備校その他諸々以外にもオールタナティブがあるということにお気づき頂ければ、私としては望外の喜びです。 ではまた♪ テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
拙稿の使い回し2009-01-05 Mon 12:15
なんか予告をみていていやな予感がしていたのですが……的中です。
「上位100番以内の答案から学ぶ答案作成法」の公法系Aさん答案として掲載されていましたorz転載するときは許可をとる約束だったと思っていたのですが……。まあいいか。 そんだけです。 拙稿の使い回し…の続きを読む テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |