5000アクセス御礼／添削中／などなど2009-02-22 Sun 22:29
気づいたら、5000アクセスを突破していました。厚く御礼申し上げます。FC2のアクセスカウンタはユニークアクセスをカウントするので、同じ方が1日に何度もアクセスしても1アクセスとしてのみカウントされる仕組みです。なので、5000は結構侮れない数字だと思っています。ひとえに読者の皆様あっての数字です。
実は、先週の金曜日に愛機HP Mini2133が故障しました（泣）。今日日通さんに引き渡して、浦安まで修理されに出かけていきました。 たまたま受新3月号の添削（今回は民法を担当しています）を引き受けている関係で、緊急にデスクトップを1台調達することも考えましたが、まだ助教採用が決まってもいないので、当座自宅のXP仕様のデスクトップで急をしのいでいます。今回は問題の誘導も親切なので、それほど平均点が悪い状態にはなっていませんが、今一歩詰めが甘いかなあ、という答案が多い気がします。旧試験の今度の合格者数を考えると、該当者は1人いるかいないかくらいかなあ、とも思っています。若干通数が多く、今回は100通を超えているので、ちょっと時間がかかりそうです。 添削をしている側も、専攻以外の科目ということもあって若干おぼつかないことも多く、内田や我妻有泉コメを確認したり、先例価値のある判例の原文に当たったりして知識を確認しつつ慎重に採点しているところです。添削にはつきものですが、担当者によっては受新の添削もあまりよくないものが混じっているとも聞きますので、自分はそう言われたくないなあ、というreputation（評判）の面（言い換えれば自尊心かもしれません）を考慮して、調べ物をしつつの添削作業です。 十分に能力がある方は、新司法試験向けの答練をしている予備校さんが、十分に新試験について行けていないことを見抜いていらっしゃるようです。実際、「長文の愚問」を解いてもあまり意味があるとも思えず、むしろ若干短めの事例問題の数をこなす方がよいようにも思いますが、そのあたりは個人の考えもおありでしょうから、どうこういうつもりはありません。ただ、私自身は、添削を担当した科目の採点基準も作らなければならないので、相応の吟味をした上で、極力丁寧な添削を心がけているつもりです。単に母体数が多いからとか、偏差値換算するからとかいった理由だけで、答練の善し悪しが決まるものではないものと考えています。 ここをごらんの皆様は多くが新試験受験生ですから、択一と論文が一挙に来るリスクは自分で負わなければなりません。あと3ヶ月を切りました。いよいよ追い込みの時期ですので、体をこわさない程度に奮闘されてください。私も（公法がメインになりつつありますが；；）ご質問には極力迅速にお答え申し上げます。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
神田・会社法の改訂2009-02-16 Mon 18:17
どうも、似非（えせ）公法学マニア、本業は商事法の研究者の卵、hiroleenです。今日は毎週月曜日恒例、北村先生の商法演習ゼミのためにスタンバってます。
今日は本業の方の投稿です。弘文堂さんのウェブに正式なアナウンスが載っていましたが、3月の年中行事のひとつ、神田先生の会社法が改訂されます。早いもので11版になります（おまえがいうことではないって？）。 ややびっくりなのが、全てトータルでなのでしょうが、ページ数が384頁と書いてある点です。あの圧縮記帳の神田・会社法ですら、ここまで大部になってきたのですねえ。会社法がいかに複雑多岐なシステムの集合体か、思い知らされます。 もともと、商法・会社法は、司法試験科目の中では微妙な位置づけの存在でした。旧試験が全科目必修になってからは、論文式でのみ出題がなされ、口述の民事系科目からは除外されていました。これは、ほかの5法にはない扱いです。出題範囲も、気付かない間にほとんど手形法が出なくなり、会社法2問になったりと、時代の変遷が激しい科目でもあります。 ところが、新試験になると一転、法科大学院のカリキュラムでも商法総則・商行為法にかなり重い比重が置かれるようになり、手形・小切手法も場所によっては必修となっているようです。毎年数問は択一でも出題されますし、厄介なことに特に手形・小切手法は民訴法と融合しやすい（特則が多い）という特徴もあります。手形・小切手の決済手段としての重要性は、銀行振込の一般化や電子記録債権法の成立によって急激に下落しつつありますが、それでも中小企業の決済手段や、資金の融通手段としての重要性には変化がありません。それは、債権譲渡登記が可能になっても債権譲渡に関する「確定日付のある通知」の重要性が減少しないのとほぼ同様です。 ということになると、商法・会社法のカバーする領域が、いかに膨大かが改めて認識させられます。 教える側からすると、非常に悩ましいのがコマ数の問題です。学部では興味のある学生と単位が必要な学生が聴きに来るだけですので、テーマを絞って出題範囲も絞れば、お互いに効用が増大してパレート効率的になりますが、ロースクールではそうもいきません。場所によっては、30コマでも足りない会社法を15コマで網羅する必要すら出てきます。いきおい、「ここは教科書を読んでおいて」ということになりますが、普通のロー生はそこまで手が回らず、「教科書を解説して欲しいんだyo!」という意見もよく耳にします。習う方も大変ですが、教える方も大変だということです。 さて、そろそろ行ってきます。今日は種類株式の問題でした。一見出題可能性が低い分野のようにみえますし、制度の説明に終始することの多いテーマでもあるので、油断されている方も多いかとは思いますが、種類株式はアレンジメントによってはとんでもない効果を生み出すことがありますので、社債・新株予約権・新株予約権付社債などとともに一通りの勉強をお願い致します。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
憲法の（試験）問題について二三2009-02-14 Sat 22:09
ここ2〜3日、受験生の方のブログを回っていました。自分の公法系の答案がどのように理解されているか心配だったからです。
いくつかの誤解や「再現ではないのではないか（＝趣旨の丸写しではないのか）」といった懸念は払拭されたと思いますので、もう2〜3点ほど指摘させて頂きます。 まず、私の憲法論のレベルですが、はっきり言いまして通説の基本書レベルです。具体的には、芦部＝高橋憲法4版+長谷部（憲法訴訟の項のみ）＋百選�記供△里澆任后８什澆糧塾稻〕�・実務上の通説は基本的に芦部説をベースに構築されていますので、たとえ現在の判例法理を正確に読み解くのが石川健治の学説や宍戸常寿の見解であったとしても、それは私法学者の卵である私にはアドバンス過ぎますので、とりあえず排除しました。 次に、一部ブログで指摘されていました、「合憲限定解釈」の指摘の要否です。これについては、私はロースクールの後輩には、大要以下のように説明しています。 弁護士の立場としては、法令違憲→適用違憲と主張するのが通常です。法令違憲を勝ち取れれば、たいがいの場合新規（架空）立法は瓦解しますので、人権侵害を受けている方の人権を最も手厚く保護できます。しかし、今まで法令違憲が出された最高裁大法廷判決の数を考えても、これはほとんど不可能に近い可能というべきです。そのため、主張のメインには適用違憲を据えることがベターかな、と思っています。 次に、検察官ないし相手方の反論としては、基本的には合憲解釈が原則です。立法を違憲と主張する検察官・相手方は皆無です。よって、立法趣旨に従った合憲の主張を基礎にするのがセオリーだと思います。ただし、ここで当該立法の問題点を直視する場合には、合憲解釈の一亜種として「合憲限定解釈」を持ち出す余地はあると思います。ただ、2時間で解くとすればなかなか厳しいとは思います。 私がここまで、合憲限定解釈を原則持ち出す余地がない、と言っているのは、「あなたが裁判官になったとしたら、どのような判決を書くか」という問われ方をしていないからです。裁判所（裁判官）であれば、合憲解釈→合憲限定解釈→適用違憲→法令違憲、の順に違憲（合憲）審査を行います。その場合には、合憲限定解釈は検討すべき重要な課題です。しかし、このような出題で合憲限定解釈を正答と扱うと、受験者の思想・良心の自由に抵触する恐れがありますので、出題者は意図的にこの形の出題を回避しているのではないか、と考えています。 最後に、試験委員が強調する「総花的」な答案に、私のFないしA答案は該当しているかどうかです。これについては、一般的なブロガーの皆さんの理解は、Yesだということがわかりましたが、私はNoだと思っています。なぜなら、私の主張は、委任立法に関する73条論を除けば、「全て」21条にベースを置いているからです。試験委員のいう「総花的」とは、かすりもしない（が意図的には問題としうる）人権侵害をめったやたらに主張するという意味だと理解しています。たとえば今回の問題であれば、財産権（29条）や法の下の平等（14条）にも触れて字数を1/3ずつにすれば「総花的」なのだと思っています。これはあくまでも私見ですが。 私は憲法論のプロでもなんでもありませんので、あまり専門的なことにはお答えできませんが、もし疑義やご意見がおありの場合は、是非コメントを頂戴したいと思っております。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
第672回「眠れない夜にすること」2009-02-12 Thu 17:07
ということで、全く関係ありませんが、トラバテーマに引かれて初トラバ投稿です。昔のようにPCマニア的に先端技術を追っていないので、いつの間にか世の中のブログの仕組みには置いていかれていて、トラバのやり方もほとんどしらなかったのですが（汗）。 ちょっとシュールな回答を。 Bonnie Pinkの「眠れない夜」を聴いたり、某所で入手したPVをPCで見たりします。Bonnieの曲は"A Perfect Sky"をきっかけに、ベストを購入した時点から聴き出したのですが、「眠れない夜」はなかなか聴かせる曲だと思います。 私は法律学者の卵ですが、まだ結構オリコンにもついて行けている方です。学部時代はちょっとすねて洋モノのR&Bを聴きまくったりしていましたが、今はJ-PopやJ-R&Bが多いですね。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
昨日の解説レクチャーの補足等2009-02-12 Thu 10:31
まず関係のないことから。さきほど、助教応募書類を提出し、受理されました。行政法を勉強されている方からすれば「受理」概念などないのでは？と思われるかもしれませんが、書類不備で突き返される可能性はありますし、そもそも教員採用自体大学の自治の一環ですので、行政訴訟に打って出ても勝ち目はありません。それ故に、入口での「門前払い」はもっとも注意すべき点の一つですが、とりあえずそこは通過しました。
昨日は、休み休みですが８時間をかけて、第３回本試験の民事系・労働方の解説をしました。ぶっ通しで朝から夕方までというのは大変しんどかったです。特にのどがつらかったので、何度も水分補給しました。 採点実感が発表され、また辰巳さんが複数の優秀答案集を発売したのもあって、それらとの比較検討もしつつ説明をしました。やはり、結論に影響を及ぼさない論点や、判例を当然の前提とした議論に深入りしていないのが、特に旧試験経験者の方からは衝撃的に受け止められたようです。なぜ判例や条文を当然の前提にしてよくて、条文を趣旨や定義から述べずに済むのかについては、そこにいらっしゃった方には説明しました。同時に、以前ここにも書きました、規範定立とあてはめの未分離現象についても、一通りのご説明を致しました。 年々、実務家登用の登竜門としてのスクリーニング・テストの意味合いが濃くなりつつある新司法試験においては、少なくとも双方当事者ともに一応の理がある法律論を展開できる能力を養うことは必須ですし、また判例にあらがうのであれば相当の労力を必要ともします。それ故、判例に正面から立ち向かうのではなく、その射程を限定したり、カバーしていない範囲について解釈論を展開するなど、より実践的な訴訟戦略を紙の上で展開することが求められているのだと思います。選択科目については答案用紙の枚数制限の問題もあります。字数をコンパクトに収めつつ、実践的（実戦的）な解釈論を展開することは、無批判に判例理論を受容するのとも異なることにも注意が必要です（この点で、ロースクール批判派の方々の論難は、ごく一部を除いて正鵠を得たものとはいいがたいと認識しています）。 実務界に出られてからの扱いについては関知するところではありませんが、もう新試験合格者水準は旧試験の丙案時代とそれほど遜色があるとは思えません。しかし、短期で、上位で合格することには意義があります。とりあえず引っかかればいいや、というのではなく、飽くなき探求心を持って前進を続けて頂きたいと思います。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |