のどから手が出るほど欲しい平均点

第3回新司法試験に滑り込んだ現法学部助教の記録(現在進行形)

「法文」登載法令/その他

助教採用は4月1日なので、採用内定段階の私は特に時間的に拘束されている訳ではないのですが(内定取消しがホットイシューなので、労働法選択の方は、内定の法的効果や、内定期間中のセミナー受講・レポート提出義務の帰趨などについても復習しておいて下さいね)、ぱらぱらと五月雨式に、書類を受け取ったり書いたりするために、一応毎日登校しています。4月1日からは「通勤」という名に替わりますが。

以前、助教内定のご報告をしたときに1件拍手メッセージの中に誤解が紛れていたのに、長い間誤解を解かずに放置していたのが気に掛かっていましたので、今フォローさせて下さい。私はある国立大学法人に勤めることになりますが(現在の所属校にそのまま任期付き教員として)、国立大学法人法の施行に伴い、従来の「助教授」は「准教授」に、「助手」は「助教」に呼称が変更されています。つまり、私は昔の助手ポストにつくだけでして、助教授として採用される訳ではありません。論文も仕上がっていないので当然ですが、よく誤解されますので念のため弁解しておきます。なお、同法の施行に伴い、国立大学法人も一般の民間企業同様に労基法の適用を受け、就業規則も存在しますし、また「官職」ではなくなったので「教官」は厳密には「教員」となっています。これは大学側でもまだ整理できていない場合がありますが……。

さて、本題ですが、今日は法務省ウェブに「平成21年新司法試験用法文登載法令」が発表されていました。それほど突出したものがあるようには見えませんが、なにぶん試験から解放されてやがて1年になりますので、見落としがあるかもしれません。一番目立つのは、ぱっと見では一般社団法人・一般財団法人法でしょうか。また、おそらく第1回本試験のような動産・債権譲渡特例法のような出題はないとは思いますが、商事法の専攻者から見ると、預貯金者保護法や電子消費者契約法、利息制限法、出資法、貸金業法など動きの激しい分野の特別法も若干気にかかるところです。特別法は追い出したらきりがないですが。
しかし、本当に法務省サイドはディジタル・ディバイドに配慮しない姿勢を貫徹させているのが少々驚きでもあります。実は先日、司法書士試験に関しても配点変更が行われたのですが、私の知人の女性で受験生がいたので念のため携帯メールを送ったところ、気付いていませんでした(^-^;自分の答案がやり玉にあがるのでどうこうはいいませんが、去年の憲法の問題も、フィルタリングの概念が理解できない年代の方には解きようがないと思います。韓国の司法試験では全面的に電子出願方式が採用されているようですが、そのうち日本でもそうなるのでしょうか。住基コードを流用するとなると反発もあるかとは思いますが、役所に電子証明書をもらいに行くのが恒常化すると、ありうる話なのかなあ、と思います。

余談ですが、私も科研費の申請権限があることがわかったので、若手・スタートアップに応募するつもりなのですが、これもほとんどオンラインの手続です。大御所の先生方は自前の資金があるかもしれませんし、優秀な秘書がやってくれるのかもしれませんが、私たちはPDFやWordのバージョンに気を遣う毎日です。

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北村演習ゼミ暫定最終回/ヒアリング公表

助教採用が内定してから慌ただしい日々を送っており、ここ数日は更新もままなりませんでした。

まずは受験に直結するお話から。結局一部だけですが「ヒアリング」そのものが公表されましたね。例年通りの本音(毒舌?)トーク全開でしたが(^-^;
言葉の問題ですが、僕はなんとなく「採点実感」を「ヒアリング」と言い換えない方がいいのかなあ、と思ってここ数週間過ごしてきました。予告なき変更は今回相次いでいますが、言葉の変更をする必要があるのかよくわからなかったからです。結局こういう形になった訳ですが、書面審理で済ませた方が効率的な面があるのと、ほかに検討案件が増えたためなのかなあ、とも思っています。

このことに関連して、文章を書く力をうまくしたい(場合によっては、hiroleenのように淡泊に書きたい)という意見を拝聴して、時間のある在校生の方には、次のような方法が効果的かなあ、とも思います。受験間際の修了生の皆さんには向かない方法なので申し訳ないのですが……。
やり方は至って簡単です。「趣旨」をみて自分が重要と思った論点を拾い出し、2時間を答案構成分(たとえば40分)差し引いて残りの時間で答案化してみて、友人と見せあっこするというものです。これで、自分と友達とで注目している論点が異なっていることに気づくと同時に、基本的に「書くべき」と判断している内容は同じであるはずなのに、「文章の書き方」が全然異なることもままあることに同時に気づけると思います。その後は、自分がうまいと思った人の模倣をしてみるというのはいかがでしょうか。

さて、今日は北村先生の法教演習ゼミの最終回です。来週から3回だけ、私がセレクトした「事例で学ぶ会社法」(正確な名称は忘れましたが)で追加のゼミをやる予定です。
学者の卵として、よく「問題演習には何を使うとよいか?」と尋ねられるのですが、基本的には法教演習をお勧めしています。『会社法事例演習教材』は解答がついていないので、優秀な指導者の下でのみ使用すべきだと考えていますし、『会社法100問』はあくまでも1行問題や短文事例問題の立案担当者の立場からみた解答例(の暗記本)ですから、新試験には不向きだと思います。
3月号で松井秀征さんの演習が終わり、4月号から早大の川島いづみ教授にバトンタッチするようですが、長文事例のリレー連載はこれからもしばらく続きますので、3年生や修了生の方は、是非トライされてみるとよいかと思います。
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助教任用承認

私事でございますが、3月31日で単位取得満期退学し、4月1日から1年任期の助教として任用される運びとなりました。3ヶ月あまりで書き上げた論文で無理に単位取得したことに若干の後ろめたさも感じますが、私なりにベストを尽くしていきます。今後は本業の商事法研究にもしっかりと尽力して参りたいと思います。

取り急ぎご報告まで。

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添削今月2科目目

修習生の受験指導禁止のお達しは結構タイトな拘束になっているようで、どうしても修習生には添削の受け手がいないようです。先月に引き続き、民訴も持つことになり、今87通中30通見たところです。新判例に関する問題なので、あまりシビアにつけるのも酷かなあとも思っているのですが、従来の判例法の理解もおぼつかない答案もたまにあり、そのような答案はやはり低評価とせざるを得ません。Wii Fitなら「あ、またお会いしましたネ」とか言われそうですが、ごめんなさい。私がやっております。そこそこまとまった浄財を頂きますので、もう少しパワフルな(要はデュアルコアの)ノートを購入するつもりでいます。
それと並行して、毎週北村先生の法教演習の採点表を(勝手に)作って採点して解説していますが、おもしろいもので得手不得手のバランスが全体としてみれば均等になっているのが明らかになってきました。ある人は機関関係は非常に得意だけれど株式が弱い、ある人は全般に厳しいのかなあ、と思っていると、組織再編の制度の仕組みをよく理解している、といった感じです。裏を返すと全部まんべんなくパーフェクトにできる人がいないということでもありますが、新試験は私のように1科目ドボンしても上位(とされているようですが)合格できるので、会社法の一事を捉えてどうこういう話ではないのかもしれません。これは参加者が10人以内なので、答案を受け取る前の日までに採点基準を作り、当日昼に受け取って即採点して、たたき台にする答案(真ん中よりひとつ上の答案)を選んですぐに返してスキャンしてもらい、他の答案は解説当日に手交することにしています。一番できる人はおそらく私より会社法の問題を解くのは得意でしょうね。現実は厳しいです(-o-;

来週月曜日には助教の採用面接です。見かけ倍率2倍なので、どうにか通ってほしいです。

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三角合併にまつわる損害(仮設事例)

以下の仮想事例をもとに、途中の設問にも答えつつ、株主Xの請求が認められるか検討してみて下さい。

Xは、合併前の旧日興コーディアル証券(A)株式を1000株保有していた株式であった。周知の通り、A社は新会社法で新設されたが政財界の反対により施行が1年遅らされていた、三角合併制度の適用第1号となった会社である。

設問(1)三角合併の基本的制度について、A社、米シティ・バンクグループ(Y)、日本のY子会社(B)の関係を中心に、条文を引用しつつ説明して下さい。なお、この場合には税制上Bが適格合併の恩恵を受けられない可能性が強いのですが、かかる税法上の問題はとりあえず除外してかまいません。

Xは、A社が三角合併に関してB社との合併比率に不満をもったため、合併に関するA社株主総会の決議において反対票を投じたものの、結果として三角合併は承認され、XはA社株式と引換えにY社の株主となった。ところが、リーマンショックに端を発する金融危機のあおりを受け、Y社の株価は著しく下落するに至った。

設問(2)三角合併決議時点のY社株価をp1、その後現在に至るまでのY社株価の底値をp2、提訴に至った時点での株価をp3(P3>p2とします)と仮定します。果たしてXは、Y社・B社本体ないし経営陣を相手取って、株価の下落分について何らかの責任を追及できるでしょうか。複数の法的構成を挙げて検討してみて下さい。

p.s. 出題者の私も、風呂の中でどうなるかなあ、と思って思いつきで作問したまでで、現在のところ設問(2)については確たる答えを用意している訳ではありません。そのため、本来設定しておくべき前提条件に不足が生じている可能性がありますので、適宜場合分けをお願いします。


19年度憲法の答案構成はまだ積み残しです……。おっちゃんさん、すみません。必ずやります。

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