答案を公開したことへの内省2009-04-05 Sun 21:54
今更何を言い出すんだ、という感じの話です(^-^;
去年の本試験の後、再現のために手控えを箇条書きで作って辰巳さんの再現募集に応募したのですが、去年はどこの模試も受験しなかったので、結局入口段階ではねられてしまいました。 その後、このブログで当該箇条書きを貼っていたのですが、合格・結果通知が来て、統計的バイアスを少しでも軽減できるかな、と思い、友人のつてで法学書院さんの再現集に答案を送ったというのがそもそものいきさつでした。 おそらく辰巳さんにあの答案を送っても、彼らにとっては理解不能な議論であったが故に黙殺されていたのが実際だと思っています。他方で、法学書院さんにとっては結果が数値的に明確であった故に、十分そのままで載せて頂け、また結果として謝礼も各予備校さんより多く頂けました(^-^; ただ、正直その後の結果が望ましかったかどうかはよくわかりません。私の例の答案は誰にでもまねできるタイプの書きぶりではないのは明らかなので、統計的なバイアスを軽減しても、結果としてパレート効率的な結果を生まない可能性すら否定できません。誤解・誤読が多数みられ、いちいち火消しをしてきたつもりではありますが、それでも私とのコンタクト媒体は限られていますから、それは可及的な手段に過ぎません。 結局、試験勉強というのは誰にとっても画一的なセットというものはなかなか設計できず、テーラーメイド的に各々がアレンジメントを用意するしかないのかな、とも思っていますが、その際に私の答案を組み込んで、結果としてそれに悪影響を生んでいないかが不安ではあります。単なるバイアスの除去にはなっていないという杞憂に過ぎないならばよいのですが……。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
助教着任/受新の拙稿/添削返送2009-04-01 Wed 22:26
新年度になりまして、正式に某国立大学大学院の助教に着任いたしました。遅ればせながら、院生時代に皆様から頂戴しましたご教示等諸々に対し、厚く御礼を申し上げます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて、次は拙稿の宣伝です。
正直本業(専攻)とは関係のない公法(憲法)からはいい加減足を洗わなければならないという考え(焦り)がある一方で、自分の憲法答案が予想以上に誤読・誤解されている現状を見ると、何らかの説明は必要なのだろうと思い、アカウンタビリティを果たすために寄稿した次第です。大して紙数もありませんので、立ち読みでもして頂ければ結構です。 また、今日民法・民訴の添削答案を法学書院さんに返送いたしました。これからは能動的にこのようなお仕事を受ける余裕はありませんが、今回の民訴は正直難しい問題だったと思います。低評価だった方も、懲りずに勉強して頂ければ幸いです。 新試験受験生の方は、刻一刻と時間が減っていく現状に焦られるとも思います。どうか、時間を無駄にせず、ただしセルフ・ケア(特にメンタル面)も大事にして、勉強を進められてください。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
最後の複数科目添削2009-03-29 Sun 16:13
お、今月は人手が足りてて送ってこないのかな?と期待半分、不安半分で、25日から商法学者の研究会で広島に出かけていたところ、行きの新幹線で送ってきたとの母親からのメールが。
翌日帰ってきて開けてみると……2科目150通orz ということで今猛烈に民法をつけています。26日に配点表を作り、27日に民法の通数を数えて(80通)、昨日と今日の現時点までで70通みました。 正直、試験委員に選ばれる人は採点したくなくて、試験委員に選ばれないような人は採点したくてたまらない、という俗説がわかる気もします。僕にとっては別の科目の添削なので自分の知識を正確にしたりアップデートする機会にもなりますが、多くの学者委員にとっては常日頃うんざりするほどやっている内容の焼き直しについて添削をするわけなので、苦痛というか苦行だと思います。 明日は会社法ゼミの最終回で、「事例で考える会社法」の松井秀征さんの問題をセレクトしています。これはかなりタイムリーなトピックなので、一読をお勧めします。会計帳簿閲覧請求権はここ数年ホットなイシューで、株主名簿閲覧請求権は会社法で拒絶事由が法定されたので議論の対象となっています。 しかし、世のため人のため(あるいはカネのため)とはいえ、4/1直前までここまで駆け込み需要があるとは思っていませんでした。私は4月からは本業があり、兼業禁止もかかるので頼まれ仕事は最小限度に抑えますが、ブログは5月の試験くらいまではオープンにしておきますので、無償のお手伝いは可能な範囲で受けさせて頂きます。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
ブログの受験上の効用2009-03-22 Sun 19:35
ここ2〜3日、ネット上でお知り合いになった受験生の方のブログで、憲法・会社法の2つの論点に関して議論をしていました。
一見、この時期にブログを見て議論を云々するというのは、非常に迂遠で非効率的な勉強方法のようにも思えますし、実際に周りから正解が出てこない場合にはリスクが拡散してしまうので、ある意味ではリスキーとも思えます。 しかし他方で、(去年の本試験憲法を想起させますが)ネットによる情報障壁の軽減は、様々な面で恩恵ももたらしているように思います。たとえば、ひとりでせこせこと基本書や予備校本、あるいは論証カードを読み込んでいると、自然と誤解が誤解として定着してしまうことがあります。その際に、従来は誤解をただすためにゼミをくむという方法が一般的だったようです。しかし、旧試験時代は必ずしも人を募れなかった可能性はありますし、新試験になってローの同期生といった存在が増えても、歳や場所が離れていて、あるいはプライドが許さなかったりして、なかなかそういった機会を得ることができない方も多いと思います。 そういった方にとっては、単にROMであってもいいので、このような情報媒体を活用されるのはひとつのいいやり方ではないかと思います。仮にそこで議論されている内容が自分にとっても疑問であれば、是非その議論の帰趨をフォローされるとよいと思いますし、仮に当該論点について知識をお持ちであれば、日頃ROMの恩恵を受けておられる恩返しに、コメントを残されてみるとよいかと思います。 試験まで50日ほどになりました。今は、得意な部分の上乗せをはかるより、弱点の補強がもっとも重要です。私もできる範囲内でお答えさせて頂きますので、聞くは一時の恥と思って、是非ご質問等おありでしたらおたずねください。もちろん、ウェブが恥ずかしい場合はメールフォームを使って頂いても結構です。 また、宣伝ではありませんが、リンクさせて頂いている方のブログでも、毎日のように熱心に頭を使われている方が多くいらっしゃいます。勉強に疲れたときに脳をリセットする意味でも、訪問されてみるとよいかと思います。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |
人柄と試験成績の相関性2009-03-17 Tue 18:15
試験まで60日を切って、こういうときにこそ有益な情報が欲しいのに、無駄なエントリ起こすな!と言われそうですが、今日は駄文だけです。ごめんなさい。
ひとつだけいいことを。来月発売の受験新報に、私の憲法答案についての「補足説明」を寄稿致しました。先月号の校了時点では書く予定がなかったので、予告には載っていませんが。ここで皆様から頂戴した様々な疑問やご意見を反映させたものです。この場を借りてお礼を申し上げます。 さて、標記の件ですが、残念ながら人柄と試験成績にはあまり相関関係はないと思います。正直、私の所属していたロースクールでも、本の無断持ち出し・盗用等悪質な行為は後を絶ちませんでしたし、面倒な授業はさぼって自習室で勉強している輩もいました。そういう人の中にも、合格者は確かにいますし、給付がかかった最後の年度ということもあって、今年度はこのエントリをご覧になって結構胸に刺さる思いをされた方もいらっしゃるかもしれません。 私は、法曹倫理といったものや、あるいはそれ以前の社会常識的なレベルのモラルというものは大切にしているつもりですが、その理由はどちらかといえば利己的な発想で、「情けは人のためならず」といったスタンスです。たとえば当番弁護士として初回接見に行かれたとき、仮に被疑者が誤認逮捕であったにもかかわらず取り調べの警官には真犯人と決めつけられて荒い取調べを受けているとしましょうか。そんなとき、当該被疑者は、容易にあなたに対しても心を開かないかも知れません。人など信用できない、弁護士に話をしてもわかってもらえっこない、そう思ってあきらめているかもしれません。 あなたはそのような可能性を見抜いて、言いたくないことを言う必要はない、間違っているものは断固として否認しなさい、と諭すとしましょう。そのとき、自分が行ってきた背信的行為がふと頭によぎったとき、あなたはその「法的正義」にかなう行動を貫徹できるでしょうか。 私は所詮、民事特別法を専門とする研究者に軸足をおいて生きていくつもりの人間ですから、そのような極限的な場面に遭遇することはそうないと思います。しかし、皆さんはこれから少ない法的紛争のパイを取り合う局面で、積極的に刑事弁護に関わる必要があるかもしれません。そういったときに、相手ないし他者の気持ちになり得るほどの心の余裕がないのに、法的正義の実現などできるのでしょうか。 もちろん、皆さんの当座の目標は、目の前にある試験をパスすることです。私はそのためには、適正であればいかなる手段を用いてもよいと思っています(ただし、予備校さんの教材に少なからず誤りが混入していることについては、各々の自己責任です)。でも、試験が終わったら、ゆっくりと内省する時間をとって、自分が世の中の法的正義を実現するために、まず日常で何をしていくべきかといったことにも、意を払ってみてはいかがでしょうか。さもなければ、近い将来に始まる予備試験合格者に、「法曹倫理」ですら劣ってしまいかねないような気がしています。 商事法では、経済学の概念であるモラル・ハザードの防止という発想を、特に保険法分野においてよく行います。人間はしばしば利己的な存在です。その利己性を、いかに利他性と調和・共存させていくかが、法曹への道の第一歩のような気がしています。 テーマ:ロースクール(法科大学院) - ジャンル:学校・教育 |