いよいよ5月ですね2009-05-02 Sat 11:09
本当は昨日エントリを起こしたかったのですが、書きかけの原稿が3本ばかりありまして、今朝この時間にずれ込みました。
もう皆様十分勉強はされているとおもいますし、受験界から（添削以外は）かなり離れた立ち位置におりますので、有益なコメントができるとも思えません。ただ、この時期には、日頃迷ったり戸惑ったりすることがどうしても頭をもたげてしまうことがあります。そこで、そのような類のことで、深く悩む必要がないものについて、代わりに考えてみました。 1. 周りの友人は「ライバル」か? 「周囲はみんな敵と思え」といった、闘争心をあおるような受験指導者もいることでしょう。しかし、ここはシェアホルダー・モデルの本質と同様に考えてはいかがでしょうか?つまり、株主（自分）が最善を尽くして（厳密に言えば株式会社組織の場合エージェントとしての取締役がいますが、ここでは小規模な閉鎖的家族企業としておきましょう）よい結果を出すのと同時に、従業員や他のステークホルダー（友人）が可能な限り努力して、自己と同じ程度の効用を得ることができるのは、むしろ当然のことです。つまり、ことさらに周りを敵視する必要はないのだと思ってよいと思います。 2. 論点があるのは明らかだが、どうして論じなければならないかわからないとき 本当は、試験においてこの状況だけは避けたいところです。いわゆる「論点が上滑り」している答案というものは、私の拙い添削経験からしても、どうしても目立ちます。見る人がみればわかります。 しかし、いわゆるAA論点レベルのもので、明らかに論じなければならないはずなのに、自分に問題となる理由がわからない場合は、その論点を論ずべきでない理由を懸命に考えてみてください。時間との戦いですが、それでも答えがわからなかったら、さらっと書いてしまうのもひとつの割り切りだと思います。自分の「書く必要がない」という根拠に合理性があれば、そう書いてしまってもよいでしょう。明確に問題意識がつまびらかになっていれば、相応の点数はくると思います。 3. 本当に受け控えをすべきなのはどういうときか? 私は数回ここでも明かしたように、メンヘラです。正直に申し上げると、試験上優遇措置を得ることができない病気や障害をお持ちの方は、試験期間中ベスト・コンディションを保つことができない場合は、勇気を出して受け控えをされるべきだと思います。周りの多くは日頃の能力をそれなりに出してきます。想定合格率からすれば、椅子に座るのがやっとの状態で合格することは期待できません。一振りするリスクと合格する確率とを真剣に勘案して受け控えを判断されてください。 少しすっきりされた方がいらっしゃったら、望外の喜びです。 ずっと、見守っていますよ。私は、ロー卒の研究者ですから。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
エネルギーを貰える答案2009-04-29 Wed 18:30
なんやかんやで、またしても受験新報さんから民法の添削答案がorz
# 許可なき副業で就業規則違反なので、内密でお願いします。 # しかしなぜ非常勤であれば勤務時間内の兼業がいいのかはよくわかりません。 # また、事前通告なしでゆうパックが突如送られてくるところが、どこぞの人工衛星発射国に似ていないでもありません(^-^; よく受験予備校さんの答案添削の弊害として、「問題のクオリティ」と「添削のクオリティ」の問題が指摘されます。私が請け負っている受験新報さんの答案添削は、一応問題は相応の学者が作成しているAdvancedコースのもので、また採点基準は第三者である私が客観的にみて（旧試験仕様ですが）決めるので、比較的この2つのデメリットが小さいものだと考えています。採点講評で出題者に苦言を呈しておくと、次の回から指摘した問題を回避した設問に変化してしまう場合すらありますw ただ、このようなよくいえばアットホームでプチサイズの答練は、ひとえに採点者の技能が問われるところでもあります。予備校さんの大規模答練であれば、「採点基準自体」のクオリティと「個別の採点者」のクオリティに問題が二分化される訳ですが、これが一つに収斂してしまうので、私がミスをした場合の被害が甚大な訳です。 大概の答案は、この意味では点数の大勢に影響を与えない（よいものは明らかによく、悪いものは明らかによい点数をつけられない）のですが、たまに出題者や採点者の想定外の答案が混じっています。こういった場合に、複数の採点者が合議して答案の扱いを決められないのが、私にとっては一番の負担です。 こういった答案については、「判例（通説）で書きましょうね」とお茶を濁すのが常道のようですが、私はそれは外道だと思っているので、しばし沈思黙考します。そして、出題者の想定パターンが緩すぎたのか、私の採点基準に穴があったのか、答案作成者の思考が浅いのかを整理することにしています。 今日も該当答案が1通ありました。これはかなり悩みました。深く考えていることがよく表れていて、またその思考プロセスもそれなりに合理的なのですが、完璧というのとは若干違う。違うけれども、同時にそこで指摘されていることは一面において正当である。 このような答案は、私の目からみると若干リスクテイキングであることもあるのですが、見る人が見ればきわめて高評価となる可能性があります。第3回新試験憲法の採点実感に「�ぁ帖賃疹�荒削りなところもあるが」優秀な答案と評価したものがある旨明示されているものなどがそうです。それを、没個性になりなさいと諭すことで否定していいものか。特にコメントをどう書くかについてしばらく逡巡しました。 このような答案は、エネルギーを消耗させもしますが、新しいエネルギーの源になってくれるものでもあります。自分の考えにも至らないところがあった。まだ勉強し直さないといけない。もちろん、受験生の皆様にとっては試験は通過点に過ぎませんが、私にとっては永遠に検討し続ける相手なので、もっと高みに上ることが要求される訳です。 本当に残された時間はわずかになりました。もうすぐ月も替わり、本当に臨戦態勢となります。ここから下降しては意味がないので、好調の方はペースを維持し、いまいちな方は奮起してくださいね。私もどこぞの予備校ではありませんが、「誠意」をもった添削で対応させて頂きます。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
学ぶことと教えること2009-04-22 Wed 17:03
昨日、風邪をひきながらも1回目の演習をやってきました。
なかなか、思うようにはいかないなあ、というのが本音です。私が学部を過ごした大学では、当時ゼミの参加は完全な任意で、しかも半期1つ選択できるという変則的なものだった（ほとんどどこの大学かばれてしまいますが）のですが、現在の勤務校では、この基礎演習は半期1コマの必修科目で、単位を落とした場合には再履修が必要になります。 しかしながら、当然第1希望の人ばかりではありませんし、必修ということでしぶしぶながら参加している学生さんも少なからずいらっしゃいます。私自身としては、そういう方にゼミの受講を強制してもさしたる教育効果はないと思っているのですが、大学自体の方針ですので、やむを得ないというところです。 また、学部で講義すら受けていない学生さん相手に会社法のエッセンスを体得してもらう、という趣旨のゼミである以上、一定程度の能動的な自習・グループ学習が必要なのは当然の前提です。しかし、その前提にすら欠缺が見えるというのが実際のところです。 ロースクールの後輩の皆さんに会社法（ないし憲法）のレクチャーをするという場合には、当然意欲のある方が任意参加されるだけなので、このような問題は顕在化しません。単にゼミに来なければいいという話だからです。しかし、今担当しているような必修のゼミである以上は、全部の回を欠席した方には単位をあげるわけにはいきません。いわばインセンティブ報酬スキームの設計の仕方（平たく言えば飴と鞭）によって、彼（女）らを積極的ないし消極的な参加に導く必要が出てきます。 しかし、私の1回目のゼミは、そのような意味では十分な成果を得られませんでした。パワポは使いましたし、それぞれの自己紹介もしてもらったのですが、皆通り一遍のことしか発言しませんし、全員に答える能力があるはずのこと（たとえば、この講義は必修だけど、百選は買いましたか？とか、学校から付与されたメールアドレスは使っていますか？といったこと）についても、能動的な発言をする学生さんは1名か2名程度です。白けたというか、頽廃的なムードが漂っています。 私は、今の法学部生の皆さんに自分たちと学力的な違いがあるとは思っていませんし（そもそも大学入試段階で法律知識など皆無ですし、大学入試問題と法学部成績との間に有意な連関性があるとも思えません）、仮に彼（女）らの能力が向上しないのだとすれば、明らかに責任の一端は私にあります。しかし、講義も能動的でなく、サークルにも打ち込まず、バイトに汗を流す訳でもなく、ただ就職先がないといってアリーナ会場を転々と彷徨うだけでは、就職先が決まらないのも当然なのではないか、とも思います。おそらく、そのパッシブな感触が、最も私にとって違和感のあるところです。 川島武宜博士は、かつて日本社会が法的に遅れているという認識を示し、現在ではそれは普遍的・世界的な状況であるという通説的見解に取って代わられていますが、おそらく現在の通説も、日本の学生のアパシーについては異論がないところだと思います。何もしたくない、ただ単位が降りてきて就職できればいい。もちろん、それもひとつの価値観だと思いますが、安くない学費を払っている以上は、もう少し何かに打ち込める環境作りが必要だと切に感じます。 皆様の前でこのような持論を提示するのは、皆様は基本的に目標をもっているという点で大きなアドバンテージがあるということを示したいがためです。現在の最も若いロースクール修了生は、多くが新卒で、既に「なんとなくロースクール」世代と化しています。他方で、新試験を複数回受験される方は、もちろんお金の面での期待もあったでしょうが、彼（女）らより、法曹になることに関する意欲は強いはずだと思います。新司法試験は当初の目的に反して競争試験と化してしまいましたが、そういうときこそ、根に持っている芯の太さが有利になるのだと思っていますし、そういった希望も抱いています。 時代の荒波とは、かくも高いものなるか。現状は、日本国内の誰にとっても厳しいもののように感じます。そういうときこそ、自ら学び、学を修めることの大切さが生きてくるのだと、大学関係者の端くれとしては期待したいところです。私も、かかる（未だ顕在化しない）学生の皆さんの意欲を引き起こすため、あと11回のゼミに注力したいと思っています。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
今ごろヒアリング追加ですか……2009-04-15 Wed 13:47
んー、国立大学法人教職員の端くれとしては、あまり批判はできないところですが……。
今ごろになって追加ヒアリングですか。あまりに遅いので直リンクぐらいは許されるかな、と思い、注意喚起しておきますね。 法務省サイドとしては、基本的に採点実感で出尽くしているという発想なのでしょうが、受験生の皆さんは気を揉みますよね。 ただ、第2回の漏洩騒ぎのことも考えると、抵抗しても無駄なのはわかっていますので、皆さんとしては分析を自分なりにされて、来月の試験の糧にして頂きたいと思います。 私は、来週火曜日から学部2年生の演習を半期担当します。講義で習っていない会社法のエッセンスを教えるという企画なので、どの程度ついてくるか読みにくい面もありますが、最善を尽くします。とりあえず1回目はパワポも使ってみることにします。学部生が就活でパワポを扱うという可能性もなきにしもあらずかな、と思いまして。 テーマ:ロースクール（法科大学院） - ジャンル:学校・教育 |
平成20年度重判解2009-04-09 Thu 14:27
形式的には4/10臨時増刊ですが、今日店頭に並んでいるケースも多いようです。
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