のどから手が出るほど欲しい平均点

第3回新司法試験に滑り込んだ現法学部助教の記録(現在進行形)

短答合否通知(の連絡)に接して

私自身は試験を受けている訳ではないので、どうしても感情論的なものが入ることを、予めご了承下さい。

私の所属していたロースクールは、短答合格率は悪く、その中の論文合格率が比較的高いことで、一応平均を超える合格率を出すというタイプのローだとされています。そのため、短答で(論文的な地力がありながら)苦杯を飲むタイプの受験生も、相当数いることは、関係者の間では共通了解になっています。

しかし、外野からだから持つ違和感なのかもしれませんが、受験指導に「生き甲斐」を見いだしている(このこと自体「実務家」ではないと思うのですが)旧試験OBの弁護士いわく、非常に驚く人間が短答で落とされていることもあるが「想定の範囲内の数」に収まっている、というのです。そして、他の自分がよく把握していない人間が落ちることも「予想していた」というのです。

これは、あまりにも無責任ではないでしょうか。自分にとって驚くような人間の不合格が、単数とはいわずとも少なくとも複数いれば、自分の使っている指導の方法論自体に問題があるとは発想しないのでしょうか?きわめて利己的なデータ解釈だと思わざるを得ません。

彼が把握していない(管轄外の)受験生の低合格率も、このような脆弱なデータ解釈の議論からすれば到底説得的ではないし、もしこれから不合格の彼(女)が彼の指導に入って、1年間で「彼のいう」実力をつけたのにまた短答落ちしても、「驚く」が「想定の範囲内」というのでしょうか。

私の誤解かもしれませんが、試験委員および司法試験委員会サイドが予備校に対して敵愾心に近い嫌悪感をもっているのは、この無責任さに起因するのではないか、と勘ぐってしまうところです。受験指導はするが、結果責任は受験生に帰する。それを「合格請負人」の名の下に平気でやってのけるところに、人間性に対する疑念を生じさせる理由があるのではないか、と思っています。

私は後輩に請われて会社法の演習問題の解説をしたりすることもまれにありますが、その際にも彼(女)らにどの程度自分の言っていることが伝わっているか、また自分の誤解がどの程度混じっているかについては、きわめて無力な存在であると絶望している面もあります。それ以上偉そうなこともいえません。これが、ベストとは言わずとも本来あるべきものの考え方なのではないでしょうか。

一部の人をたたく議論をこのようなブログで行うことの適切さは疑わしいところですが、私には気持ち悪いことのように思える、ということを主張したくて、エントリを起こした次第です。

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第4回本試験 | コメント:2 | トラックバック:0 |

本代節約・圧縮のコツ

今日は実利的なお話です。

ロー在学で拙ブログをご覧頂いている方は、通常大学生協に加入されていると思いますので、本代については生協価格での割引を受けられることが多いかと思います(ちなみに私も、学生から教員にはなりましたが未だに生協加入者で、10%引きの恩恵を受けています)。
一方で、ローを修了された受験生の方は、学生の身分を失い、奨学金の返済猶予については一定の可能性があるものの、本代の割引という恩恵は必ずしも受けられないのが実情かと思います。そのような方への、ちょっとした耳よりなお話です。

昔はAmazon.co.jpでも5%のアマゾンポイントの割戻しがあり、Amazon.co.jpとCitiカードとの提携カードと組み合わせると、それなりに生協の割引率に近づけることが可能でした。しかし、Amazonは現在1%程度しかポイント付与を行わず、またCityグループとの提携解消によってAmazon.co.jpブランドのカードも廃止されてしまいました。
そこで狙い目なのが、おなじみ楽天市場です。楽天も基本的には1%ポイント付与の構造は変わらないのですが、2点ほど「おいしい」ポイントがあります。
1点目。楽天はおそらくオンライン書店でのシェア拡大を狙ってだと思いますが、結構な頻度で5倍ポイントやまれに10倍ポイント付与をしてくれます。特に週末が多いようなのですが、もし買う本が決まっていて、本屋に出向く時間も惜しいというときは、一旦覗いてみるといいことがあるかもしれません。
2点目。楽天傘下のクレジットカード会社は楽天KCという会社なのですが、この会社は楽天グループに入る前は国内信販(KC)という中堅規模の信販会社でした。クレジットカード会社の業態による差異は徐々に埋まりつつありますが、現在でも概して信販系のクレジットカードは銀行系のそれより審査が甘い傾向にあります。ぶっちゃけた話をすると、楽天カードの場合、多重債務などがない場合、ほとんど無収入でも(学生カードでなく)通常カードの審査が通る可能性があります。
単にカードを作るだけだと、カードポイントとしてさらに1%が付与されるだけなので(もっとも、カードの割戻しで1%の率を確保しているカードは、実はそう多くはないのですが)まだまだ生協には遠く及ばないのですが、楽天カードの場合、入会金・年会費が永年無料で、またほとんど常時入会キャンペーンをやっていて、通常の場合、加入すると2,000-4,000ポイント(1ポイント1円)の入会ボーナスが付与されます。営業妨害にも近いものがありますが、正直に言うとこのボーナスポイントで本を買って、後は使わないでタンスにしまっておいてもいい訳です。

以上のような理由から、(もちろん楽天という企業の事業運営やスタンス自体が支持できない方に強要はできませんが)かなりの率で生協に近い割引を受けられることは、知っておいてよいかと思います。
なお、私も楽天市場での決済専用カードとして楽天カードを使っていて、カード入会の紹介をすると照会者・加入者双方にボーナスポイントが付与される制度もあります。また、既入会者はすでにカードの払いが蓄積していますので、一定程度の与信効果が期待でき、さらに入会が容易になる可能性がありますので、以上の内容をお読みになって審査にかけてみようと思われた方は、右のメールフォームで私にご連絡頂ければ、折り返しメールを差し上げます。

こういった類の一種の「生活防衛」は、法的スキームを実感をもって体験できる面でも有益だと思いますので、興味のある方はネットサーフィンをしているときに意識しているとおもしろいかもしれません。

以上駄文でした。

追記:kenさんのご指摘のとおり、どうもカード加入者を紹介した場合の紹介ポイントは、加入者から事実上移転するシステムのようです。そのため、今のところ紹介を希望された方はいらっしゃいませんが、上記の削除線部分は削除してお読み下さい。

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保守

若干ブログパーツをいじりました。
具体的には、アマゾンへのリンクを、最近よく発売される事例演習教材関連のくるくるリンクウィジェットにしてみました。内容を精査していないものもありますが、非常に評判が悪い本や、明らかな間違いが頻出する本、解説のついていない本は除外しています。

下のエントリにも書いたように、答えのない教材は有能な教員がついて初めて効果的な学習になります。そのような教員はそうそういませんし、また遺憾ながら私もそうではありません。そのため、解説のついた本の独習やグループ学習の効率・効果が大きいことから、右のようなウィジェットを作成しました。

堀馬さんのリクエスト「3」にはまだお応えできていませんが、とりあえず演習書については右でお応えに替えさせて頂きます。

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タネ本(ネタ元)について

自己採点が足切り点以上の方も、葉書が届くまではマークミスにおびえる毎日かと思います。今日はあまり当たり障りのない話です(一部の方には耳の痛い話かもしれませんが)。

一部の受験指導者(予備校等々)は、特定の本が試験問題(論文式)の「タネ本」(ネタ元)だといってはばからないところがありますが、そのような幻想には惑わされないようにして頂きたいということです。
もちろん、優れた演習書というものは世の中に一定数存在し、その本が扱っているテーマが「事実上」試験に頻出することはあり得ます。しかし、それは当該演習書の着眼点やテーマの取捨選択の巧みさに起因するものであって、その本だけを狙い撃ちにしてはずれても当該演習書の著者は責任をとってくれる訳ではありません。また、作問委員もそのような「手抜き」の仕事をすることは決してありません。安易な言説に盲従することは避けるべきだと思います。

ただし、一部科目の一部出題委員が、自分の得意とする研究分野から出題することは、遺憾ながら相当の頻度で起こっている事象でもあります。しかし、そのことを認識するのであれば、当該試験委員の研究テーマに関する著作を狙い撃ちにする方が遙かに合理的ではないのでしょうか?

結局、「タネ本」「ネタ元」の類の言説は、都市伝説に等しいと割り切るべきだと思います。

もう一つ苦言を呈しておきたいことがあります。たとえどれほどレベルの高い良問集であっても、出題者が解説ないしそれに準ずるものを付していない場合、これを受験生だけで、あるいは私のような研究者駆け出しの人間の片手間の解説を頼りに解くことは、到底推奨できません。このような類の本としては、松岡=潮見=山本『民法事例・総合演習〔第2版〕』や前田=洲崎=北村『会社法事例演習教材』(いずれも有斐閣)が代表的ですが、これらの演習書が世の中に広く流通している意味を理解されていますか?単に、京大の中で印刷して学生に購入させるより、有斐閣を介して広く流通させる方がコストダウンになって、京大ロー生にとって経済的メリットが大きくなるからに他なりません。これをはじめから素人だけで解くことは、両書の性質上予定されていないのです。そのことは十分理解して頂きたいと思います。

なお念のため、その講義ノートを入手して自習するのは個人の勝手だと思いますが、それをコピーしたりワープロに起こして頒布したり、あるいはT巳で合格者講義と称してレジュメに使うことなどは、邪道・外道・非道に他なりません。試験に受かるために手段を選ばないということに正面から反論するつもりはありませんが、密やかにやるのが節度をわきまえた態度だと思います。

少々きつい言い方をしてしまいましたが、「生兵法は怪我の素」です。

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択一結果

色々とトラブルがありまして、まだ大学に居残っている状態ですが、例年通り法務省ウェブもチェックしてみました。
215点という点数の妥当性はともかくとして、部分点が辛いですね……受験者数を分母にとると、68%程度しか通過していない計算になるようです。科目足切り(40%未満)の方も相当数いらっしゃいます。

広島会場の加点措置の件は、直前にネット上に転がっていたニュース記事で試験運営に問題があったことを初めて知ったところでした。新司法試験の試験監督者は運営が拙劣な場合も少なくなく、司法試験委員会には改善を求めたいところです。3点加点という処理は、全受験者にとって納得のいくものとは到底評価しがたいと思いますから。

今日が人生の転機になった方もいらっしゃるでしょう。折しも、つい先だって受験新報の編集者の方から、拙ブログを相当数の受験生の方がご覧になっているようだ、と伺いました。私がロースクールの教鞭をとるのはいつのことかわかりませんが、やはり試験そのものを受けた側でなければわからない感慨・感触というものはあると思っています。果たして5年あまり後にどの程度の数のロースクールが残っているかも不明ですが、静かに制度の変容を見守っていたいと思っています。

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