分権委員会の3つの勧告をすみやかに実施してほしい
地方分権改革推進委員会では、今回の「義務付け・枠付け」見直しの第3次勧告までに、第1次、第2次と勧告を出している。とくに昨年末に提出した第2次勧告は、国の出先機関3万5000人の削減プランを示したものだ。当時の自公政権は、この数値目標を入れ込んだ工程表を作成することができなかった。鳩山新政権では、ぜひこの第2次勧告のプランも含めて実現してほしい。
地方分権を担当することになる原口一博総務大臣は、初登庁後の記者会見で、つぎのように発言した。
原口大臣 地方の出先機関については、(民主党は)原則廃止と言っているわけです。これはなぜそういうことを言っているかというと、やはりガバナンスなんですね。(略)そして、原則廃止と言っているけれども、(公務員の)生首を切るなどということはできませんし、しっかりとした労働環境を保障しなくてはいけませんので、そこで働いている人たちがしっかりと不安をもたないように手当てをして、改革をしていきたいと思っています。
原口大臣は、マニフェストどおりの「原則廃止」を打ち出している。「原則廃止」という意気込みはよい。ただ、棒高跳びでいえば分権委員会はすでにかなり高いバーの高さを設定している。「それより高いバーを跳ぶ」と言っているだけで、それで勧告のバ―を超えなければ結局、記録なしになってしまう。
また、第2次勧告については「振興局・工務局が肥大化する」という批判があるけれども、それは間違っている。振興局・工務局は、出先機関の廃止・縮小というプロセスにおける受け皿であり、出先機関で働く国家公務員を地方へ移す作業を円滑に行うためのものでもある。国の直轄事業をどんどん地方に渡していけば、この受け皿はどんどん小さくなっていく。最終的に国の直轄事業をなくせば、この組織も不要となるのだ。
プロセスのない「原則廃止」では、実現しない架空のプランになってしまう。分権委員会が示したように改革の具体的なプロセスが求められている。このことを鳩山新政権はよく認識して、ぜひ出先機関改革を含めた抜本的な改革に取り組んでもらいたい。
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