財務相発言に円相場が右往左往、市場関係者から困惑の声
基太村 真司記者
[東京 29日 ロイター] 藤井裕久財務相の発言を受けて、円相場が右往左往している。財務相は市場が発言を曲解したと主張しているが、市場関係者には財務相の為替をめぐる発言は一貫性に乏しいと映っている。
投機筋が売買を仕掛ける口実となっている面もあるが、市場では通貨当局のトップとして、明確なメッセージを出してほしいとの声が上がっている。
市場関係者が驚きの声を上げたのは28日。ドルが朝方の取引で一時88.23円まで急落して8カ月ぶり安値を更新、1月に付けた14年ぶり円高水準まであと1円に迫った直後、財務相は最近の円相場の動きについて「異常ではない」との認識を示したと一部通信社が伝えた。
これまでも財務相は「輸出のために(円が)安ければ安いほどいいという考えはおかしい」(17日)、「常識的な範囲で(介入)はあり得ない」(同)と「事実上の円高容認スタンス」(シンクタンク)と受け取れる立場を表明してきた。
今回の発言も「これまでと変わらず」(外銀の為替責任者)として直接的な影響は限られたものの、前週末からドルがわずか1日で3円超下落する急ピッチなドル安/円高が進んだ直後の発言とあって、ドル/円を売り仕掛けた当の短期筋からも「そんなことを言って大丈夫なのか」(外銀のチーフディーラー)と案じる声が上がった。
しかし、その数時間後に発言は一転。正午過ぎには最近の円高が「やや一方に偏ってきているとの印象を持っている」とコメントした。市場では「財務相がついにスタンスを修正した」(都銀関係者)との見方から、短期筋が円を売り戻すきっかけとなった。
財務相がスタンスを修正したとの見方が市場で広がり、関心が一段と発言に集まり始めたことで、円相場は発言に神経質な値動きとなり始める。 続く...
円高是認とは言ってない
藤井財務相は、円高是認とは一言も言っていないとし、異常な為替動向にはしかるべき措置をとると語った。 記事の全文