厚生労働省は28日、退院時に親が分娩(ぶんべん)費用を原則、負担せずに済む出産育児一時金新制度を、来年4月までに見直す方針を決めた。一時金は親でなく医療機関に支払われるが、出産約2カ月後と遅れるため、資金繰り悪化を懸念する開業医らに配慮した。新制度は10月から実施するが、資金調達の準備が間に合わない医療機関には、最長6カ月間、実施を猶予する。
現行の制度は、親が医療機関に分娩費用をいったん払い込み、その後、健康保険などから出産育児一時金が親に支給される。新制度になると、親ではなく医療機関に直接支払われるようになる。
新制度下では、一時金は出産の約2カ月後に支払われるため、出産を主とする医療機関では10月からの約2カ月間、現金収入が大きく減る。厚労省が制度の実施要綱を公表してから新制度開始まで約4カ月しかなく、資金調達の難しさなどから開業医らから悲鳴が上がっていた。
見直しでは、医療機関に約2カ月間の入金の遅れが生じないよう制度を改める。一時金の支払先を医療機関にするか、親に戻すかも含めて検討する方針だ。【河内敏康】
毎日新聞 2009年9月29日 東京朝刊