モクズガニはサケと正反対の習性を持つ。サケは川で産卵するために上流を目指し、やがて産卵してその生涯を終える。モクズガニは河口で産卵するために川を下り、やがて産卵してその生涯を終える。この両者が子孫を残すために川を移動する時期が同じなので、サケが川に上り始めるとモクズガニも川に下り始めたなと推測が出来るのである。しかし、今年のサケは川に上る時期が遅いと耳にしたので、モクズガニも川に下るのが遅いかなと心配しながら、今年もモクズガニ漁をする。
川に岸近くにモクズガニを捕まえる仕掛けをセットする。この箱で出来た仕掛けは”カニド”と呼ばれる仕掛け。本来の名は”カニ胴”だが、新潟の田舎では”カニド”と呼んでいる。
このカニドは私の爺ちゃんの手作り作品で、1回カニがその箱の中に入ると2度と出られない仕組みになっている。
ただ単にカニドを仕掛けただけではカニは取れない
モクズガニが卵を持ち始めて川を下るときは、なるべく岸際に沿ってカニは移動する。これは川の真ん中で移動するとカニは流されて石に当たり卵を傷つける恐れがあるから、なるべく流れの緩やかな所を通って移動する習性がある。そのためカニドを仕掛ける場所は流れのきつい川の中央部よりも岸側の川の流れが緩やかなところにカニドを仕掛ける。
このカニド漁の難しいところは、カニの通り道を作る作業がかなりの重労働。川原にある石を積んだり、退かしたりしてカニの通り道を作ってあげる。
カニド仕掛けの全体図
今年の仕掛けは上流に1つ仕掛け、更に20m下流にも1つ仕掛ける。写真は下流部に仕掛けた写真だが、下流部もカニが脇にそれることがのないように石を積み上げて、カニの通り道を作ってあげる。
ふたを開けてみるとモクズガニが入っていた。
大きさは大中小で表すなら中くらいのサイズ
カニドの中を開けてみよう
大雨が降り、川が増水するとモクズガニは一気に川に下り始めるが、今年は増水するような雨は降っておらず、川は減水気味の状態が続いていた。大漁とまではいかないものの、毎日、数匹のカニが取れる。
モクズガニの名前の由来
モクズガニをよーく見てみると、ハサミ脚に密集している毛が目を引く。モクズとは藻屑の意味で、英語では「手袋がに」と言われている。
モクズガニを食す
モクズガニは肝臓ジストマと言われる寄生虫(肝吸虫・かんきゅうちゅう)のがいるので生で食べるのは控えた方が良い。
さて、モクズガニ料理と言えば、お湯で茹でた物やカニを砕いて味噌汁にしたりするが、私の一押しの食べ方は”モクズガニのカニ味噌”である。
絶品!モクズガニのカニ味噌料理
・絶品!モクズガニのカニ味噌の作り方
1、モクズガニからカニ味噌だけをかき集める。
2、かき集めたカニ味噌の中に田舎味噌を加え、さらに砂糖を少し入れてかき混ぜる
3、よくかき混ぜたら、オーブンにいれて表面が少し焦げる程度焼く。
「ご飯の友はなんですか?」聞かれれば、私はすぐに「モクズガニのカニ味噌」と真っ先に答えるくらいこの味は絶品!
ご飯の上にカニ味噌をのせて、味噌汁は自家栽培の原木ナメコ汁(天然ナメコはまだ出ていないので食べることが出来ないのが残念・・・)
東京に住んでいる私にとって素朴な田舎料理は都会では決して味わえない最高のご馳走であり、これを食するだけで「新潟に帰ってよかった!」と大満足できる一品。モズクガニのページを作っているとまた食べたくなってきたので、今度の休みも新潟に行こうかな?