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【コラム】軍隊に行けと言うには…(下)

 気になるのは、社会指導層が軍への入隊や身体検査を控えた若者に対し、「国の指導者になろうとするなら、“国防の義務”を誠実に果たすように」と堂々と忠告できる立場にないという点だ。前政権の国軍統帥権者だった故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領に至っては、「このごろは子供もあまり生まれないため、軍隊に行って数年無駄にするのではなく…」と語ったこともある。また、幹部公務員の「聴聞会の季節」になると、兵役不正疑惑は誰にとっても「いつものメニュー」さながらだ。軍隊に行きたくないからと米国の市民権を取得した後、韓国に来て「韓国は狂ってしまった」と言いつのる人々もいる。

 しかし唯一慰めとなるのは、2005年から今年8月までの徴兵検査で兵役免除もしくは補充役の判定を受けたにもかかわらず、再び身体検査を受け、現役兵に志願入隊した「勇敢な若者」が3224人もいるという事実だ。

 1973年当時、韓国政府は入営および招集忌避者に対する処罰を「3年以下の懲役」から「3年以上10年以下の懲役」へと強化した。兵役忌避者を雇用した企業の社長を逮捕したケースもあった。これによる効果は抜群だった。70年には徴兵対象者の13.2%、3万4004人もの兵役忌避者が、73年3月以降は0.3%(902人)、74年には0.1%(234人)まで激減した。

 兵役不正事件が繰り返し起こらないようにするためには、兵役を逃れた人に対し強い処罰を下す、というのが歴史が与えた教訓だ。兵務庁が資料記録部さえきちんと照会できない今のシステムにも手を加える必要がある。

 いつの間にか兵役忌避者を受け入れつつある韓国社会の雰囲気も、変えなければならない。兵役忌避者が政治に携わり、社会正義を叫び、芸能界のスターになる状況を放置してはならない。そんな社会では、兵役逃れという名の「毒きのこ」がまたじわじわと繁殖するのは理の当然だ。

趙正薫(チョ・ジョンフン)社会部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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